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2017-05

血戦! アムステルダム自然公園

【はじめに】
 約3年ぶりとなる「鉄拳」ネタのSSです。「鉄拳Revolution」より、エリザとニーナの戦いをテーマにしてみました。
 今回は挿絵の代わりにRPK氏から御提供いただいたキャプチャー画像を使用しています。
 調べてみたところ、最後に書いた「鉄拳」ネタのSSは2011年11月に書いた「格闘令嬢の敗北 悪鬼の強襲」でした(前編は2011年11月24日に公開、後編は2011年11月25日に公開)。
 2011年はリリが主役のエリョナSSを多数書いており、過去記事をチェックしながら、当時の事(東日本大震災も影響した慌ただしい私生活や「鉄拳タッグトーナメント2」本稼働への期待)を懐かしく思い出していました。
 エリザは細かいキャラクター設定が公開されておらず、口調や性格は自己流設定になっています。違和感を覚える方もいらっしゃると思いますが、この点については前記の理由により御容赦下さい。
 また、背景となるストーリーも公式設定を無視した独自設定となっていますので、原作の世界観が崩されるのを嫌う方は閲覧をお控え願います。


 暖かい春風を巨大な羽根に受ける数台の風車。豊饒な土に植わって真紅の花を咲かせるチューリップ。
 風光明媚な観光地であるアムステルダム自然公園は、この日も平和な一日となる……筈だった。
 人、人、人、人、人、人、人、人、人、人。
 午前10時の開園直後から園内は人で溢れかえり、あまりの混雑ぶりに開園5分で入場制限がかけられる異例の事態となったのである。

 三島財閥主催による第7回「The King of Iron Fist Tournament」の開催三日目。
 今日はAブロック最終戦となるニーナ・ウィリアム対エリザ・ド・ロシュフォールの試合会場がアムステルダム自然公園で行われる。
 開園以来最大の入場者数を記録したのは、このためだったのだ。
 赤と黒を基調としたゴシック調のドレスを現代風にアレンジした不思議なコスチュームを着た黒い髪のエリザ。その頭部には角らしき二本の突起物が見られる。
 肩と太腿を露出させた紫色のボディスーツを身にまとい、体型にフィットした衣裳を通じて逞しく艶やかな肉体美が伺えるニーナ。頭の後ろで束ねたブロンドヘアーが風になびいている。

 「おい、見ろよ。あの女の子の頭から角が生えてるぜ」
 運よくギャラリーになれた大学生らしいニキビ面の青年が隣の友人に言った。
 「バ~カ。作り物に決まってるだろう。あれだ、ほら、コスプレってヤツだ」
 クチャクチャとガムを噛みながら友人が青年に向かって言い返す。
 「Kosupure?」
 「なんだ、お前。コスプレも知らねえの? 仮装の事だよ」
 「ハロウィンでもないのにか?」
 「あの綺麗な黒髪、絶対にヤマトナデシコだ。ニッポンじゃコスプレは文化の一つらしい。季節なんて関係ないんじゃねえか」

 試合開始の二日前から徹夜して入場門に並び、一番乗りで入場したポール・フェニックスとマーシャル・ロウは猛ダッシュでベストポジションを確保していた。
 「おい、ポール。カメラは持ってきただろう?」
 「おうよ! バッテリーもフル充電していある」
 「解像度は1600万画素。自動手振れ補正。オートフォーカス。露出自動調節。これだけの機能があれば機械オンチでも大丈夫だと思うんだが……」
 「グチグチとうるせ~なぁ。このポール様に任せとけって」
 「このカメラを買うために店の液晶テレビとエアコンを売ったんだ。絶対に撮り損じるんじゃないぞ」
 「心配すんな」
 「だが……本当にベストショットとやらが取れるのか?」
 「ああ、絶対だ! ニーナが相手ならエリザちゃんの恥ずかしいショットが拝める事は間違いない」
 「恥ずかしい姿?」
 「股裂きやら、強制開脚やらだ。その撮影画像を大量にコピーしてネット販売すれば股間マニアに高く売れる。足関節技を極められた瞬間こそがベストショットの狙い目なのだ」
 「あの女の関節技は効くんだよなぁ。オレは足じゃなかったが、腕を折られた」
 「そうそう、お前は前大会でニーナに右腕を折られたんだっけなぁ。試合時間35秒の超スピード決着で話題になったっけ」
 「うむぅ……。その話はしないでくれ」
 「おッ、そうだ! 彼女の苦しむ表情も押さえておこう。そっち系のマニアにも売れる」
 「そんな写真まで売り物になるのか。世の中にはいろいろなマニアいるものだなぁ」
 よからぬ相談で盛り上がる、かつての「The King of Iron Fist Tournament」優勝候補選手達であった。

