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2017-10

艶説・日本まど☆マギ昔ばなし  「森のマミさん」

【はじめに】
 2000年3月に惜しまれつつ終了した人気番組「まんが日本昔ばなし」と「魔法少女まどか☆マギカ」のコラボレーションSSです。
 元ネタは「金太郎」。テキストには『【対訳】まんが日本昔ばなし Once Upon a Time in Japan』(ラルフ・マッカンシー=訳/川内彩友美=編 講談社)を用いました。
 基本的な物語の流れはアニメ版「金太郎」と大差ありませんが、源頼光四天王の武勇伝を参考にしたエピローグ部分はオリジナルです。
 最初の構想ではマミさんと熊の相撲勝負を15禁レベルの試合運びで書き込む予定でしたが廻りくどい描写ばかりで退屈なシーンとなってしまい、思い切って大幅カットしたのでアッサリめの相撲勝負になりました。15禁描写は思ったよりも難しかったです……。
 本作を書くにあたり、miki氏の短編漫画「まどか日本昔ばなし」(発行=余裕で生けます『まどか日本昔ばなし』所収)よりヒントを得ました。miki氏には記して感謝致します。


 むかしむかし、見滝原山(みたきはらやま)の山奥にスタイルのよい少女がおりました。
 少女の名前はマミ。生まれた時から天女のように美しく、その美貌は森の獣たちを一匹残らず魅了したそうです。
 マミがヨチヨチ歩きを始めた頃、母親は彼女に赤い腹がけを縫ってあげました。
 「さあ、腹がけができましたよ。着てごらんなさい」
 腹がけは幼いマミの体よりも大きくブカブカでしたが、それは早くこの腹がけがちょうどよい程に大きくなってほしいという母親の願いが込められていたのです。

 母親の愛情に守られながらマミはスクスクと育ち、アッと言う間に12年の月日が流れました。
 ある日の事です。14歳になったマミは母親に連れられ山の温泉へ入り、温かい湯で一日の疲れを癒していると森の動物達が集まってきました。
 「みんなも一緒に入りましょう。温かいわよ」
 心優しいマミが声をかけると、母子(おやこ)の入浴を遠くから見ていた動物達は次々と湯の中へ飛びこんできました。
 「マミや、おっ母(か)さんは先にあがるよ。のぼせちまったようだからね。マミはゆっくり入ってなさいな」
 「はい」
 母親の姿が湯気の向こうに消えて間もなく、イタズラ好きな猿がマミの方に近寄ってきました。
 「ん? どうしたの?」
 マミの問いかけに答えず、猿は黙って彼女の大きな胸を見ています。
 気がつくと狸、狐、鹿、兎、リスまでが遠くからマミの大きな胸をジッと見つめていました。
 視線に気づいたマミは顔を赤らめながら動物達に言いました。
 「いやだわ、見世物じゃないのよ。女の子の体をジロジロ見る男子は嫌われるぞ!」

 マミの美貌と優しさに魅了された動物達は、みんなマミが大好きになりました。
 この日もマミは森の奥に入り、いつものように仲の良い動物と一緒に遊んでいます。
 「みんな~」
 「なんだなんだ。あッ、マミさんだ」
 「それ行け、やれ行け、えっさっさ」
 清らかな小川のせせらぎを思わせるマミの澄んだ声に、山の動物達は我も我もと彼女の元へ集まります。
 「マミさん、今日は向こうのお山で駆けっこしましょうよ~」
 「いやいや、川で水遊びをするんだよ」
 「はいはい。それじゃ川まで駆けっこして、その後に水遊びをしましょう」
 機転を利かせたマミはリスとカワウソ、二人の言い分を聞き入れました。

 今日は駆けっこ、明日は相撲。
 マミも動物達も毎日を楽しく過ごします。
 「はっけよ~い。のこった!」
 動物相手に相撲をとってもマミにかなう者はいません。
 華奢な体つきをしていますがマミの力は百人力。そんじょそこらの動物では相手にならないのです。
 「マミさんの勝ち!」
 「さあ、次の相手は誰かしら?」
 「オラが行くだ」
 太鼓腹を揺らしながら狸が名乗りを上げました。
 「両者見合って……。はっけよ~い。のこった!」
 ガシッ。
 勝負が始まると同時にマミは狸の玉袋を掴み、そのまま土俵の外まで運び出そうとします。
 「ごめんなさいね。今回も速攻で片付けるわよ」
 その時です。
 リスがマミの腹がけの中に潜り込みました。コチョコチョと動き回り、マミの柔肌を擽(くすぐ)ります。
 「あはははは。ちょ、ちょっと……。おやめなさい」
 擽ったさに力が抜けたマミは尻もちをついて笑いころげます。
 「リス君の勝ち~」
 行事の兎はリスの勝ちを認めました。

