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2017-10

若い女性と拷問ごっこ(S・A・ステーマン「マネキン人形殺害事件」より)

 S・A・ステーマンといえば、フランス冒険小説大賞を受賞した長編探偵小説「Le Dernier des Six」(邦題「六死人」)の作者として有名です。
 彼はベルギー出身の作家で、1928年に同僚との合作「Le mystère du zoo d'anvers」で文壇へ登場しました。
 1930年から一人で作家活動を行う(ただし、同僚との合作は1932年まで続きました)ようになり、1968年まで数多くの長短編を書き遺しています。
 作家としての活動絶頂期は1930年代で、代表作とされる長編は1930年から1939年までの間に書かれました。

 1931年に発表された「Le Mannequin Assassiné」(邦題「マネキン人形殺害事件」等)は、昭和10年、当時の探偵小説専門誌だった『新青年』へ山内靖氏の抄訳が「模型人形殺害事件」として一挙掲載され、昭和51年には松村喜雄氏による完訳が『マネキン人形殺害事件』の邦題で角川文庫から刊行されました。
 冒頭、ステーマンは「Le Dernier des Six」(「六死人」)の作者として有名だと書きましたが、もしかしたら、「Le Mannequin Assassiné」(「マネキン人形殺害事件」)の作者として知られている可能性の方が高いです。

 意外に思われる方も多いと思いますが、この作品の完訳版には緊縛描写が見られます。
 ただし、原文通りの訳か、それとも訳者=松村氏のオリジナル文章か、そこまでは分かりませんが……。
 翻訳では、女性を柱に縛りつけた後に「拷問ごっこ」をしたとも書かれています。
 具体的な描写はありませんでしたが、どのような「拷問ごっこ」が行われていたのか書かれていれば、この作品はリョナラー必読の一作となったかも知れません。
 もっとも、縛られる事が拷問だったのであれば話は別ですが……。


「【前略】あの頃、この物置部屋のなかは、喊声と哀願とが交錯し、阿鼻叫喚の坩堝と化していました。わたしたちは、《死人の顔》という遊びをして、羽目をはずしたものです。わたしたち、若い女性は、それぞれの好みに従って、しばしば柱に縛りつけられ、拷問ごっこをしたものです
≪角川文庫『マネキン人形殺害事件』P93≫


 同じ箇所、山内靖氏による初訳の文章では、以下のように書かれています。


「【前略】この蔵の中が、戦争ごっこの戦場になって、さんざん暴れましたわ。でも、女達はいつも拷問にかけられる役で、時々つまんなかったりしたのですけれど。
≪『新青年』昭和10年夏季増刊号 P52≫


 松村喜雄氏によれば、「Le Mannequin Assassiné」は1943年に全面改稿されたとの事。
 訳文に違いが見られるのは、『新青年』訳出の底本に1931年の初稿版を、角川文庫版の翻訳テキストに1943年の改稿版を用いた事が原因かも知れません。
 あるいは、翻訳のセンスや枚数制限の都合とも考えられます。
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