 三百年近い眠りから目覚めた吸血鬼(ヴァンパイア)
 どんなにインポッシブルな依頼でも完遂する凄腕暗殺者。
 二人の素性を知る一部の関係者にとって、この対戦は注目の一戦だった。
 特に三島一八はエリザに強い興味を持っており、対戦カードを操作してニーナと対戦するように仕組んでいたのだ。
 エリザが吸血鬼になった理由は詳(つまび)らかではないが、その原因が『デビル因子』にあると推測した一八はニーナにエリザの血液サンプル採取を命じたのである。
 「弱点である日光を克服し、日中も活動できる吸血鬼。この謎に『デビル因子』が深く関わっている可能性は高い。しくじるなよ、ニーナ」
 ニーナが衣裳の胸元に付けた超小型カメラから送信される映像を大型画面で見ながら、一八は低い声で呟いた。

 「覚悟はいいかしら、お嬢ちゃん」
 「あなた……いい悲鳴をきかせてくれそうね」
 物騒な会話が交わされ、二人は静かに試合開始の合図を待った。
 午前10時55分。
 レフェリーが現れ、形式的に禁止事項や決着方法を説明する。
 午前11時。
 大勢のギャラリーに見守られながら、レフェリーが試合開始を高らかに宣言した。
 「第7回『The King of Iron Fist Tournament』Aブロック第4試合。レディィィ……ファイトッ!」

 試合開始と同時に二ーナが猛ダッシュで突進してきた。
 高速タックルでエリザを押し倒し、関節技を極めるつもりらしい。
 常人離れした瞬発力のある二ーナが得意とする高速タックルは文字通りのスピードだが、常人でないエリザにとってはスローモーな動作に見える。
 「ふん。遅いわ」
 毒々しい紫色をした唇から牙を剥き出し、艶やかだが不気味な笑みを浮かべながら、エリザは嘲りの言葉を口にする。
 「えいッ」
 次の瞬間、エリザは右足を高く上げ、タックルを仕掛けるニーナの後頭部めがけて踵落としを繰り出した。
 「チッ」
 重心移動による強引な軌道修正で踵落としをかわしたニーナだが、その代償として右足首を痛めてしまった。
 (うッ……。右足首を痛めたか。この小娘、なかなかやるわね)
 初出場となるエリザの格闘スタイルには謎が多く、二ーナも下手に攻撃を仕掛けるのは止(や)め、距離をとって相手の出方を伺う事にした。

 「よろしくってよ、エリザ。あなたの強さ、三島財閥の犬に骨の髄まで思い知らせてやりなさい」
 巨大スクリーンに映し出される試合中継の映像を見ながら、美しい金髪を腰まで伸ばした華奢な体型の少女が言った。
 フリルだらけの白いシルク製ドレスを優雅に身にまとった少女はサイドテーブルのティーカップへ手延ばし、その中身を上品にすすった。
 「お父様の会社を潰した三島財閥。ブラック企業に関わる者は有象無象を問わず叩きのめしてやりますわ」

 「どうしたの、もう攻撃は終わり? それじゃ、私のターンね。ハアッ」
 気合いの籠った鋭い掛け声と同時にエリザの左腕がアンダースローの動きを見せたかと思うと、黒い衝撃波が宙を切り裂きながらニーナに向かって放たれる。
 彼女が吸血鬼となってから会得したダークネスウェイブという技だ。
 「くッ。この化け物め」
 「あ~っはははは。まだまだ行くわよ」
 休む間もなく放たれる衝撃波の余波で数千株のチューリップが左右に大きく揺れる。
 エリザの放つダークネスウェイブは衝撃で切り裂くタイプの衝撃波ではなく、凝縮させた闇のエネルギーを敵に向かって飛ばすタイプの衝撃波なので、正面から直撃させない限り大したダメージは与えられないのだ。
 おかげでギャラリーへの被害は出ていないが、目の前で展開される漫画のように派手な戦いは特撮ショーのようであり、誰もが言葉を忘れて先の読めない試合に見入っている。

