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2017-06

「魔法少女まどか☆マギカ Another」  加音町大音楽祭 (その1)

【はじめに】
 本作は「魔法少女おりこ☆マギカ」及び「スイートプリキュア」とコラボレーションした「魔法少女まどか☆マギカ」の二次創作SSとなります。
 豪華メンバー勢揃いの趣向を最優先している為、細部の整合性調節や諸々の辻褄合わせよりも物語構成を優先させました。じっくり読むと強引な解釈や説明に逃げている描写も見られるかと思いますが、その点はお見逃し下さい……。
 当初の予定では12月23日から12月26日の4日間に亙り、現実時間と作中時間を同時進行させながら全4回で完結させる筈でしたが、思ったよりも連載(?)が長引きそうなのでリアルタイム進行は諦めました。
 完結は来年までズレ込んでしまうかも知れませんが、ゆっくりとマイペースで自分の納得できる作品に仕上げようと思います。
 どれだけ長い物語になるのか作者自身にも予測できませんが、よろしければ最後までお付き合い下さい。
 杏子が宝くじで当てた大金を旅費にして出掛ける基礎設定は、あららぎあゆね氏の『少女が浴衣に着替えたら』(発行:OverΔ)よりヒントを得ました。あららぎあゆね氏には記して感謝致します。


プロローグ1 夏の日の出来事

 長かった夏休みも残すところ4日。世間の学生連は過ぎ行く日々を惜しみながら夏休みの宿題や夏季講習での受験勉強にラストスパートをかけている事だろう。
 そんな生活とは無縁な佐倉杏子は顔馴染みの駄菓子屋で食料品を買い込み、満足顔で炎天下の帰路を急ぐ。
 商店街を抜けて住宅街へ出ようとした時、杏子の耳に甲高い女性の声が聞こえてきた。
 音 声「そこのあなた。次はあなたが億万長者になる番です。最高2億円のビックチャ~ンス。一口200円から申し込みが可能な宝くじ『ジャックポト200』。好きな数字を6つ選び、2枚の100円に夢を賭けてみませんか? 当選発表は毎週水曜日。その手に幸運の青い鳥を掴むのは……あなたかも知れませんよぉ」
 ふと見れば信号の先に宝くじ販売所あった。
 杏 子「へえ、あんな所に宝くじ売り場ができたのかぁ。200円が2億円になるなんて信じられないけど……」
 そう言いながらもポケットに手を入れ、お釣りに貰った小銭の金額を確認してみる。
 残金は310円あった。
 杏 子「これも何かの縁だ。一口買ってみるか」
 掌に2枚の百円玉を握り締め、杏子は横断報道を渡って宝くじ販売所に向かった。

 その翌日。
 朝食を済ませた杏子はクッションの上に胡坐をかきながら新聞を広げ、まだ覚めきっていない目をショボショボさせながら活字を追っていた。
 杏 子「そう言えば「ジャックポト200」の当選発表は今日だったなぁ。どうせ外れてるだろうけど照合してみるか」
 今日が「ジャックポト200」の当選番号発表日だった事を思い出し、くじ券を部屋から取ってきた。
 くじ券の番号と当選番号を見比べる。
 ……。
 ………。
 …………。
 杏 子「マミ。マミ~」
 ブルブルと両手を振るわせながら、杏子は大声で家主の巴マミを呼んだ。
 顔が火照り、息も荒い。ちょっとした興奮状態に陥ったらしい。
 マ ミ「どうしたの、佐倉さん。大きな声を出して」
 パタパタとスリッパでフローリングの床を走る音を立てながら、ベランダで洗濯物を干していたマミがリビングへ姿を見せる。
 杏 子「当たった。大当たりだよ」
 マ ミ「何が当たったの?」
 杏 子「宝くじだよ。昨日の昼間、駄菓子屋へ買い物に行っただろう。その帰りに何となく買ったんだ。6つの数字を選んで当てる「ジャックポト200」をさぁ」
 マ ミ「そうだったの。おめでとう。それで当選金額は?」
 杏 子「4等の50万円」
 マ ミ「4等といっても大きな金額なのね」
 杏 子「他の当選者と当選金額を振り分けになるから、実際の取り分は47万程度だけど……」
 マ ミ「それでも凄いわ。おめでとう、佐倉さん」

