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2017-08

幼女ヒロインとなったツインテール好きの青年(水沢夢「俺、ツインテールになります。」より)

 ツインーテルへの愛情に満ちたライトノベル作品「俺、ツインテールになります。」は2012年に「第6回小学館ライトノベル大賞」審査員特別賞を受賞した直後、同社のガガガ文庫より刊行されました。
 著者は水沢夢氏。挿絵イラストは春日歩氏が描かれています。
 独特すぎる「萌えの要素」を極限まで追求した末に生まれたであろう本作の面白さに遅ればせながらハマり、年末年始を利用して『俺、ツインテールになります。』第一巻を読了しました(ラノベを読むスピードにしては遅いかも知れませんが、12月29日の夜に購入後、移動時間や就寝前にチマチマと読み進めていたので四日もかかってしまいました……)。
 読者からの幅広い支持を得られたのか文庫本は第8巻まで刊行(2015年1月2日現在)されており、コミカライズやアニメ化といったマルチメディア展開もされています。

 観束(みつか)総二はツインテールを愛する高校一年生。テイルレッドへ変身します。変身後の肉体は幼年体型の女性となり、その姿をテレビで報道されてから多くのファンがつきました。
 総二の幼馴染である津辺(つべ)愛香はツインテールが似合うツンデレ女子。テイルブルーに変身します。コンプレックスである小さなバストは変身後も大きくなりません……。
 日本人離れした容貌の美少女からは想像できない肉食系女子のトゥアールは異世界からの来訪者。白衣を着た美貌の天才科学者ながら、愛香の暴力的ツッコミを受けるたびにコミカルな反応をします。
 この三人が主役となり、総二視点の一人称描写を主として第一巻の物語は展開します。

 本作(=シリーズ全体)のキーワードはタイトルからも分かる通り「ツインテールの髪型」です。この髪型が異世界から侵攻してきた怪人の狙いであり、その侵略者を迎え撃つ地球の切り札でもあります。
 こうした「ツインテール属性最強説」に理屈っぽい設定をつけて読者へ長々と説明するのではなく、強引である事を承知のうえで「とにかく、ツインテール属性は最強」と問答無用に作者は言いきって物語を進めていきますが、この潔さが気に入りました。
 もちろん、奇抜な基礎設定を無責任に読者へ押しつけているわけではありません。それだけの作品ならば一発屋的なインパクトだけで消えていた事でしょう。
 水沢氏の上手いところは、こうした奇抜な設定を不自然に感じさせない周到なプロットで作品全体のバランスを取っている事です。
 ネタバレになるので詳しくは書きませんが、侵略者が一定レベルの刺客だけを送り込む理由(ガガガ文庫『俺、ツインテールになります。』P254)やテイルブルーのコスチュームに秘められた伏線(同書P255)は勢いだけで本作が書かれたのではない証拠とも言えます。

 この作品で最も魅力を感じたのは、異性に変身する男性主人公という設定です。
 トゥアールが強引に装着させたブレスレットでテイルレッドに変身する総二。その身は少女となりますが、心は男性のままです。
 肉体と精神が正反対の性別という点に「女装子(じょそうし)」や「男の娘(おとこのこ)」とは違う、独特のエロチシズムを感じました。
 ロリータのストライクゾーンを狙ったかのような幼女体型に肌の露出が多いコスチューム。変身後のエロチックな姿と男子中学生の精神、このギャップも「性転換ヒロイン」という属性を引き立たせているように思います。
 テイルレッドの可愛い姿、作中では下記のように描写されていました。


 何ということでしょう。
 ――可愛らしいツインテールの女の子がそこに。

【中略】
 今にもついんて~る、とポップな効果音が聞こえてきそうな、膝下まで伸びた美麗見事なツインテール。
 揺れるような滑らかさで、息遣いに合せて上下に可動する、リボン型のパーツ。
 くりっとした目が、さらに見開かれた。
 ファッションと括るには物々しく、甲冑と呼ぶにはいささか頼りない――赤と白を基調とした、まるで重さを感じない不思議な防護服。
 素肌に密着するボディスーツの上に着込まれた、所々角張ったメカニカルなこの武装が、神秘的な輝きの発生源だった。
 「お」
 そして。そしてそして。大仰な腰当てが左右についているが、スーツの股間部分は水着のようになっており、太腿が半分露出している。
 まさかと思い胸と股間を触ると、胸が外見通り平坦なものだったが、半生を共に歩んできた股の主が、大切な相棒が、綺麗さっぱり無くなっていた。

【中略】
 ツインテールとなった、俺自身。
「女になってるじゃねーか~~~
【中略】~!!」 
≪ガガガ文庫『俺、ツインテールになります。』P63~65≫

「お~、この写真はまだ見たことがなかった!!」
 窓際の角席に嬉々としてたむろっている男子たちに視線を向けると、一人が持っているタブレット端末に皆で目が釘付けになっているようだった。
「決ーめた! 今日から俺が、テイルレッドたんのお兄ちゃん!!」
 鼓膜を突き破る、致死性の世迷言(よまいごと)

【中略】
「かわいいなあ! かわいいなあ! かわいいなあ!!」
 ぞわぞわと悪寒が走る。ああ、大雑把に大人数の応援を見れば嬉しくなるけど、個々を見ていればこういう気持ちになるのか。さっき感じた、未知の感覚に呑み込まれなくて正解だった。
「俺巨乳好きだったんだけどな~……目覚めちゃったよ」