 「ニーナ、いつまで逃げている。衝撃波の合間を縫って近づき、関節技を極めてしまえ」
 防戦一方の苦戦を強いられる二ーナに対し、一八は小型マイクを通じて指令を出した。
 『わかっている。だが……いや、なんでもない。技のパターンは見切った。徐々に距離を詰めて一気にケリをつける』
 「しくじるなよ」

 (好き勝手な事を言ってくるわね。衝撃波の軌道は直線のみだから見切るのは簡単だが……うッ。この痛めた右足で一気に距離を詰められるかしら)
 「どうしたのかしら。逃げてばかりではつまらないじゃないの。さあ、得意のサブミッションを極めてごらんなさい。できれば、だけれどね」
 「フン、小娘が生意気を言ってくれるじゃないの。いいわ。お望み通り、得意の関節技地獄で体中の骨をへし折ってやる」
 「口だけは達者のようね。ほ~らほら、この攻撃をよけきれるかしら」
 「なめるんじゃないよ、小娘ぇぇぇぇ」
 ズキズキと痛む右足首のダメージを意に介さず、ニーナは直撃寸前で【ダークネスウェイブ】をかわし、徐々にエリザとの距離を詰めて行く。
 「チッ……。思った以上に素早いわね。はアッ。はアッ」
 さらに速度を上げて衝撃波を打ち放つが無駄だった。技の軌道を完全に攻略していたニーナは必要最小限の動きでよけながら、いつの間にかエリザの眼前に迫っていた。
 「し、しまった」
 「うふふふふ、形勢逆転のようね。御所望の関節技地獄を味あわせてあげるわ。でも、その前に……」
 ニーナは右手で手刀を作り、素早い動きでエリザの衣裳を切り裂いた。
 「な、なにをす……キャアァァァァ」
 ゴシック調のドレスは見るも無残な布切れとなり、その下からはビキニ水着のような下着でバストと急所を隠した美しい半裸体が現れる。
 「オオオオォォォォォォ」
 思いもよらぬサービスショットに男性ギャラリーから歓声が沸き起こった。

 「なにをしておりますの、エリザったら。あれほど試合では油断をするなと言ってありましたのに」
 エリザを目覚めませた張本人にして、彼女の子孫でもあるエミリ・ド・ロシュフォール嬢は、手にしたティーカップを乱暴にサイドエーブルの上へ起き、あられもない姿を晒す『先祖』の醜態に怒りの声を張り上げた。
 巨大スクリーンには服を切り裂かれた下着姿のエリザが映っている。
 「あの女は関節技の使い手。間合いに入られたら……」
 前大会でニーナの関節技地獄を体験しているエミリは、その時の事を思い出すと背中がゾクリとした。
 「こうなっては仕方ありませんわね。あとは……運を天に任せましょう」

 「間合いに入らてしまったわね。どうする、お嬢ちゃん」
 「どうする? こうするのよ」
 恥ずかしい恰好への動揺を隠し、エリザは虚勢を張りながら右手でアッパーカットを繰り出した。
 だが、その拳はニーナの顎に届かなかった。
 「ふん、そんな腰の入っていないアッパーカットが当たるわけない」
 ニーナは華麗な動きでエリザのアッパーカットを捌(さば)き、逆に掌握でエリザの顎を強打した。
 「アグッ」
 苦悶の表情を浮かべながらよろけるエリザ。
 ニーナは攻撃の手を休めず、そのまま次の技へとコンボを繋ぐ。
 「まだまだよ」
 すぐさまエリザの左腕を掴んで自分の脇の下へ挟み込んだ。立逆脇固めで肘を極め、同時にそこを支点として自分の体重をかける。
 「アグッ……。う、腕が……折れそ……う……だわ」
 「そのつもりよ。まずは片腕を壊させてもらう。ほ~ら」
 そう言うと容赦なく支点へ全体重をかけた。
 グキッ。
 鈍い音がした。どうやら肘の骨が折れたらしい。
 「あぐッ……。ううッ……くぅ……」
 だが、エリザは悲鳴を上げず、くぐもった声で痛みに耐えている。
 「へえ、可愛い見た目に裏腹に我慢強いんだねぇ。少しは見直したよ。だけど、これに耐えられるかしら」
 固く目を閉じ、脂汗を浮かべながら痛み耐えるエリザに、ニーナはさらなる追い打ちをかけた。
 左腕を折られた痛みから、エリザは両足を踏ん張りながら前屈みの格好をとっている。
 ニーナはエリザの折れた左腕を自分の左脇の下へ挟んだまま、体を右に45度回転させ、力なく垂れ下がっているエリザの右腕を素早く自分の右脇の下へ挟み込んだ。
 両腕をロックされ、後頭部はニーナの背中に邪魔されて持ち上げられない。裏閂鷹羽絞によって、エリザは動きを完全に封じられてしまった。
 「うくッ。だ、駄目だわ……。動けない……」
 「さて、これで仕上げだ。両肩を外させてもらうよ」
 ゴキッ。ゴキッ。
 嫌な音がした。エリザの肩甲上腕関節が脱臼したようだ。
 「うッ……あぐッ……いやぁぁぁぁぁ」
 この苦痛には耐えきれなかったのか、エリザは牙が丸見えになるくらい大きく口を開け、甲高い悲鳴を上げた。 