 山の木々が燃えるような赤一緒に染まり、アッと言う間に秋が訪れました。
 ある日、マミがマサカリでマキ割をしていると、山の動物達が揃ってやってきました。
 「マミさん、山へ栗を拾いに行きませんか」
 「栗拾い?」
 「向こうの山にいっぱいありますよ」
 「美味しそうな栗ね。わたしも拾いたいわ。一緒に連れて行ってくれる?」
 「もちろんですよ」
 動物達は大喜び。みんなで元気よく、栗拾いに出かけました。
 「あれ! 橋がないや」
 数日前の嵐で丸木橋が落ちてしまったのでしょう。崖と向こう岸を渡していた巨木が見当たりません。
 「困ったなぁ。これじゃ栗拾いに行かれないよ~」
 「どうしよう」
 先頭を行く鹿と兎が困った様子で話しあっていると、遅れてきたマミが声をかけました。
 「ご心配なく。話はちゃんと聞こえたわ」
 「マ、マミさん」
 「この木を倒して橋を作りましょう」
 「え? この木を倒すんですか?」
 「みんな、危ないから下がっててね」
 優しく微笑みながらマミは動物達を避難させます。
 「それじゃ橋作りコース第一弾、張り切っていってみましょうか」
 そばに生えている樹齢百年はありそうな巨木をマミは倒そうとします。
 「う~ん。うぅぅぅん」
 「マミさん、がんばってぇ」
 「がんばれぇ、マミさ~ん」
 動物達の声援を背に受けながら、マミは渾身の力で木の幹を押します。
 (間違いないわ。かなり強い根を張っているみたい。でも……栗拾いの邪魔はさせない)
 力いっぱい巨木を押すマミ。深い根を張る木は少しずつですが傾き始めました。
 「がんばれ、がんばれ、マ~ミ~さん」
 「地面深く根を張ったところを悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ! ティロ・フィナーレ!」
 ズシーン。
 マミは、とうとう巨大な木を倒して橋を作ってしまいました。
 「やったぁ」
 「マミさん、バンザーイ」

 橋を渡り、向かいの山に足をふみいれた動物達とマミ。栗のある場所まで、もうすぐです。
 「あッ、栗だわ。地面いっぱいに栗が落ちている」
 「すごいでしょう。取り放題ですよ」
 「さあ、一緒に拾いましょう。マミさん」
 栗は大変な豊作でした。形のよい栗がいっぱい落ちています。
 「この前よりも栗が落ちているね」
 「そうだね。この前の嵐で落ちたのかもしれないよ」
 動物達は大喜び。マミも一生懸命に栗を拾います。
 「よいしょ、よいしょ」
 「いっぱいあるわねぇ。とても拾いきれないわ」
 ワイワイガヤガヤ、楽しくお話しながら栗拾いをしているうちに、だんだん山の奥へ奥へと入りこんでしまいました。
 いつの間にか山の一番奥、暴れん坊の熊が住んでいると周囲の動物からおそれられている熊山まで来てしまっていたのです。
 大きな栗の木の幹には、熊の鋭い爪あとがハッキリとのこっています。
 「も、も、もしかして、オラ達、熊山に来ちゃったのかなぁ」
 「そりゃ大変だ。早く帰ろう」
 「そうだね。暴れん坊の熊が出てきたら食べられちゃう」
 動物達はブルブルとふるえだしました。
 「誰だぁ、オレ様の山に無断で入って来たのは」
 「どひゃ~」
 「で、でたぁ」
 「マ、マミさん。は、早く逃げましょう」
 「落ち着いて、兎さん」
 ブルブル震える兎を背後に庇い、マミは怯える動物達に言いました。
 「みんな、絶対に私の傍を離れないでね」

