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2017-05

女装する復讐鬼の奸計(ピエール・カミ「処女華受難」より)

 1884年にフランス南部で生まれたピエール・ルイ・アドリアン・シャルル・アンリ・カミは詩人や俳優という経歴を経て作家となり、ピエール・カミの筆名で数多くのユーモア小説を書き遺しました。
 作品総数は不明ですが、作家としてのスタートが代筆による執筆活動だった事から、記事程度の読物を含めると相当数の著作があると考えられます。
 日本では昭和初期から短編小説が翻訳紹介されており、最近ではロボット探偵シリーズ2編(「Krik-Robot,Détective-à-moteur:L'Énigme des 5 pavillons」及び「Les Aventures de Krik Robot:Les Kidnappés du Panthéon」)を収録した『機械探偵クリク・ロボット』が早川書房から刊行されました。
 カミの代表作は1929年に発表された長編探偵小説「Les Scaphandrier de La Tour Eiffel」(邦題「エッフェル塔の潜水夫」)であり、この作品ではルーフォック・オルメス探偵が続出する奇想天外な事件の謎に挑みます(余談ですが、この作品は昭和28年に「銀座の潜水夫」と題して翻案されていますが、作者名がハッキリしないうえ、カミの名前が原作者としてクレジットされていない為、戦前に単行本で「エッフェル塔の潜水夫」を読んだ人物が創作として発表したのかも知れません)。

 処女の貞操紛失と人食い箪笥の跳梁跋扈をユーモラスに描いた「処女華受難」もルーフォック・オルメス探偵が活躍するシリーズの一編であり、創作の中心が短編だったカミにしては珍しい中編作品でもあります。
 原作は確認できませんでしたが、翻訳は昭和7年に改造社から刊行された『世界ユーモア全集7 仏蘭西篇』へ収録されました。
 冒頭からトリッキーな物語展開を見せ、奇妙奇天烈な発想で読者を作品世界へグイグイと引き込みます。

 序盤こそドタバタ喜劇のような筋運びですが、恐ろしい人喰い箪笥が登場するに及んで雰囲気は一転。残虐な場面の多い探偵小説へとシフトしていきます。
 花の都を蹂躙する悪魔のような怪物を相手にする名探偵(?)の活躍や如何に!
 私見になりますが、代表作とされる「エッフェル塔の潜水夫」よりも遥かに面白い作品だと読了後に感じました。

 本作の後半、作者はユニークな方法を用いた誘拐トリックを見せてくれます。
 そのトリックとは、女装した復讐鬼がゴムの乳房から麻酔剤の混入する液体を発射させ、飛ばした液体を欠伸する青年の口中へ入れて飲み込ませるという奇抜な方法でした。
 停車中の汽車内で行われた電光石火の早業。まさにカミらしいアイディアと言えるでしょう。


 やがて大女乳母はそろりそろりと胸をはだけて、子供に乳をやる用意に取りかかった。ところが彼女は、さうしながら絶えず欠伸をするのだ。見るともなく見ているジュールも思はずそれが伝染してしまって、つい口を開けて大きな欠伸をやってのけた。と、これを見すました乳母は胸の中から素早く乳房をとりだして、まだ大きく開いているジュールの口の中へ、チューッと乳を流しこんだものである。
【中略】
 そしてマカルイユは(いやこれは失礼、併(しか)し読者諸君はとうの昔にこの怪乳母がマカルイユその人である事を見抜いて居られよう。)冷笑を浮べ、乳母の変装を解きはじめた。胸の中には巧みに造られたゴムの乳房である。中には麻酔剤が満されているのだ。変装を解けば、乳母も完全なマカルイユである。
≪改造社『世界ユーモア全集7 仏蘭西篇』P408~409≫


 以上は『世界ユーモア全集7 仏蘭西篇』収録の水谷準氏による訳文からの引用です(この作品は『新青年』昭和7年夏季増刊号、日本出版共同『フランス粋艶集』でも読む事ができます。麦書房『ホルメス探偵』へも収録されている可能性はありますが、こちらは現物未見なのでハッキリした事は言えません)。
 原文は旧かな・旧漢字でしたが、読み易さを優先して現代文調に修正をしました。
 マルカイユは想い人との結婚が叶わず復讐鬼となった男、ジュールはマルカイユが好きだった女性の結婚相手の名前です。
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 1884年にフランス南部で生まれたピエール・ルイ・アドリアン・シャルル・アンリ・カミは詩人や俳優とい

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