FC2ブログ

2017-08

数万匹の蛸に襲われる全裸の若妻(羽化仙史「新海底旅行」より)

 明治文化史研究家にしてSF作家でもある横田順彌氏の『近代日本奇想小説史 入門篇』を読んでいたところ、ヒロピン好きならば見逃せない明治時代の冒険小説が紹介されており、そのレビューを読んで心底興奮させられました。
 その作品とは、明治38年に大学館から刊行された「新海底旅行」という冒険小説です。
 横田氏の紹介文によれば、美貌の若妻が蛸の群れに襲われるシーンが見られるとの事!
 これはチェックしなければと思い、すぐにインターネットで情報検索したところ、国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」で無料公開されている事がわかり、全ページのPDFデータをプリントアウトできるため、ワクワクしながら全てのページをプリンターで印刷しました(著作権消滅作品なので違法行為ではありません)。

 本作は国策物の一種であり、日本の領土拡大を海底に求める憂国の志士が様々な困難を乗り越え、広大な太平洋の開拓に成功するという内容です。
 横田氏の著書で紹介された場面は口絵(画家未詳)にもなっており、髪を振り乱した若妻が短刀を片手に蛸の群れと戦う姿が拝めましたw
 国会図書館提供の「近代デジタルライブラリー」で公開されているデータは画質が悪く、その点は何とも残念です……。

 若妻の名前はべに子。十九歳の職業婦人です。
 海底を開拓するという亭主の一大計画を支援し、女性とは思えない活躍を見せてくれます。
 大勢の男性陣に交じり、べに子も全裸になって海底探索の一員に加わりました。
 なぜ全裸なのか、その理由を著者は以下のように説明しています(以下、引用は新字・新カナとし、基本的にルビはふりません)


 【前略】太洋中にては、衣服は、凡て至大なる水の圧力を受くるの恐れあるゆえ、裸体に上越す法なし、裸体にて、重き金属を充てたる革製の胴巻を胴に纏えば、水圧を受くるの度を至て少なく、且(か)つ水面に浮き揚がる気遣いもなきゆえ、是れに優(まさ)る扮装(いでたち)はなかるべし【後略】
≪大学館『新海底旅行』P46~47≫


 未知の領域を命懸けで探索する一行ですが、ひょんな事からべに子は蛸の群れに襲われます。
 ヒロピン好き読者が最も気になる場面ですので、長くなりますが問題のシーン(?)を可能な限り引用紹介する事にしましょう。


 べに子は、スッカリ熟睡(ねこけ)て居る中(うち)、フト何やら太腿へ触っわったのに気が付いて、驚いて目を覚まして見ると、上野の摺鉢山(すりばちやま)よりも大きいかと思われるような巨大な二匹の蛸が二間半(にけんはん)もある長い足を、彼女の左右の太腿へ確(しっ)かりと捲き付けて、ズンズンと引き摺って行くのであった。
 べに子は、吃驚して、心の中に『此様(こん)な大きな蛸が海岸に居る牛の足へ、此の長い足を捲き付けて海中へ引摺り込んで、血を吸うという話は、毎度聞いても居れば、書籍(ほん)でも見て居るが、妾(わたし)の血も、今に吸って仕舞おうというのだろう、眞正(ほんとう)に憎らしいッちゃありゃあしないわ、…… お生憎さま、短剣を持って居てよ。』
 と、素早く抜こうと思って、手を動かそうとすると、如何しても動かない、『アラ変だわ!』と、能(よ)く能(よ)く視(み)れば、釣鐘へ足の生えたような二匹の蛸が、疾(とう)にべに子の後方(うしろ)へ来て、両手を確(しっ)かりと捲いて、動かすことの出来ないようにして居るのであった。べに子は、ギョッとして、最早(もう)望を絶って仕舞った。けれども、セメテ心ゆかせに、呼んで見ようと、精一杯大きな声を出して、『所天(あなた)!武丸(たけまる)さん!』と何遍も呼び、又『兄さん! 芒太(ぼうた)さん!』と何遍も叫んだ、だけれども、チットモ応じて呉れそうにもしない。
 其地(そち)此地(こち)する中(うち)、前面(まえ)に居る大蛸と、後方(うしろ)の中蛸とで、到頭青藻の生茂って居る藪の中へべに子を引摺り込んで仕舞った、スルト其処に無慮(およそ)五六百も群がって居る小蛸が吾れ勝ちにべに子の身体へ取付いたので、全身一面に蛸で隙間がなくなって仕舞った。
 べ『アラ此の沢山な大蛸小蛸に血を吸われちゃあ耐(たま)らないわ…』
 と、如何かして、身を摩り抜けようとすれども、イッカナこと、一寸も動くことが出来ない。
 モウ五六百の小蛸は、血を吸い始めた、痛くもあり、痒くもあり、クスグッたくももって
(ママ)、何の事も思えなくなって仕舞った。
 けれども、マダ其の中(うち)は、宜(よ)かったが、愈々大蛸が口を喇叭のようにして吸いに掛った。
 べに子は、もはや夢中の状況(ありさま)になり、目も見えないようになって居たが、それでも、マダ眞正(ほんとう)に正気を失ったのではないから、此の状況(ありさま)を見て、今更らのようにギョッとして、思わず『アーッ』と一声叫んだ。