可動範囲を超えた肩の関節が外され、エリザは苦痛に喘ぐ……
(C)画像提供:RPK

 「うほッ、いいねぇ、いいねぇ。思った通り、いい仕事をしくれるぜ。あのサディスト女、えげつない攻撃を仕掛けやがる。相手が女の子でも容赦しねえとは」
 「ポ、ポール……。言っている事が一致していないぞ」
 「それはそれ、これはこれだ。ニーナのえげつなさにはゾっとするが、逆に今は……ただただ頼もしい」
 もはや自分でも言っている事が分かっていないのであろう。ポールは意味不明な言葉を口にしながら、デジタルカメラのシャッターボタンを一心不乱に連射している。

 「ハア……ハア……ハア……」
 技から解放されたエリザはその場にへたりこんでしまったが、すぐに渾身の力を振り絞り辛うじて立ちあがった。
 「おやおや、本当に我慢強い娘(こ)だねぇ。前大会の三回戦で戦ったマーシャル・ロウは片腕を折られただけでギブアップしたって言うのに」
 「こ、この程度でギブアップするわけ……ないでしょう。ま、まだ……ハア、ハア……戦えるわ」
 そこへレフェリーが割って入った。
 「エリザ、ギブアップか?」
 「じょ、冗談じゃないわ。戦闘続行よ」
 「しかし、両腕が使えなくては勝負にならないのでは」
 「うるさいわね。ギブアップしないと言っているでしょう」
 「わ、わかった。だが、あまりにも一方的な試合になるようならレフェリーストップをかけるからな」
 「好きになさい」
 心配そうな顔をしながら、レフェリーは立ち位置に戻って行った。
 「あらあら、良かったのかしら。試合を続けたら、もっと苦しむ事になるわよ」(まあ、本当は試合続行を宣言してくれて助かったわ。まだ、血液サンプルを採取できていないのだから)

 「エリザ……」
 両腕が使えなくなったエリザの痛々しい姿を眼下に見ながら、巫女装束のような白い和服を着た女性がポツリと呟いた。不思議な事に女性は青く晴れた空に浮いていた。
 それにも関わらず、ギャラリーの誰一人、この謎めいた女性の存在に気付いてはいない。
 赤い帯には『三島一美』と名前の刺繍が施されていた……。
 
 「さて、私もヒマじゃないし、次で勝負を決めさせてもらうわよ」
 「そうは……いかないわよ。ハアッ」
 エリザは気合いと共に右ハイキックを繰り出し、ニーナのコメカミを狙った。しかし、そのスピードは素人目にも早いとは言い難かった。
 「遅い遅い。まるで足関節技を極めてくれと言っているようなものね。いいわ、次は足関節技地獄を味わいなさい」
 残忍な笑みを見せ、ニーナはエリザの右足をキャッチすると同時に軸となっている左足を払いのけた。
 「し、しまった」
 「右足と股関節を壊させてもらうわ」 
 バランスを崩して倒れるエリザに併せ、ニーナも自らの身体を傾ける。
 倒れながらも器用にエリザの右足を両腕抱えると、自らの両足を『4』の字型に組んだ。
 ドスッ。
 「さあ、苦痛に喘ぎなッ」
 言うが早いか、左足の踵でエリザの柔らかい股間を踏みつけ、右足をエリザの左膝に当てて限界まで伸ばした。
 それと同時に両腕で抱えたエリザの膝を自分の太腿の付け根に置き、そこを支店に可動方向とは逆に方向へ力を加える。
 ボキッ。グキッ。ビキッ、
 膝蓋骨(しつがいこつ)が砕かれ、股関節が外され、股が裂けそうなくらい大きく開かされた。
 「キャアァァァァァァ」
 血を吐くような絶叫が自然公園に響き渡る。