 中天に上った太陽の容赦ない日差しがベランダを直撃し、物干し竿に吊るされた洗濯物の水分を確実に奪っていく。
 柱時計が午後1時を知らせ、猛暑が続く夏の一日は暑さのピークを迎えようとしていた。
 そんな屋外とは対照的にクーラーで快適な温度の保たれている室内では、一冊の貯金通帳が置かれたテーブルを前にマミと杏子が向かい合う形でクッションの上に座っている。
 巴マミ名義の貯金通帳には今日の日付で「振込 470,000」と記帳されていた。午前中にくじ券を換金し、その全額をマミのメインバンクであるS銀行に預けてきたのだ(杏子は預金通帳を持っておらず、本人の希望もあってマミの通帳へ預け入れた)。
 杏 子「まだ信じられないよ。宝くじに当たっただなんて……」
 マ ミ「200円が47万円になるなんて驚いたわ。佐倉さん、運が強いのね」
 杏 子「ありがと。それよりもさぁ、この金をどうするよ」
 マ ミ「あなたが宝くじで当てたお金でしょう。好きなように使ったらどう?」
 杏 子「冗談言うなよ。あたしは居候だよ。生活費だってマミの親戚から出してもらってるんだからさぁ、この金を使う権利はマミのものだ」
 マ ミ「くじを買ったのも、当選番号を当てたのも佐倉さんでしょう。このお金はあなたが使うべきだわ」
 杏 子「そんな不義理な事はできない」
 マ ミ「わたしだって佐倉さんのお金を取り上げるような事はできないわ」
 杏 子「……」
 マ ミ「……」
 杏 子「それなら」
 マ ミ「え?」
 杏 子「37万円は貯金して、残りの10万円をみんなでパーッと使っちゃおうよ。それなら金の所有権で争わなくて済むし、みんなとも幸せを分かち合えるだろう」
 マ ミ「それは名案ね」
 杏 子「決まりだな。それじゃ、さやか達を呼んで相談しようぜ。この10万円って大金をどう使うかさぁ」