≪大学館『新海底旅行』P56~58≫


 辛うじて蛸軍団の襲撃から逃れられたべに子。助かった彼女は夫に向かって海底での危機を詳しく話します。

 (ここ)に其の大略(あらまし)を挙げようものなら、彼女(かれ)は、さ(※原文は漢字ですが判読できず)きに数万の蛸に襲われて、青藻の藪へ引き込まれ、全身(そうみ)へベッタリと小蛸に取付かれたので、痒いとも、クスグッたいとも、何とも言いようがなく、アワヤ人事不省の有様に陥ろうとしたが、夢中のようでも、マダ本性はあったものと見えて、大蛸が吸い付こうとした時、『コリャ大変!』と、刎ね起きようとした、だがしかし中々以て刎ね起きられればこそ! 手も足も押え付けられて居て、一寸はおろか、一分でも動かれないのである、流石気丈なべに子も、『アア情けない、到頭(とうとう)目的も遂げられず、吾が所夫(つま)にも逢えないで、空しく虫類(むしけら)の為めに責め殺されることの悲しさよ!』と、思わず潸然(さめざめ)と泣いた。
≪大学館『新海底旅行』P67~68≫


 この後も受難は続き、ある時は無法者に襲われたり(同書P79)、ある時は悪魚に肉を食われたり(同書P93)、ある時は海賊に辱められそうになったり(同書P130)、ある時は電気鰻によって体が感電したり(同書P141~143)、ある時は他人の夢に全裸姿で登場させられたり(同書P149~150)……。
 終盤では、海底開拓を邪魔する残虐な荒くれ者に命懸けの戦いを挑み、幾度となく危機に見舞われます(同書P157,P159,P160~164,P179~180)。

 べに子さんの受難場面は膨大な量のテキストを費やして描かれており、その全部を紹介する事はできません。
 前記のように本作は「近代デジタルライブラリー」で無料公開されているため、PDF閲覧ソフトがインストールされているオンライン接続パソコンがあれば、自宅にいながら「新海底旅行」の全文が読めます。
 蛸に襲われるシーン以外の受難場面をチェックしたいという方は御自身の目で確認してみて下さい。
スポンサーサイト
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
[PR]

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ryonablog475.blog2.fc2.com/tb.php/648-9133be35
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

FC2カウンター

プロフィール

新 京史朗

Author:新 京史朗
好きな技(1):バスター技
好きな技(2):股裂き関節技
好きなシチュエーション:リョナ

最新記事

カテゴリ

小説 (86)
アニメ (33)
ゲーム (31)
アメコミ (23)
フィギュア (5)
映像・写真 (16)
DOA・無双 (114)
イラスト企画 (43)
鉄拳・スト鉄 (92)
漫画・絵物語 (107)
イラスト・挿絵 (51)
映画・イベント (34)
ウルトラヒロイン (12)
MUGEN・ドット絵 (2)
オリジナルヒロイン (8)
御挨拶・お知らせ・交流 (132)
魔法少女まどか☆マギカ (59)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR