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2017-10

怪漢に襲われるモダン・ガール(モーリス・ルブラン「怪人ゼリコ」より)

 1929年に発表されたモーリス・ルブランの長編冒険小説「LE PRINCE DE JÉRICHO」(邦題「ジェリコ侯爵」等)は、ルパン冒険譚の外伝として位置付けられています。
 戦前から昭和30年代までの外伝的作品を含めたルパン冒険の翻訳は、事実上、保篠龍緒氏が独占する形となっており、「ルパンの翻訳と言えば保篠」と呼ばれる程でした。
 保篠氏のルブラン作品翻訳にかける情熱は凄まじく、太平洋戦争が始まる前には、ルブランの目ぼしい長編小説を訳し終えています。
 上記の「LE PRINCE DE JÉRICHO」を初めて翻訳紹介したのも保篠氏であり、昭和7年から昭和8年にかけて雑誌へ「怪人ゼリコ」の邦題で連載されました。

 掲載誌『キング』昭和7年12月号の「怪人ゼリコ」には、美しい独身女性のナタリー・マノルセンが二人の怪漢に襲われる場面が見られます。
 以下、該当場面の全文は長すぎて引用できない為、一部のみ紹介します。なお、旧漢字・旧仮名遣いは修正しました。


「アッ! 助けてッ!」
 初めて声が出た。出たのではない本能の悲鳴だ。
「騒ぐなッ!」
 と片手が口を覆った。
 斯うなっては豺狼(さいろう)に噛まれた子羊だ。
 肩を押えた手がナタリーの喉にかかった。ガッ! と喉を掴んだ。苦しい。もう無力に等しくなった。
 僅かに二分間。
 殺される! 殺される! 人殺しッ!
 不思議にも喉を掴んだ手が今一呼吸(ひといき)の所でゆるめられた。僅かに呼吸(いき)をする事が出来た。
 と他の男の手が首のまわりを撫でた。ネックチーフが引きむしられた。上着のボタンをはづした。
 凌辱! ナタリーの全身は電気に打たれた。恐怖、最大の恐怖に必死の抵抗をつづけた。
 死んでも……死んでも……こんな奴等に……。

≪『キング』昭和7年12月号 P235~236≫


 掲載誌には、嶺田弘氏による該当場面の挿絵も付されています。
 保篠訳による「LE PRINCE DE JÉRICHO」は、昭和10年に平凡社から刊行された『怪奇探偵ルパン全集・第6巻 ゼリコ』として単行本化されましたが、訳文変更の有無は不明です。
 現在、「LE PRINCE DE JÉRICHO」は偕成社の『アルセーヌ=ルパン全集』へ収録されており、大友徳明氏の翻訳で読む事ができますが、現物未見の為、上記の場面が再現されているかは分かりません。


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