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2017-05

「ラブ☆MAGI」 第4話:二人の三年生

Part1.織莉子とキリカ

 生徒会長補佐・佐倉杏子は、会長代理・巴マミの指名で就任した異色の生徒会役員。
 杏 子「ん?」
 友人A「どうしたの、アンコ(註:親しい友人が杏子を呼ぶ時の渾名)」
 杏 子「いや……。なんか最近、視線を感じんだよなー」
 友人A「……」
 杏 子「気のせいかなぁ?」
 廊下ですれ違う生徒、教室の窓越しに杏子を見つめる同級生。
 生徒A(小声で)「あら、佐倉さんだわ」
 生徒B(小声で)「『チェリーブロッサム』だわ。今日もワイルドねぇ」
 生徒C(小声で)「『チェリーブロッサム』だー」
 友人A(これだけ視線を浴びてれば当然だって)
 それは気のせいでもなく、最近の事でもないと思う友人であった。

 廊下の曲がり角に隠れて杏子の後姿を見つめる人影。
 ???『あの子が佐倉杏子ね』
 人影は手にした紙飛行機を杏子の後頭部に向けて勢いよく放った。
 シュッ。
 友人A「危ない、アンコ!」
 杏 子「え?」
 コスン。
 狙いたがわず、紙飛行機は杏子の後頭部を直撃した。

 場所は変わって生徒会執行部室。
 マ ミ「イヤガラセ?」
 杏 子「……なのかわかんねーけどさぁ。これ」
 最前の紙飛行を折る前の状態に戻し、杏子はマミに紙片を手渡す。
 その紙には豪快な文字で次のように書かれていた。
 『このスリムめ!!!』
 マ ミ「なんなんですの、これ?」
 杏 子「さーな」
 マ ミ「よ、よくわかりませんわね。文体と書体的にはイヤガラセっぽいんですが……」
 杏 子「だろー? いやぁ、まいるよ。ホント」
 スリムと言われてマンザラでもない杏子。口から出た言葉には僅かに喜びも混じっているようだ。

 コンコン。
 ゆ ま「失礼します」
 ガチャ。
 ゆ ま「巴会長。学年主任から冊子を預かってきました」
 マ ミ「どうもありがとう。……あら?」
 ヒラリ。
 受け取った冊子の間から一枚の紙が落ちた。
 杏 子「もしかして、マミにもか?」
 床へ落ちた紙上には次の文字が認められた。
 『巴マミはスリムすぎ!!! 胸以外は』
 マ ミ「まあ、なんてはハレンチなイヤガラセ!」
 杏 子「マミ。顔が笑ってんぞ」

 マ ミ『まいりましたわー』
 杏 子『ホントだよなー』
 紙片を手に笑顔で語り合うマミと杏子。
 そんな二人の姿を屋上から双眼鏡で見ている人影。
 織莉子「ちょっとキリカ! あの二人、全然ショックをうけてないわよ!?」
 彼女の名前は美国織莉子。芳文女子中学校の三年生にして、名目上の生徒会長でもある。
 キリカ「えー。そうかなぁ」
 前髪を掻き上げながら返事をしたのは呉キリカ。織莉子の親友で、マミから生徒会への出入り禁止を告知された元・会計担当である。
 織莉子「『そうかなぁ』じゃないわよ。あんたが『この文言なら傷つけられるんじゃない』って言うから、わざわざ書道部から墨汁を借りて墨書きしたのよ」
 キリカ「こんなストーカーまがいのイヤガラセして、織莉子の経歴は確実に傷ついたと思うけど」
 織莉子「私じゃない。あいつらの事よ!!(怒)」

