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女性探偵の羞恥と苦痛(乾くるみ「Jの神話」より)

 乾くるみ氏は1998年に第4回メフィスト賞受賞作「Jの神話」で作家デビューし、現在も別名義による評論活動と並行しながら創作活動を続けています。
 2段組みの新書判で400ページを超えるボリュームの大長編「Jの神話」は、全寮制の女学校で繰り広げられる連続自殺の秘密をメインの謎として扱っており、初刊本の背に記された「妖しく慄える衝撃作」というキャッチコピーに偽りのない変格ミステリーでした。

 ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、本作ではレズビアン趣味に近い女性達のスキンシップを描いたシーンが多く、今野緒雪女史の「マリア様がみてる」やクリスタ・ウィンスローの「制服の処女」とは違った意味で閉鎖的な『女性の園』を描いています。
 女学校で学ぶ生徒同志の濃密なスキンシップ描写より、主人公の坂本優子と学園のアイドル的存在となった高橋椎奈が午後の礼拝堂でキスするシーンを抜粋してみましょう。


 ドアを閉ざして戻って来た椎奈は、優子は先ほど空けた隣の席へと腰を屈めて、そして小声でそっと呼び掛けて来た。
「優子……」
 なに? と首を傾げて、相手を見上げたその優子の顔に、椎奈の顔が覆い被さって来た。
「好き……」
 え……と思う間もなく、優子の両頬は相手の両の手に包み込まれていて、そして椎奈の美しい顔が、間近に迫ってきて……。
(あ……)
 思わず目を閉じる。自分の唇に相手の唇が重なる、その感触。
 そのまま上体に体重を掛けられて、優子は信徒席の上に仰向けに横たわった。椎名の身体が、自分の上に重なっている。
(なんで……? やだよ、こんなの……)
 閉じた唇の入り口を、ちろちろと相手の舌がなぞって、隙を作ろうと動いている。優子がそれを拒み続けていると、やがて相手の唇は離れていった。

≪講談社ノベルス『Jの神話』P65~66≫


 先述のようにネタバレと直結するのでレズビアン趣味への言及は以上のみで控えますが、こうした女学生同士の絡みは数多く見られるため、百合系のネタが好きな方は「Jの神話」を読んで該当シーンを探してみてください。
 この記事では初刊本をテキストにしていますが、現在は文春文庫が比較的手軽に入手できるはずです。

 ここから本題となりますが、この「Jの神話」には《黒猫》と渾名される女性探偵が登場します。
 彼女の本名は鈴堂美音子(りんどみねこ)
 娘二人が不幸な死に方をした化粧品会社の会長から依頼され、死の謎を解明すべく聞き込み調査を開始しました。その過程で不可解な殺人事件や女生徒投身自殺との関係が見つかり、自慢の直感を駆使しながら《黒猫》は縺れた糸のように入り組んだ事件の真相に迫っていきます。
 雌豹を思わせる女性探偵の容姿を作者は次のように描きました。


 大人の女性である。二十代の後半ぐらいだろうか。左右の目尻(めじり)が吊り上がって、どこか猫科の動物を思わせる、派手な顔立ちをした、美しい人であった。
(……誰?)
 修道服と見間違うほどの黒一色のスーツを身に纏い、ただその場に立っている。しかし明らかにその女性の持つ雰囲気は、シスターたちの持つそれとは違っていた。たとえて言うならば、見せかけのしなやかなその肢体の陰で、敏捷(びんしょう)に働く筋肉を緊張させ、今にも獲物に跳びかかろうとしている獣のような感じである。

≪講談社ノベルス『Jの神話』P164≫


 男勝りで活発なボーイッシュ系美女を連想させる《黒猫》ですが、ハードな探偵業で大都会を生き抜くタフな女性探偵のお色気描写も挿入されており、乾氏は読者へのサービス描写も忘れていません。


 美音子はその酔いに身を任せるようにして、ベッドへと倒れ込んだ。反動でバスタオルがはだけ、下腹部が露出したのが分かった。彼女は身体を丸めるようにして、酔った目で自分のそこをジッと見詰めた。
≪講談社ノベルス『Jの神話』P206≫