ニーナは容赦ない足関節技でエリザの股関節と足首を痛めつける
(C)画像提供:RPK

 「キタァァァァ。エリザちゃんの股裂き、キタァァァァァ」
 小声だが、興奮を隠しきれない口調でポールが言った。
 もやはロウはポールを完全に無視している。何を言っても無駄だと悟ったからだ。
 金髪を垂直に立てた赤い道着姿の大男の狂態に恐れをなしたのか、周囲で観戦していた良識あるギャラリーも範囲十メートル以内から出て行っていた。

 (今だ!)
 左手を離したニーナはボディスーツの中へ器用に隠していた注射器を取り出し、エリザの股下に素早く針を刺した。
 女性にとって最も敏感な所へ針を刺されたにも関わらず、下半身を襲う骨折や脱臼の激痛にまぎれ、エリザは注射針を刺された事に気付かない。
 手早く200ccの血液を採取し、ニーナは再び注射器をボディスーツの中へ隠す。
 それと同時にレフェリーが駆けつけ、エリザの戦意喪失を確認した。
 固く目を閉じ、歯を食いしばったまま、エリザは『大』の字になって横たわり、気を失っている。
 「勝負あり。Aブロック第4試合、勝者、ニーナ・ウィリアムズゥゥゥゥゥ」
 レフェリーがニーナの勝利を声高に宣言したが、それに対するギャラリーの反応は悪かった。
 あまりにも一方的で残虐な蹂躙に血の気を失ったものと思われる。
 だが、そんなギャラリーの反応にも、レフェリーからの勝利宣言にも、ニーナは興味がない。
 採取した血液を三島一八に届け終えてこそ、依頼の完遂となるからだ。
 意識を失って倒れるエリザを一瞥したニーナは、入場門前で待機している筈の車に向い、その場を立ち去った。

 数日後。
 ロウが経営する中国料理店へ足を踏み入れたポールは開口一番、謝罪の言葉を口にした。
 「すまねぇ、ロウ」
 「おいおい、どうしたんだ。店に入る早々、いきなり謝ったりして。ハッ。ま、まさか……」
 「実は……デジタルカメラに記録用のSDカードを入れ忘れてたんだ」
 「そ、それって……もしかして……」
 「試合の写真は一枚も撮れていなかったんだ。すまねぇ。本当にすまねぇ」
 「ハハ……。ハハハハ……。ア~ッハハハッハ。え、液晶テレビが……。エ、エアコンが……。貴重な店の財産を売ってまで買ったデジタルカメラが役に立たなかったか。そいつは傑作だぁ。ア~ッハハハハ」
 「お、おい。ロウ、大丈夫か?」
 「無駄だ。無駄無駄無駄ぁぁぁ。ア~ッハハハハ」
 あまりのショックに錯乱してしまったロウ。その虚しい言葉が一人の客も入っていない、さびれた店内に響き渡った。



【あとがき】
 5回のリライトを経た末、ようやく水着エリザが登場するSSを脱稿(この表現、一度でいいから使ってみたかったです!)できました。
 最初に断り書きをしました通り、エリザの性格や口調は資料が少ないので妄想補完しております。違和感を覚えられた方も多いと思いますが、その点はどうか御容赦下さい。
 RPK氏とのオンライン対戦中、股裂き関節技を極められた水着エリザの股間がチューリップで隠れるショットを見た時からアイディアはありましたが、「エリザが水着姿で戦う理由」を考え出せず、結局は「水着に見える下着」という強引な逃げ道を作ったものの、このような解決方法で良かったのか書き終えた今でも悩んでいます。「チューリップに隠れる股間」というシチュエーションも活かせませんでしたし……。
 ポールや一八、リリ、三島一美の登場シーンを断片的に挟む多元中継の趣向を取り入れてみたのですが、この試みは一応成功したのではないかと手前味噌ながら若干の手応えを感じました。
 本作を書くにあたり、RPK氏の未発表SSを見せていただいたうえ、貴重なセクシーショット画像まで御提供いただきました。オンライン対戦だけでなく、アフターケアーにも親切に対応して下さるRPK氏には記して感謝いたします!