 午後3時。杏子からの電話で三人の魔法少女がマミの部屋へ集った。
 かつては見解の相違や誤解から衝突した事もある五人だったが、今では安心して背中が預けられる固い絆で結ばれている。
 さやか「へえ。あんたも運がいいじゃない。身近で宝くじに当たった人なんて始めて見たわ」
 杏子から緊急召集の理由を聞いた美樹さやかがマミの手作りチーズケーキを一口食べながら言った。
 杏 子「どうだ、あたしの事を見なおしただろう」
 さやか「まあ、ちょっとだけね」
 杏 子「おッ、今日は珍しく素直じゃないか」
 さやか「杏子は子供の頃から金銭的な面でも苦労してきたんでしょう。その苦労が今になって報われたんだよ」
 杏 子「さ、さやか
 さやか「みんなと幸せを分かち合いたいっていう考え方、いかにも杏子らしいよね。自分の事よりも相手の事を思いやる優しいところ……わたしは好きだよ」
 杏 子「バ、バカ。真顔で冗談言うなよ」
 さやか「冗談じゃないわ。本気よ」
 杏 子「ほ、ほ、本気って……」
 さやか「……」
 杏 子「……」
 黙って見つめ合うさやかと杏子。そんな二人に向かって暁美ほむらが言った。
 ほむら「杏子、さやか。惚気(のろけ)たいのならば二人だけの時にしてくれないかしら。こんな茶番を見せる為に呼びだしたのではないでしょう」
 杏 子「べ、別に惚気てるわけじゃねえよ」
 さやか「ちょっと、茶番って何よ。どうしたら惚気なんて発想が出てくるの?」
 二人は同時にほむらの方を見る。
 杏 子「もしかして、ほむらは愛に飢えてるのか?」
 ほむら「え?」
 杏 子「夏休みのせいでまどかと過ごす時間が減ってイライラしてるんじゃないのかい?」
 ほむら「バ、バカな事を言わないで。わたしは別に……」
 さやか「そうかしら。ここに来るまでの間、ほむらったらまどかの顔を何度も盗み見してたようだけど」
 杏子の言葉をサポートしながら、さやかは勝ち誇ったドヤ顔でほむらを追い詰める。
 ほむら「うッ……」
 さやか「どうやら図星だったようね」
 杏 子「普段はポーカーフェイスのくせして、まどかの事になると分かり易い反応するよなぁ」
 ほむら「……」
 マ ミ「ねえ、もうすぐ夏休みも終わりでしょう。みんなの都合がよかったら」
 黙って俯くほむらをフォローするかのように、ティーカップの紅茶を飲み終えたマミが口を開いた。
 マ ミ「今夜は家(うち)でお泊まり会をしない?」
 さやか「お泊まり会……ですか?」
 まどか「うわ~、楽しそうですね」
 マ ミ「あと数日で夏休みも終わりでしょう。みんな揃って楽しい一夜を過ごすのも悪くないと思うのよ。どうかしら。鹿目さん、暁美さん、美樹さん」
 そう言いながら、マミはほむらに向かってさり気なくウィンクをしてみせた。
 ほむら「巴さんの御迷惑でなければ賛成します。せっかくの機会ですから親睦を深めるのも悪くありません」
 マ ミ「佐倉さんも異議はないでしょう。美樹さん達が泊まっても」
 笑顔で言いながら、マミは杏子へも遠回しに謎を掛ける。
 杏 子「も、もちろんさ。夏休み最後の思い出にはピッタリだよ」
 マ ミ「美樹さんと鹿目さんはどうかしら? 今夜は何か予定がある?」
 杏 子「どうせ暇してるんだろう。なぁ、泊まっていけよ~。さ~や~か~」
 さやか「ちょ、ちょっと……。くっつくんじゃない、暑苦しいでしょうがッ」
 杏 子「それなら泊まっていくよな」
 さやか「どうしてそうなるのよ」
 杏 子「泊まるって言うまで離さない。さあ、どうする?」
 さやか「わかったわよ。どうせ夏休みも終わりで暇してるから泊まらせてもらうわ。だから……離れなさいって」
 杏 子「よしッ!」
 マ ミ「よかったわねぇ、佐倉さん。鹿目さんの都合は如何かしら?」
 まどか「わたしも特に予定がありませんし、御迷惑でなければ参加させて下さい」
 ほむら(ま、まどか……)
 マ ミ「うふふふ。それじゃ決まりね。今夜は五人で楽しく過ごしましょう」
 そう言いながら、聖母のような優しさに満ちた笑顔をほむらの方へ向けた。
 ほむら(ありがとうございます、巴さん。あなたに一つ借りができましたね)
 さやか「ところでさぁ」
 まどか「どうしたの、さやかちゃん」
 さやか「わたし達……。なんの為にマミさんの家へ集まったんだっけ?」

 同じ頃。
 杏子の魔法で犬の姿に化身(けしん)させられ買い物へ出掛けていたQべえが帰宅し、犬の姿をしたまま部屋のドアが開くのを待っていた。
 尻尾でドアをノックしたが聞こえなかったのだろう。室内からはなんの応答もない。
 この姿ではインターフォンまで背が届かず、Qべえはテレパシーを使ってマミや杏子に呼びかける。
 Qべえ「お~い、マミ。開けてくれないかなぁ。帰ったよ~。杏子ぉ」
 しかし……返事はなかった。ガールズトークで盛り上がり、Qべえの発信するテレパシーが受信できていないようだ。
 杏子の命令で炎天下にも関わらず『買い物犬』として使いに出されながら、マンションの通路に閉め出されるという仕打ち。
 別室の住人が猛暑に苦しむ自分に気付いてくれる事を期待していたが誰も通りかからない。
 暑さがピークに達する時間なので住人は外出を控えているのだろう。だからこそ、杏子はQべえに買い物を命じたのだ。
 30分近く待ったが全く人影がない。
 涼しい室内で和気藹々とお喋りに興じる飼い主の姿を脳裏に思い浮かべながら、Qべえは誰かが自分の不在に気付いてくれる事とドアが開く事をジッと待つしかなかった。


プロローグ2 二人の暁美ほむら

 2学期の終業式も終わり、明日から冬休みが始まる。
 杏子の当てた10万円は多少の金額を上乗せして12月25日に加音町で開催される『加音町大音楽祭』へ出掛ける為の旅費として使う事に決まり、5人は12月23日から3泊4日の日程で加音町に滞在するスケジュールを組んでいた。
 楽しい旅行を翌日に控えて本来ならばウキウキした気分でいる筈の5人だったが、学校帰りにマミの部屋へ集まった各自の表情からは笑顔が消えており、誰もが困ったような顔つきで「6人目の魔法少女」を見つめている。
 杏 子「結局さぁ」
 長い沈黙を破ったのは杏子だった。
 杏 子「この娘(こ)は誰なんだよ」
 マ ミ「暁美さん……だと思うけれど」
 まどか「ほむらちゃんが二人になったという事でしょうか」
 さやか「そもそもさぁ、この娘(こ)ほむらって同一人物なの、それと別人なの?」
 ほむらと彼女の脇に座る少女を交互に見ながらさやかが誰に言うとなく疑問を口にする。
 左右に分けた長い髪を後頭部で三つ編みにし、赤いフレームのメガネをかけた少女。6人目の魔法少女である彼女の名前も暁美ほむらと言う。
 ほむら「わたしのソウルジェムが濁りきる直前、そこから「彼女」は誕生したわ。服を着ているから見えないでしょうけれど、彼女の胸にはわたしのソウルジェムが埋め込まれている。彼女はソウルジェムの化身よ」
 さやか「はぁ……」
 ほむら「つまり、わたし達は一心同体であり、別人でもあるのよ。そうよね、暁美ほむら
 ほ む「は、はい」
 当事者でありながら、ほむらは他人事のように冷静な見方をしてさやかの疑問に答え、『もう一人の自分』に語りかけた。
 さやか「つまり、ほむらのソウルジェムが彼女ってわけ?」
 ほむら「ええ、そうなるわね」
 杏 子「なんか……わけがわかんなくなってきた」
 まどか「わ、わたしも……ちょっと混乱してきちゃったなぁ」
 Qべえ「それでは僕から説明をしよう」
 テーブルの上に飛び乗ったQべえは演説をするかのように周囲を見回し、したり顔で解説を始めた。