【中略】
 「あー、もう、たらまん!!」
 タブレットの持ち主が、堪えきれずに口を尖らせ、画面に近づけていった。

≪ガガガ文庫『俺、ツインテールになります。』P145~147≫

「あ、今テイルレッドが俺に微笑(ほほえ)みかけてくれた!!」
「ふん、いつまでも次元の低いことを……。俺なんて、トランクスにテイルレッドを熱転写してきたぜ! もはや、常に一緒にいないと学業もままならねえ!!」
「てめえ、レッドのbot作っただろ! 俺が先に作ったんだぞ!!」
「うるせえ、俺の方がフォロー数が多いんだぞ! 第一、もう全世界で三〇〇〇アカウントぐらいテイルレッドbotはできてるんだよ!! 今さらだろうが!!」
「うん、わかった、じゃあ放課後映画観に行こうね、テイルレッドたん」(繋がっていない携帯電話に一人で話かけている)

≪ガガガ文庫『俺、ツインテールになります。』P209~210≫


 余談ながら、性転換した主人公(or主役級キャラクター)が活躍するライトノベルやジュニア小説を四作確認しました。
 草川隆『学園変身物語』(秋元文庫)では男子高校生がガールフレンドの体に、辻真先「株式学園シリーズ」(ソノラマ文庫)はイカツイ番長が学園一の美少女に、甲斐甲賀『夜桜忍法帖 レディ=スパイダー』(富士見ファンタジア文庫)では男子医大生が超人的肉体の美少女に、ゆずはらとしゆき『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』(ガガガ文庫)では中性的な青年科学者が美しい女性に、それぞれ性と肉体を変化させます。
 いずれも品切れ本ですが、性転換ヒロイン物に興味がある方はチェックしてみて下さい。図書館やリサイクル書店では見かけないかも知れませんが、どの本もネット古書店を利用すれば比較的容易に入手できると思います。
 コミックス派の方へは、高橋留美子氏の代表作「らんま1/2」(少年サンデーコミックス。全38巻完結)をお薦めします(少女乱馬の全裸ピンチや水着ピンチが見られる第5巻と第6巻は一見の価値があるため、該当する巻をブックオフなどで探してみては如何でしょうか)。

 最後に、『俺、ツインテールになります。』第一巻で見つけたお気に入りシーンをご紹介しましょう。
 外国人と見まごうばかりの美少女がツインテール女子中学生に豪快なバックドロップを仕掛けられるシーンです。
 テイルレッドとなってエレメリアンを倒した総二から感謝の言葉を受けたトゥアール。総二の言葉を都合のいいように解釈し、その身を投げ出そうとした瞬間、愛香から壮絶なツッコミを入れられます。
 トゥアールは愛香から鉄拳制裁に近いよるツッコミを何度も喰らっており、「格闘漫画でしか見たことの無いような悶(もだ)え転げ方」(前掲書P121より引用)を劇中で何度も晒しますが、その中でもバックドロップによるツッコミは抜きん出たインパクトがありました。
 残念ながらアニメ版では該当シーンがカットされていましたが、コミックス『俺、ツインテールになります。 π』第一巻(漫画:柚木涼太)ではバックドロップによるパンモロシーンがシッカリと再現されています。


「一度奪われ、吸収された属性力(エレメーラ)はもう二度と元には戻りません。ですから、生産性の無い復讐ですが……せめて、この力を持った以上、私は奴らの侵略を止めたいのです」
「分かったよ。利害の一致って言うにはこっちの恩恵が大きすぎるけど、トゥアールの世界の仇(かたき)を討つために、そして、俺たちの世界を守るために、この力、ありがたく使わせてもらう」
「はい! 遠慮無くお使いください。 この身体(からだ)!!」
 これでもかというほどのドヤ顔で決めたトゥアールを、愛香は鞭(むち)のようなしなやかさで組み付いてからのバックドロップで沈めた。
 俺の位置からだと二人のパンツがまる見えなんだが、何でだ、何でこうもことごとく色気を感じないんだ、この二人には。

≪ガガガ文庫『俺、ツインテールになります。』P109≫


 オーバーテクノロジーが存在する異世界の住人であろうと、愛香の容赦ないツコッミには対応できないようです。
 もっとも、トゥアール本人は総二がマゾヒストの属性を持っているのなら、「心を殺してこの仕打ち(引用者註:愛香のツッコミ)に耐えます。常人ならもうとっくに息絶えているであろうこの苦行の日々に」(前掲書P202より引用)と言っており、戦場となる総二の部屋以外にツッコミの被害はありませんが……。
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コメント

トランクスにテイルレッドの最強コラボ

 学生達のテイルレッドへの熱い思いが伝わる文がエロいんだけどコミカルで笑えてしまいますね。特に「ふん、いつまでも次元の低いことを……。俺なんて、トランクスにテイルレッドを熱転写してきたぜ! もはや、常に一緒にいないと学業もままならねえ!!」のセリフ。よりによってトランクスですか!!とかなり笑えました。只今、アニメを視聴中ですが、原作小説もハイテンションで面白そうです。
 
 トゥアールさん、原作でもかなりの面白キャラのようですね。美人でエロいのにコミカルな為かパンチラ描写があっても不思議とお色気目線で見れないです(笑)。

エロいけど……コミカルな作品

>ゼロ様

 熱すぎる学生たちの「テイルレッド萌え」ですが、誰も彼も熱心過ぎますねw

 トランクスに熱転写した学生ですが……尻部分にプリントしていたら「愛しのレッド」を尻の下敷きにしてしまい、前なら前で「可愛いレッド」が穢れてしまいます。
 一体、どの部分にプリントしたのやら(苦笑)。

 >トゥアールさん、美人でエロいのにコミカルな為かパンチラ描写があってもお色気目線で見れない
 同感です! なにか「これじゃない感」がプンプンしてきますね。
 それでも「バックドロップのパンモロ場面」はアニメ版でも見たかったですが……。

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