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2017-10

海底に監禁された美少女(香山滋「海底牢獄」より)

 香山滋氏の長編「海底牢獄」は、昭和24年に偕成社から単行本書下ろしとして発表されました。
 昭和23年から一年間かけて雑誌連載された「怪龍島」に続く、少年少女向け小説の長編第二作目です。
 本作では海底が物語の主な舞台となっており、少年探偵と海洋生物学者が超科学の技術を有する一団を相手に冒険を繰り広げます。

 少年探偵・花山達夫が海底への冒険に乗り出すキッカケとなったのは、彼の家に寝起きする同学年の美少女・ユキ子から届いた手紙にあります。
 一ヶ月前、ユキ子は学校からの帰りに消息を絶っており、その安否が気遣われていた時だけに、彼女からの手紙は達夫を興奮させました。
 彼女が何者かに誘拐された事を確信した達夫は、海洋生物に詳しい友人の父親・山崎俊彦博士に応援を求め、紆余曲折の末、ユキ子の監禁場所を見つけました。
 ユキ子は、鉄枠と厚いガラスで作られた海底の牢獄に監禁されていたのです。

 この時、永らく監禁されていたユキ子の服はボロボロになっており、普段は隠されている肌の一部が露出していたと書かれています。
 二人が目にしたユキ子の姿を、本文描写から引用してみます。


「アッ! ユキちゃん!」
 達夫は、そう叫んで、ころがるようにかけ寄った。

 【中略】
 ぜんたいは頑丈な鉄の枠で作られ、四方も底も、厚いガラスばりになっている。
 そのなかに、ユキ子は、たった一枚のボロシャツを着せられただけで、肩も胸もあらわれ、寒さにガタガタふるえている。
 これがあの、美しく活発な女学生のユキ子だろうか?
 これがあの、あたしは幸福に暮らしていると書いてよこしたユキ子だろうか?
 何日も手入れをしないよごれた髪、恐怖におびえて落ちくぼんだひとみ、血の色もなく紫色にこごえた唇、呼吸をするたびに、あばら骨が浮かびあらわれるいたましさ。
 たとえ、『海底観測船』のやつらが、いかに正義に味方し、世界永遠の平和確立をめざして奮闘する団体であるとはいえ、このようにして花のような娘をしいたげるとは――この一事のみをもっても、断じてゆるさるべきではない!

≪ソノラマ文庫『海底牢獄』P169~170≫ 


 ソノラマ文庫版では、下を向いてうずくまるユキ子を描いた挿絵も載っています(箕輪宗廣・画)。
 残念ながら本書は絶版になっていますが、そこそこ大きな図書館であれば所蔵されているかも知れません。古書相場は2,000円前後なので、該当場面を見る事が目的ならば図書館を利用される事をお薦めします。
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