 「うお~。誰だァ、オレ様の栗山を荒らしにくるのは。ここにある栗は全てオレ様の栗だ。盗っ人(ぬすっと)は食ってやるぞ~」
 「あなたの山に入ったのは悪かったわ。でもね、こんなにたくさんの栗を一人占めするのはよくないわ。みんなで楽しく分け合って食べましょう」
 「うるさい」
 「人と分け合うのは不服かしら?」
 「当然だ。この山の物はひとにぎりの土だってオレ様の物だ」
 「そう。それがあなたの答えね」
 「胸に脂肪が多そうだなぁ。まずはお前から食ってや~るぅ」
 「……。言いたい事はそれだけかしら? ケガをしたくなかったら、さっさと巣穴へ帰りなさい」
 「なんだとぉ?」
 「怪我をさせるつもりはないけれど、あんまり聞きわけが悪いと保障しかねるわよ」
 「ガ~ッハッハッハッハ。なにをこしゃくな」
 「飲みこみが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」
 「言わせておけば。この小娘めぇ。まずはお前から食ってやる。オレ様は天下一の力持ちなんだぞぉ」
 「自分より強い相手は邪魔者ってわけ? いじめられっ子の発想ね」
 草叢(くさむら)の影に隠れた動物達は、今にも襲いかからんばかりの剣幕で怒鳴る熊と相手を冷静に挑発するマミのやりとりを聞いていました。
 「マ、マミさん」
 「は、早く逃げましょう」
 「暴れん坊の熊には、かないっこありませんよ」
 「大丈夫。負けるもんですか」
 「で、でも……」
 「心配しないで。お友達の前で、あんまり格好悪いところ見せられないものね」
 「うぬぬぬぬ。言わせておけばぁ。もう許さんぞ~」
 そういうと熊がマミに向かってきました。
 前がけと褌の腰紐部分を掴み、体を持ちあげて食べようとします。
 「くッ。負けるもんですか」
 マミは両足を踏ん張りながら、細い両腕で熊の毛皮を掴みました。
 (な、なかなか手ごわいわね。天下一と言うだけの事はあるわ)
 「ぐわッ、ぐわッ、ぐわッ」
 鋭い牙を剥き出しにしながら、熊は掴んだ前がけの腰紐ごとマミの華奢な体を持ちあげようとします。
 腰紐が引っ張られると同時に、股下を通る紐が敏感な箇所に当たります。これには、さすがのマミもビックリぎょうてん。
 「うぅぅぅん」
 「ど、どうしたんだろう、マミさん」
 「顔が真っ赤だね。それに汗だらけだ」
 結果的に意外な間接攻撃を仕掛けられ、マミは思わぬ苦戦を強いられました。
 そんなマミを動物達が心配そうに見ています。
 (あぁん。ま、まずいわ。下半身に力が入らない……)
 熊の攻撃に耐える両足がガクガクと震え出し、丸みをおびたお尻が少しずつ浮き上がっていきます。
 「あぁぁぁん。い、痛い。駄目よ、駄目。この手を……離しなさい。女の子の敏感な所を攻めるなんて最低よ」 
 「? なにを言っている」
 「この攻撃が無意識なら始末におえないわね」
 「うるさい。なにをゴチャゴギャ言っている。オレ様の力を思い知ったかぁ」
 「わ、わたしが負けたら……みんなが食べられてしまうわ。でも……ち、力が入らない。もう駄目……。ふ、踏ん張れない」
 「ガハハハハ。どんどん力が抜けていく。悪あがきしないで、おとなしくオレ様に食われろ。楽になるぞぉ」
 (ご、ごめんね。わたし……もう限界。ち、力が入らない)

 マミが諦めかけた時、今まで隠れていた動物達が草叢から飛び出してきました。
 「あ、あなた達……」
 怖いのを我慢して、勇気をふるいおこしたのでしょう。ガタガタ震えてるのが遠目からでもわかります。
 「マミさん、がんばれ~」
 「まけるなぁ」
 「マミさ~ん」
 「み、みんな……」
 「え~い、うるさい。お前達も順番に食ってやるから黙っていろぉ」
 「マミさ~ん」
 「がんばってぇ」
 (ありがとう、みんな。私、一人ぼっちじゃないのね)
 声援をうけたマミは最後の力をふりしぼります。
 「もう喰い込みだって痛くない」
 マミは熊の毛皮を握る手に渾身の力を込めました。
 (かなり危なかったけれど、もう大丈夫よ。どうもありがとう。みんなの応援のおかげだわ)
 「この小娘めぇ」
 「惜しかったわね。でも、これで終わりよ。ティロ・フィナーレ
 とうとう、マミは熊の巨体を抱えあげてしまいました。
 「マミさんの勝ち~」
 行事のように言ったのは兎です。
 それを聞いたマミさんは頭上高く持ち上げた熊をゆっくりと地面に下ろしました。
 「あなたのナワバリを荒らしてしまって、ごめんないさいね。栗拾いに夢中だったから気づかなかったのよ。許してね」
 「オレの方こそ悪かった。乱暴して申し訳ない。この山で一番強いのは、あなただ」
 こうして、山一番の暴れん坊だった熊とも仲良くなったマミさんは、たくさんの栗を前がけに包み、熊や動物達を引き連れて、お母さんの待つ我が家へと帰ったのです。

 見滝原山の動物、そして母親の深い愛情に囲まれたマミさんは15の年に都へ上り、源(みなもとの)ほむらを頭(かしら)とする「魔法少女四天王」に選ばれました。
 渡辺(わたなべの)まどか、卜部(うらべの)さやか、碓井(うすいの)杏子と共に「羅生門の魔女」や「ワルプル童子」を退治するのですが、それはまた、別のお話なのです。


【あとがき】
 本作はブログ掲載に先駆けてpixivの小説コーナーへ20121年2月6日3時17分付で投稿しました。内容はpixi版もブログ版も異同はありません。
 マミさんの会話文へ原作でのセリフを盛り込むにあたっては「魔法少女まどか☆マギカ WIKI」のキャラクター別会話テキスト一覧を参照しました。同サイト運営者様に厚く御礼申し上げます。
 全編パロディ仕立てなので自作解説するような点はなく、軽い読み物として肩の力を抜きながら読んで頂ければ何よりです。
 かなり古い話となりますが、昨年12月11日に発表された第32回日本SF大賞は上田早夕里女史の『華竜の宮』(早川書房・刊)に与えられました。「魔法少女まどか☆マギカ」が受賞の栄光に冠せず残念な限りです。
 選考結果を当ブログで報告していなかった為、2ヶ月近く前の話題ですが改めて御報告致します。
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