【付記】
 12月15日の日計アクセス数が305件を記録しました。2014年11月29日に記録した日計最高アクセス数245件を大きく上回り、歴代第1位の日計アクセス数を更新しました。御訪問下さった皆様に厚く御礼申し上げます。
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コメント

お疲れ様ですー
久しぶりのSS、存分に楽しませて頂きました!
通常コスからビキニコスへの転換が上手いですね、脱衣...その手がありましたねw
最後のオチも良いですが、吸血鬼が血を奪われるという皮肉な描写もgoodでした^^

お疲れ様です!
今か今かと毎日楽しみにしておりました!
楽しませてもらいました!次も楽しみです!

やっと完成しました!

>RPK様

 頂戴した画像資料、極々一部ではありますが、やっと活用できました。
 エリザが水着姿で戦う理由を思いつけず、以前のような架空対談で画像を紹介する手段に逃げようとも考えたのですが、それでは申し訳ないと頑張ってみました。
 気に入っていただけたのならば幸いです。

 >通常コスからビキニコスへの転換が上手いですね
 ありがとうございます。脱衣システムは「龍虎の拳」や「風雲黙示録」にもあり、もっと早く思いつくべき手段でした。

 >最後のオチも良いですが、吸血鬼が血を奪われるという皮肉な描写もgood
 試合だけで話を終わらせるのも味気ないため、蛇足を覚悟でオチを設けてみました(>_<)
 吸血鬼であるエリザから「血を奪う」という点、皮肉と言えば皮肉ですね。ただ、御指摘を受けるまで、その事に気付きませんでした……。

 次回はドレス(通常)コスチュームのエリザが主役のSSに挑戦してみる予定です。
 大まかなアイディアさえありませんが、キングかニーナとの対戦を描いてみたいと思います。

お待たせいたしました

zzz様

 コメント、どうもありがとうございます。
 ようやく水着エリザが主役のSSを完成させられました。

 本当は「チューリップに隠された股間のエロス」や「朝露に濡れた花弁の水滴に濡れる水着」という要素を取り入れたかったのですが、とても無理でした……。
 もう一作くらいエリザが主役のSSを書いてみたいので、気長にお待ち下さいませ。

関節破壊はいいですね、最高です!ニーナの膝十字や背後投げの股裂き三角締めなど股裂き系は関節リョナ技ではトップクラスにイイ技ですね!

てか最後のオチwwwいや、でも自分がその立場だったらガチでショックですわwww

感想、ありがとうございます

>あるマン様

 美女or美少女が下半身の関節技を極められるシチュエーションはエロチックですよねw
 股裂き系の関節技こそ、男のロマンです!

 今から半世紀以上も前に出ていた『奇譚クラブ』という雑誌には、ここまで現代的ではありませんが、美女責めがテーマの巻頭イラストや写真、小説が数多く掲載されており、昭和20年代終盤から昭和30年代前半の号はリョナラー必見の神懸かったクオリティです!
 当ブログでも、機会があれば「これだ!」という作品を紹介したいと思います。

 >ニーナの膝十字や背後投げの股裂き三角締めなど股裂き系は関節リョナ技ではトップクラス
 全くです!
 幸いにもRPK氏が関節技リョナへ関心を持っておられるため、今後もエロチックなベストショットを狙った対戦を申し出てみようと思います。
 ゲーム系リョナを扱っている相互リンクの管理人さんにも、関節技への理解や造形の深い方が多く、そちらでの画像公開も期待できますよw
 中でも、SVYNTさんのブログでは高画質&見る側のツボを心得たショットが多く公開されており、ゲーム系リョナが好きな方ならば必見です!

 >最後のオチwwwいや、でも自分がその立場だったらガチでショックですわwww
 蛇足的なオチかと思いつつも、最後は笑いで幕引きとしてみました。

 自分で思い描いていた物とは少し違う出来栄えとなったため、もう一度、エリザ対ニーナの対戦を題材にしたSSに挑戦してみるつもりです。

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Author:新 京史朗
好きな技(1):バスター技
好きな技(2):股裂き関節技
好きなシチュエーション:リョナ

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