 この程度のお色気描写では興奮を覚えないかも知れませんが、物語後半、より過激なサービス描写を作者は用意していました。
 雷雨の夜、事件に深く関係していると見込んだ相手の秘密を探ろうと個人病院へ忍び込んだ《黒猫》は黒幕に見つかってしまい、最大のピンチを迎えるのですが、その時の描写が官能小説顔負けの迫力で書かれているのです!
 両手両足を縛られたうえ、まんぐり返りのポーズを強制され、敏感な部分に危険な物を挿入されてしまいます。
 以下、彼女の衣装描写と屈辱的な拷問にかけられる場面を抜き出してみます。


 美音子は飼い猫のジャムに餌を与えると、手早く身支度にとりかかった。黒のタイツの上に黒革のホットパンツを穿き、上は身体にピッチリとした長袖の綿のTシャツを着る。もちろんそれも色は黒だ。【後略】
≪講談社ノベルス『Jの神話』P292≫

 両腕は背中で縛られていた。足首も同様である。忍び込んでいるのが見つかった時、彼女はそこから何とか逃げ出そうとしたのだ。【中略】その圧倒的な体力によって、彼女はひとたまりもなく、瞬時にして取り押さえられていた。
≪講談社ノベルス『Jの神話』P306≫

「さてと。じゃあ――」
「待って! ……何でもいうことを聞くから。お願い――キャア!」
 **は、ただでさえ縛られて自由の利かない美音子の身体にのしかかり、手足の動きを封じた後、片手だけで器用に、ホットパンツの留め金とジッパーを外した。そして足首の縛めのところまで、一気に引きずり下ろす。
「やれやれ、面倒なものを穿いてるな、このクソ暑いのに……《黒猫》も大変だな」
「やめてっ!」
 **の手がタイツへと掛り――そして下着もろとも、一気にこれも足首まで引きずり下ろされる。
 下半身の肌が露出している。
「ホウ。下着まで黒なんだ」
 **はさらに、美男子の上体を仰向けにさせると、縛られた両脚をグイと持ち上げて、膝が肩にくっつくまで、彼女の身体を思いっきり折り曲げた。そうして美音子に、実に屈辱的なポーズを取らせた。
 やめてっ――美音子は声の限りに叫んだ。見られているということよりも、濡れた服を着ていたために蒸れていた、そこの匂いを相手に嗅がれるのではないかという懼(おそ)れのほうが、彼女を辱(はずかし)めていた。
【後略】
「あっ!」
 金属の冷たい感触が、身体の中にズブズブと潜り込んで来た。あまりの羞恥に潤ってしまっていたらしく、抵抗もあまり無いままに、奥まで一気に達する。そして――。

【中略】
 ――溢れる。
 ――毀(こわ)れちゃう。こんなの……。
 ――ダメ……。
 そして……《黒猫》は意識を失った。

≪講談社ノベルス『Jの神話』P314~315≫


 アクシデントの発生により、辛うじて彼女は危険な液体の注入による廃人化を免れますが、屈辱的なポーズから解放されないまま、黒幕を殺しに現れた闖入者と遭遇します。


 助かるためには――**の気を逸(そ)らすためだったら、自分のこの恥ずかしい恰好も、利用できるものならば利用しよう。そう美音子は思っていた。男として、この自分の淫らな姿を見れば、きっと欲望を感じるはずだ。もうこうなったら、この身体が蹂躙されようが何をされようが、いっこうに構わない。【後略】
【中略】
 **の心の中には、何も無かった。美音子の剥き出しの下半身を見ても、その心には何の感興も訪れてはいなかった。
≪講談社ノベルス『Jの神話』P321≫


 この後、さらなるお色気シーンが読者を待ち受けていますが完全なネタバレとなるので引用は控えました。
 上記の引用も犯人の名前を伏字にしたので未読の方も読書の興が削がれる事はないと思います。
 カレンダー通りの大型連休となる方、間近に迫ったGWを利用して『Jの神話』の読書に挑戦してみては如何でしょうか。
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コメント

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御厚意に感謝いたします!

T様

 こちらでは初めまして。コメント、どうもありがとうございました。
 早速のレスポンス、大変嬉しかったです!

 改めて別所より御連絡さしあげますが、まずは御礼と感謝を込めて。

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