 Qべえ「昨夜の魔獣戦で時間停止能力を多用し過ぎた暁美ほむらは必要以上に魔力を消費し、その結果、彼女のソウルジェムは著しく濁ってしまった。ここまでの経緯は君達も知っているよね」
 杏 子「ああ」
 Qべえ「円環の女神となったまどかによって世界が改変され、ソウルジェムとグリーフシードと魔女を繋ぐ因縁は消え去り、ソウルジェムの構造は根本から作り直されている」
 マ ミ「その事は知っているわ。わたし達も鹿目さんが世界を再構築する前の記憶を持ち越しているのだから」
 Qべえ「ソウルジェムが濁りきった場合、現世の法則では浄化作用のペナルティとして「もう一人の自分自身」が生まれるらしい。いや、正確にはソウルジェムが「もう一人の自分自身」になると言うべきかな」
 杏 子「そもそもさぁ、なんでソウルジェムが濁りきったからって分身が生まれるんだよ。前みたいに絶望から魔女へ生まれ変わるっていうんならわかるけど……」
 マ ミ「なんだか佐倉さんの『ロッソ・ファンタズマ』みたいね」
 杏 子「その技の事は言わないでくれ……」
 Qべえ「ソウルジェムが分身を生む詳しいメカニズムは僕達にも解明できていないんだ。この現象を目の当たりにする事は稀だからね。この奇妙な現象を目撃したのは、ここ数百年でも数える程度だ。魂の濁りが別人格として具現化したと考えられるんだけど……。全くもって不可解な現象だよ」
 マ ミ「別人格の具現化ねぇ」
 杏 子「お前でも知らない事ってあるんだな」
 さやか「ねえ、Qべえ」
 Qべえ「なんだい?」
 さやか「まどかに改変される前の世界では魔女になった魔法少女は元の姿に戻れなかったんでしょう。だったら……」
 まどか「ほむらちゃんのソウルジェムも元の形には戻らないって事?」
 Qべえ「断言はできないけど、そんな事はないと思うよ。一定量の穢れが浄化されればソウルジェムは輝きを取り戻す筈さ。もっとも、グリーフシードによる穢れの浄化ができない事は昨夜の戦闘後に実証済みだ。遅々とした自動浄化でソウルジェムの輝きが戻るのを待つしかないね」
 まどか「ほむらちゃんのソウルジェムが輝きを取り戻すまで、どれくらいの時間がかかるんだろう」
 Qべえ「ソウルジェムの浄化スピードと穢れが溜まるスピードは反比例するから、今日明日ではないだろうね。ハッキリとは言えないけど、僕の見立てではソウルジェムが元の形状に戻るまで数週間はかかるんじゃないかな」

 まどか「ごめんね、ほむらちゃん」
 Qべえの説明を聞き終えたまどかが申し訳なさそうな声で言った。
 ほむら「え?」
 まどか「わたしを魔獣の攻撃から助ける為に時間を止めてくれたでしょう。そのせいでほむらちゃんは残り少ない魔力を全て使いきっちゃった……」
 ほむら「まどか……」
 マ ミ「鹿目さんは悪くないわ。暁美さんのソウルジェムが穢れの限界を超えてしまったのは的確な指揮が出せなかったわたしの責任よ。あの時、正面からの攻撃を指示しなければ鹿目さんを危険な目に合わせる事もなかったし、暁美さんに必要以上の時間停止をさせずに済んでいた筈だわ。時間停止には多量の魔力を使うのでしょう。それにも関わらず何度も時間を止めて魔獣との戦いをサポートしてくれた。わたしは時間の停止を実感できないけれど、戦闘中に何度も魔力の痕跡を感じたわ。ふがいない先輩でごめんなさいね、暁美さん」
 ほむら「いいえ、巴さんの責任ではありません。ソウルジェムを定期的に浄化しなかったわたし自身の落ち度です。あなたの指揮に落ち度はありませんでした」
 杏 子「ほむらの言う通り、マミは悪くない。あんたの指揮は完璧だったよ。それぞれの戦闘スタイルにあわせた戦い方を的確に指示してくれたんだからね。特攻部隊のあたしとさやかがグズグズしていたからいけなかったんだ。積極的に前へ出ていれば、もっと早く魔獣との戦いは終わっていたし、ほむらに迷惑をかける事はなかった」
 さやか「そうね。少しくらいのダメージを覚悟して斬り込んでいれば、最低でも5回はほむらの時間停止能力を節約できてたかも知れない」
 ほむら「それは結果論よ。逆に考えれば無理な特攻で致命傷を負わされていたかも知れないし、わたしのサポートも役に立てなかったわ」
 まどか「で、でも……」
 ほむら「気にしないで、まどか。わたし自身の管理ミスが原因なのだから」
 ほ む「みなさん、お優しい方ばかりですね」
 今まで積極的な発言をしなかったメガネほむらが口を開いた。
 まどか「え?」
 ほ む「それぞれ自分の非を挙げて相手をフォローしています。心の底から互いを信頼し、相手の事を思いやっているんですね」
 ほむら「これでも以前は険悪な間柄だったのよ。わたしと巴さんはまどかを巡って対立した事があるわ。さやかと杏子は初対面で殺し合いを演じた」
 ほ む「そ、そうなんですか。わたしには過去の記憶がないので……そんな事があったなんて知りませんでした」
 マ ミ「感情を剥き出しにして衝突したからこそ、お互いをわかりあえたのよ。昔から言うでしょう、「雨降って地固まる」って」
 ほ む「巴先輩の言葉の意味、よくわかります」
 さやか「(小声で)なんかさぁ、メガネほむらって素直で大人しい性格だよね」
 杏 子「(小声で)ああ。『本物』とはえらい違いだ」
 さやか「(小声で)わたし達の分身も自分とは正反対な性格なのかなぁ?」
 杏 子「(小声で)さあな。興味があればソウルジェムの穢れを貯めてみなよ。あたしは御免だけどね」