 人気(ひとけ)がない放課後の屋上で夫婦漫才のような会話を続ける、かつての生徒会役員二人。
 織莉子「だいたい、おかしいと思ったのよ。マミ達がマッチョになりたがってるなんて!」
 キリカ「織莉子ってさぁ、いい加減な情報を鵜呑みにして痛い目を見るタイプだね。頭はいいのに。サギには気をつけなよ」
 織莉子「この情報源はあなたでしょう!」
 キリカ「あたしの情報網はいい加減じゃないんだけどなぁ。ちゃんと聞いたし」
 織莉子「ホントに? マミ達が『なりたい』って言ってたの?」
 キリカ「わけわかんない事を言っての聞いて、あたしがテキトーに推理したんだけどね」
 織莉子「いい加減な情報もいいとこじゃないのよ!!(怒)」
 頭にカーッと血が上ってしまった織莉子だが、さすがは元・生徒会長。すぐに落ち着きを取り戻した。
 織莉子「それで、いったい何を聞いたの?」
 キリカ「えーッと……」
 キリカは頬に指を当てながら昨日の会話を思い出そうとする。
 キリカ「思い出したわ」
 織莉子「言ってみて」
 キリカ「腹ァ!!」
 びくッ。
 織莉子「お、脅かさないでよ。」
 キリカ「上目遣い!!」
 織莉子「腹? 上目遣い?」
 キリカ「目力!!」
 織莉子「め、目力? 何よ、それ??」
 キリカ「以上の単語からマッチョになりたがっているという結論に達しました」
 織莉子「何よ、それ。そもそも、上目遣いは関係ないでしょ」
 キリカ「聞いたカンジでは筋トレ風だったから」
 織莉子「それにしても推理が飛躍し過ぎよ」
 キリカ「そうかなぁ?」
 織莉子「キリカの推理はさておき、執行部室で筋トレなんて怪しいわね。あそこ(執行部室)でマミ達が変な事をしてるのは間違いなさそうだけど、言い訳できない証拠を掴まないとゴマカされそうだわ」
 キリカ「……」
 織莉子「そういうわけで、引き続き、調査を頼むわよ! キリカ」
 キリカ(ここでまた、あたしに頼んじゃう織莉子ってアホだよなぁ。まあ、そういうとこが可愛いくて好きなんだけど)

 その頃、執行部室では……。
 杏 子「マミ、なんか心当たりはあるか?」
 マ ミ「いいえ」
 ゆ ま「あれ? 裏になんか書いてある」
 マ ミ「え?」
 杏 子「読んでみてくれ、千歳」
 ゆ ま「佐倉先輩のには『平役員』、巴先輩の方は『副会長』、と書いてあります」
 杏 子「『平役員』? 役員の時点で平じゃねーじゃん」
 ゆ ま「それじゃ間違いですかね? どちらにしてもイヤガラセではなさそう」
 マ ミ「……ひ、ひどい……イヤガラセですわ……」
 杏 子「えー!?」
 ゆ ま「えー!?」

 杏 子「なんだ『副会長』がイヤガラセになんのさー」
 マ ミ「もともと、私は副会長だったんです。前会長が職務放棄したので、再選挙が決定するまで代理として会長になってるんです」
 杏 子「例のブチ切れた会長か」
 マ ミ「ですから、正式には生徒会長代理の副会長なんです。キョーコに対する『平役員』というのは、私の独断で会長補佐になった事へのイヤミ」
 杏 子「……」
 ゆ ま「……」
 マ ミ「要するに、私達を快く思ってない人がいるんです」

 再び、屋上。
 織莉子「さあ! 証拠集め開始よ」
 キリカ「ねえ、織莉子」
 織莉子「何なしら」
 キリカ「証拠を集めてさぁ、どーするわけ?」
 織莉子「決まってるでしょッ! 全校生徒に公開してわからせるのよ。 会長にふさわしいのは巴マミではなく、この美国織莉子である事を」
 決めゼリフを言った後、再び双眼鏡に目を当てて執行部室の監視を再開する織莉子。
 キリカ「双眼鏡で覗き見している織莉子が言っても説得力ないなぁ」
 織莉子「お黙りなさいッ」


Part2.織莉子の陰謀

 織莉子「とにかく! あの三人が執行部室で何してるのかを暴いて、生徒会の評判を地に落とすのよッ」
 キリカ「うーん。コソコソ動き回るのは気が乗らないなぁ。それにメンドイ」
 織莉子「キリカだって会計に戻りたいでしょう?」
 キリカ「一大イベントの年間部費分配は終わったし、別にいーかな」
 織莉子「えッ!? お金の計算、好きなんでしょ?」
 キリカ「好きなのは計算じゃなくて『お金』よ。現ナマさわれん計算はヘビの生殺しもドーゼン!」
 織莉子「お金が絡むとキリカも危ない人になるわよね」

