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2017-07

美しき人間地図の悲劇(横溝正史「幽霊鉄仮面」より)

 金田一耕助探偵譚の作者として有名な横溝正史氏は、大正時代から創作活動を行っていました。
 小学生時代に少年誌へ投稿した俳句や作文が誌上掲載され、学校卒業直後の銀行員時代、事実上の処女作となる「恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)」が『新青年』の懸賞小説に入選し、同誌へ掲載されています。
 この後、郷里を離れて上京し、雑誌編集者を経て、昭和7年に専業作家となりました。
 多作家である横溝氏は旺盛な執筆活動で数多くの作品を世に送り出し、創作量が激減する時期もありましたが、79歳で没するまで500編を超える小説を遺しています。

 昭和12年から翌13年まで『新少年』へ連載された「幽霊鉄仮面」は、掲載誌や作品タイトルから分かる通り、少年向けの探偵小説です。
 モンゴルの奥地で辛酸を舐め尽した人物が復讐鬼・鉄仮面となって帰国し、自分を苦しめた男達に復讐をして行く物語で、アレクサンドル・デュマの「岩窟王」が骨格になっていると思われます。

 本作では、美しい二人の少女の背中に彫られた刺青が重要な役割を果たしますが、この「人間地図」を巡り、二人の男が激しく争います。
 欲望の犠牲者となった美少女について、横溝氏は次のような描写で読者に妄想を抱かせています。


「おい、だれかあのトランクをあけろ!」
 と、等々力警部の命令で、部下の刑事がただちに、トランクにおどりかかって、パッとふたをはねのけたが、そのとたん、さすがの由利先生も思わず、あっと息をのみこんだのだ。なんということだ! トランクのなかにははだかの美人が、くい入るような荒なわにしばりあげられ、息もたえだえにのたうちまわっているのだ。俊助はひと目その顔を見ると、のけぞるばかりにおどろいた。
「あっ、妙子さんだ!」
 妙子はその声を聞いたしゅんかん、安心とはずかしさのために、思わずフーッと気が遠くなってしまった。その妙子の肌には、あのいたいたしいいれずみの地図がありありと。――

≪角川文庫『幽霊鉄仮面』P216≫

「ああ、文代さん」
「妙子さん」
 と、呼びかえしたいところだろうが、かわいそうにぐるぐるとしばられ、さるぐつわをはめられた文代は声を出すことができないのだ。

【中略】
「ゆるして」
 と、おびえて泣き叫ぶ妙子のからだをいきなり抱きしめ、むりにそのうわぎをはぎとり、下着をぬがせる。と、見ると、その肌にありありとのこっているのは、あの奇妙ないれずみなのだ。

【中略】
「助けて。だれかきてえ」
 と、妙子はむちゅうになって叫ぶのだが、なにしろところせまい一軒家。しばられた文代が身をもがいてあせるのだが、どうすることもできない。

【中略】
「ははははは、いいことがあらあ。この焼きごてでおまえたちのそこいれずみを焼き消してしまうのだ。ははははは、こいつはいい」
 ああ、なんというおそろしさ。牧野はニタリニタリと笑いながら、まっかに焼けた火かき棒を取りあげると、猫のように、足音をしのばせ、一歩一歩、妙子のそばに近寄ってくる。ああ、その顔のすさまじさ。妙子はシーンとからだじゅうの血がこおる思い。逃げようにも手足をしばられているし、すくいを求めようにもこの一軒家。

≪角川文庫『幽霊鉄仮面』P228~229≫
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