 ほむらのソウルジェムが「別人格の暁美ほむら」として具現化された真相はわからないまま、6人と1匹による午後のお茶会が始まった。
 最初は口数も少なくチーズタルトを食べながらミルクティーを飲んでいたメガネほむらだが、まどかとマミから積極的に話しかけられ緊張がほぐれたのか時間が経つにつれて場に馴染んできたらしい。
 楽しい談笑の輪に加わり、自分から積極的にさやかや杏子へも話しかけるようになった。
 ほ む「そうなんですか。佐倉さんと巴先輩は一緒に暮らしているんですか」
 杏 子「ああ。同居って言っても居候の身分だけどね」
 ほ む「その年で独立した生活をしているなんて……。尊敬します」
 杏 子「あっはははは。尊敬してるってよ、マミ」
 マ ミ「わたし達よりも暁美さんの方が尊敬に値するわよ」
 ほ む「え?」
 まどか「ほむらちゃん、御両親とは別居で一人暮らしをしてるんだよ」
 ほ む「そうなんですか? 知りませんでした」
 ほむら「昨日は突然の事で巴さんの御自宅に泊めて頂いたけれど、今後しばらくは二人暮らしになるわ」
 ほ む「は、はい。よろしくお願いします」
 杏 子「ほむらほむらに頭を下げてる構図、まるで合成のトリック映像みたいだな」
 さやか「なんだか……ややこしいなぁ。ねえ、ほむら
 ほむら「何かしら?」
 さやか「あんたじゃない。ソウルジェムのほむらよ」
 ほ む「えッ。わたしですか? 何でしょう」
 さやか「あんたの名前だけどさぁ、なんて呼べばいいのかしら」
 ほ む「呼び方……ですか」
 マ ミ「そうね。暁美さんと区別する為にも呼び方を変えないとお互いに混乱してしまうわね」
 杏 子「それなら名案がある」
 さやか「名案?」
 杏 子「こっちのツンツンした方を「ほむら」。ソウルジェムの大人しい方を「ほむほむ」って呼べばいい」
 さやか「ほ、ほむほむぅ?」
 ほむら「杏子。わたしをバカにしているの?」
 杏 子「バカになんかしてねえよ。親しみを込めてるだけじゃないか」
 Qべえ「なるほど。確かに親しみのある呼び……。きゅっぷぅ」
 ほむら「黙りなさい」
 余計な口出しをしたQべえはほむらの長い足に踏みつけられ、カーペットの上で無様な恰好を晒す。
 マ ミ「ほ、ほむほむ……ねえ」
 まどか「ちょっと……呼び難いなぁ」
 杏 子「それなら「メガほむ」はどうだ? メガネほむらの略だ」
 ほむら「……」
 殺気に満ちた目で杏子を見るほむら。それに気付いた杏子は慌てて弁解した。
 杏 子「べ、別におちょくってるわけじゃないよ。でもさぁ、こうでもしないと区別した呼び方ってできないじゃないか。そうだろう、マミ」
 マ ミ「え? ええ、そうね。佐倉さんの言う事にも一理あるわ」

