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復讐鬼と美女(角田喜久雄「発狂」より)

 15歳の時に『新趣味』の懸賞小説へ投稿した「毛皮の外套を着た女」が入選し、早熟な才能を見せた角田喜久雄氏。
 映画化された「髑髏銭」や「風雲将棋谷」等、作家としての業績は時代小説の分野で知られていますが、探偵小説や怪奇小説も数多く発表しており、こちらの分野にも傑作を遺しています。
 なかでも、終戦直後に発表された「銃口に笑ふ男」(現題は「高木家の惨劇」)は奇抜なトリックを用いた本格探偵小説であり、横溝正史氏の「本陣殺人事件」と共に日本探偵小説黄金期到来の礎を築きました。

 大正時代末期から創作活動を行っていた角田氏の戦前の代表作に「発狂」と題する短編があります。
 鉄工所に働く父が工場主との争いで両足を失った事で地獄のような生活を余儀なくされた少年が、父親から呪わしい教育を受けて育ち、数年後に工場主だった男へ復讐をする話です。
 最終的には、事件の主だった関係者全員へ悲劇的な運命が訪れ、奇想天外なオチで物語が締めくくられます。

 本作の後半、父親の仇と狙う工場主の娘に近づいた青年は、結婚目前までこぎつけた彼女へ復讐の牙をむきます。
 その復讐は凄惨を極め、まさに復讐鬼とも言える凌辱を加えます。


 それから車庫の自動車から、こんこんと眠りつづけている敏子を運んできて書斎の真ん中へ寝かせた。猿轡を施し手足を縛り上げると、戸締りをして、寝室へ戻ってぐっすり寝についた。
【中略】
 敏子は信じられないように、なおもかれの顔を見詰めた。朝の日光が和やかに窓の障子に照り映えていた。そんな南向きの窓と部屋の調度とが、あの別荘の書斎が持つ独特の陰影を描き出して、ことさらに部屋の印象を特徴づけていた。
【中略】
「あなた不審でたまらないのでしょうね、なぜ自分が縛られて猿轡までかまされているのだろう? なぜ稲葉はさっさと解いてくれないのだろう? なぜ優しい言葉をかけてくれないのだろう? なぜ……? とね。まあ、そうでしょうね。けれども、いまに分かりますよ。もうじきです。順を追ってご説明しますからね。もう、ほんのちょっとのご辛抱です」
【中略】
「それもこれもみな運命というやつでしょう。そりゃあ、あなたには直接の罪はないんです。けれども、かえっていちばん激しい苦痛を受けなければならないんです。あなたがいちばん激しい苦痛を受けるということは、すなわちお父さまがいちばん適切な苦痛をお受けになるということなんです。つまり犠牲になるのですね。美しい、美しい犠牲です。【後略】
【中略】
 女は意識を戻しはじめた。それで、かれは女の猿轡と縄の具合とを調べてから書斎を出た。
【中略】
 堀一重の隣には、最愛の敏子が浅ましい姿で転げ回っているとも知らず、米田は調子に乗って喋るのであった。
≪春陽文庫『下水道』P173~184≫


 復讐場面の具体的な描写は一種のネタバレにもつながるので、リョナの範囲から逸脱すると判断した事もあり、引用は控えました。
 中略部分が多いわりにはブログの趣旨に合うような描写が少ないのですが、鬼畜な方法で美しい女性に辱める復讐鬼の物語を紹介したく、あえて角田氏の「発狂」を取り上げた次第です。
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