 生徒会執行部室。
 杏 子「マミ。なあ、マミってば」
 マ ミ「えッ? あッ。スミマセン」
 杏 子「大丈夫かぁ? あんま考え過ぎんなよ。気のせーかも知んねーし」
 ゆ ま「そうですよ! 会長に不満を持っている生徒なんていませんよ。イヤガラセは何かの間違いです。もし、いたとしても見当違いの逆恨みか妬みですよッ」
 三年生用昇降口付近。
 織莉子「さあ、帰って作戦を……。はくちょッ」
 キリカ「相変わらず可愛いくしゃみだねー。風の強い屋上で覗き見なんかしてるから、カゼひいたんじゃない?」
 ずずッ。
 織莉子「もしかして、マミが噂してるのかも」
 キリカ「なんで?」
 織莉子「彼女に不満を持つライバルなんて私くらいでしょ。私の事を思い出してるのよ、きっと」

 杏 子「ホントに心当たりがねーのか」
 マ ミ「全くもって。心の底から思い当たりませんわ」
 杏 子「そーか」
 マ ミ「心当たりもないのに疑心暗鬼になるのはよくありませんわね。ご心配かけて、スミマセン」
 ゆ ま(よかったー。会長が普段通りに戻ってくれて)
 マ ミ「紙一枚に貴重な時間をさかれましたが、これから仕事にかかります。今日は書類審査が多くて忙しくなりますから」
 杏 子「そんじゃ、あたしも手伝うよ」
 ゆ ま「ユマもお手伝いします」
 マ ミ「ありがとうございます。えーッと、まずは……夏季部活動の特別予算について……」
 予算案のプリントを手に取った時、マミの脳裏に『容疑者』の顔が浮かび上がった。 
 マ ミ「……心当たりがありました」
 ゆ ま「ええぇぇ」
 杏 子「マジかよ」

 織莉子(キリカが会計に執着しないとは誤算だわ。もっと本気で協力してほしいのに)
 キリカ(あ~あ。春のせいか眠いなぁ)
 織莉子(何か良い方法は……。あッ)「ね、ねえ。キリカ」
 キリカ「ん?」
 織莉子(気合の入った声で)「お金、好きよね!」
 生徒D「わッ。驚いた」
 キリカ(気合の入った声で)「大好き!!!」
 生徒E「えぇぇぇ?」
 織莉子「年間の部費配分は終わった。でもね、夏季大会に向けての臨時金が出るじゃない」
 キリカ「あッ! そう言われてみれば……」
 織莉子「だから、今すぐ会計に戻れば現金を扱えるのよ!」

 マ ミ「・・・と言うわけで、お金に執着のある出禁にした会計の呉先輩が怪しいですわ」
 杏 子「他に考えられる奴はいるか?」
 マ ミ「いいえ、全然。つゆほどに」
 完全に存在を忘れられている織莉子……。

 キリカ「現金を扱える! そうなれば話は別だよ。なにがなんでも戻らないといけない」
 織莉子「さすがキリカ」
 キリカ「さっきまではテキトーっていうか、織莉子の寄行が面白いから、このままでいいと思ってたけど」
 織莉子「どさくさにまぎれてヒドイ事を言ってのけるわね……」
 キリカ「明日から真剣にやるわ。お金と織莉子への愛は無限に有限だからね」
 織莉子「最後の方の言葉は理解できないけど、まあいいわ。がんばりましょう!」
 野望成就に向けて気合を入れる二人だが……。
 生徒F「ねえ、織莉子とキリカの会話、聞いた?」
 生徒D「現金どうとか……」
 生徒E「お金が好きって叫んでたわ」
 生徒F「キリカが役員じゃなくなったの、それが理由かもよ」
 敵より先に自分達の評判を落とした事は知る由(よし)もない。



【付記】
 いよいよ主要メンバー5人が出揃いました。もう2~3話で「ラブ☆MAGI」は一応の完結(『恋愛ラボ』第1巻のエピソードを『魔法少女おりこ☆マギカ』メインキャラで再現する予定で始めたコラボSSでしたので)をみますが、クライマックスへ突入する前に更新の一時停止を告知させて頂きます。本日より10日から2週間程度、更新ができそうもない状況となる為、次回更新は早くても5月18日となる予定です。コメント返信も時間を要する場合があるかも知れませんが御容赦下さい。
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