 あれこれ意見が出されたものの、結局は「それぞれが呼び易い呼び方をする事」に決まった。
 この議論によって貴重な時間がアッと言う間に過ぎ去り、短い冬の陽は早くも西の空に落ちかけている。
 リビングの掛け時計が優しいメロディを奏でながら午後4時を告げ、楽しい女子会の終わり時刻が近付いている事を無情にも一同に知らせる。
 杏 子「あれ、もうこんな時間かぁ」
 さやか「本当だ。もう4時だわ。時間が経つのって早いわね」
 腕時計を見ながらさやかが言う。
 さやか「なんか雑談ばかりで旅行についての話し合いにならなかったなぁ」
 マ ミ「いいじゃない。新しいお友達を交えての雑談、楽しかったわよ」
 杏 子「事前の打ち合わせは先月からしてるんだしさぁ、今さら話し合う事なんてないじゃないか」
 さやか「まあ、そりゃそうだけどさ」
 マ ミ「美樹さんが不安なようだから明日の行動を最後確認するわね」
 まどか「はい」
 ほむら「あなたもしっかり聞いておきなさい、ほむら
 ほ む「はい」
 マ ミ「明日は午前10時に見滝原駅前のバス停へ集合、午前10時10分発のバスに乗るわよ。始発のバス停だから時間通りに出発すると思うわ。遅延がなければ午前11時30分頃に加音町へ到着する筈よ。ホテルのチェックイン開始時刻は正午。早めにチェックインを済ませて部屋に荷物を置いてから、食事がてら町中を散策しましょう。午後6時までにホテルへ戻り、午後7時からは1階のレストランでバイキングの夕食。これが明日のスケジュールよ」
 ほ む「午前10時に集合。正午にチェックイン。荷物を部屋に置いてから昼食と散策」
 マミの言葉をメモ帳のスケジュール欄に書き込むメガネほむらさやかはバックから取り出したスマートフォンの予定表アプリを立ち上げて翌日の行動予定を入力する。
 杏 子「ところでさぁ」
 マ ミ「どうしたの、佐倉さん」
 杏 子「部屋割はどうするよ。メガほむは誰の部屋に泊めるんだ?」
 さやか「決まってんでしょう、御主人様と一緒の部屋よ。ねえ、ほむほむぅ」
 ほ む「え? そうなんですか?」
 ほむら「不本意だけれど仕方ないわ。あなたは私自身なのだから」
 まどか「そっかぁ。メガネほむらちゃんはほむらちゃんのソウルジェムだから500メートル以内の場所にいないといけないんだね」
 ほむら「ええ。付かず離れず行動する事が魔力消費のペナルティらしいわ」
 杏 子「ツインルームを3部屋抑えておいてよかったな」
 マ ミ「そうね」
 さやか「ほむらほむほむと一緒の部屋になるんなら、まどかはマミさんと相部屋になるわけだね」
 まどか「あッ、そうだね。マミさん、よろしくお願いします」
 マ ミ「わたしこそ。よろしくお願いね、鹿目さん」
 ほむら(……。ざ、残念だけれど仕方ないわ。まどかとの相部屋で夜を過ごす事に浮かれてソウルジェムの浄化を怠ったのは自分自身の落ち度。それを全員の前で認めてしまったからには誰も責められない。ここは我慢よ、暁美ほむら
 ほ む「よろしくお願いします。暁美さん」
 目には見えない威圧的なオーラを全身から発する『もう一人の自分』に向かい、メガネほむらは遠慮がちに声をかけた。
 ほむら「ええ」
 自分自身からの挨拶に短い返事で応答したほむら。かなり気まづい雰囲気である。
 誰もが口を開かず室内が静まり返るなか、心の中ではボッチを回避できて喜んでいるマミの心情を察したQべえは心の中で冷静にツッコミながらも余計な発言を控えていた。
 Qべえ(トランドルベッドを使えばまどかほむらが相部屋でも問題はないじゃないか。……。だが、喜んでいるマミの笑顔を見ていると余計な口出しは躊躇われる。先輩として一人でツインルームに泊まると言い出したマミの希望を撃ち砕くのは酷だし、暁美ほむらには悪いが僕は沈黙を守る事にするよ)


⇒ To be continued
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