FC2ブログ

2017-10

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「魔法少女まどか☆マギカ Another」  寒月(前編)

【はじめに】
 魅力的な五人のヒロインが登場する「魔法少女まどか☆マギカ」はキャラクター造型とシナリオ完成度の両方が非常に高い稀有なアニメ作品であり、魔女っ子物の歴史に残る名作として認知されたと思います。
 アニメ放送終了から半年を待たずして各地で同人誌即売のオンリーイベントが開催されている実績を加味し、早くも名作の殿堂入りを果たしたと言っても過言ではないでしょう。
 原作を愛するファンの方々によって描かれた様々なfi世界の物語に影響され、今さらながら創作意欲を刺激された事は以前にも告白しましたが、今も同人作品を読むたびに幾つもの派生物語が思い浮かびます。
 今回は「杏×さや」と「杏&マミ」の組み合わせに重点を置いた物語の骨子ができあがったので、シリアス調の中編に仕上げてみました。
 上條恭介と志筑仁美のカップル誕生にショックを受けた美樹さやか、献身的なさやかの看護に感謝せず別の女性と交際する上條を憎む佐倉杏子、複雑な男女の恋愛関係に翻弄される仲間を心配する巴マミ。この三人を中心にした人間模様が織りなすドラマになります。……と、自画自賛するような紹介文を書いてみました(このような自作紹介文の書き方は、尊敬するエッセイストの横田順彌氏から学びました)。
 再三にわたって記す通り、各設定は必ずしも原作に忠実ではありませんので御注意下さい。
 最後になりましたが、本作のアイディアを得るにあたり、かしな氏の『魔法少女は眠らない』(発行:PILGRIM)とmumoto氏の「【杏さや】もしも杏子が同じ中学だったら【漫画P32】」よりインスパイアを受けた事を明記しておきます。


シーン1:黄昏時の公園(11月30日 午後5時)

 さやか「ヒック。ヒック。……。ううッ。……」
 夕日によって赤く染められた見滝原中央公園。噴水前のベンチに腰かけながら、美樹さやかは一人で泣いていた。
 寒々しい鉄製の屋外時計が午後5時を告げ、それと同時に園内の街頭が次々と点灯する。
 十一月も終わりに近づき、いよいよ年の瀬も間近に迫ってきた。日が暮れるのも早くなり、もう一時間程度で茜色の空は墨を流したかのような黒一色に染まる事だろう。
 木枯らしが吹く人気(ひとけ)のない公園のベンチで泣きじゃくるさやか
 そんな彼女の肩を背後から誰かがポンと叩いた。
 さやか「ヒック。だ、誰? ヒック」
 杏 子「な~に泣いてんだよ。明日は心弾む日曜だってのに」
 さやか「ヒック。あ、あんたには……。ヒック。か、関係ない事よ」
 杏 子「制服のままベンチに座ってると風邪ひくぜ。これを羽織りな」
 杏子は自分の着ていたコートを脱ぎ、さやかの肩にかけてやった。
 さやか「余計な事……。ヒック。し、しないでよ。ヒック」
 そうは言うものの、杏子の温もりが残るコートを脱ぎ棄てようとはしない。
 杏子はさやかの隣に座り、持っていた紙袋からスナック菓子を取り出して話しかける。
 杏 子「あんな青瓢箪みたいな坊やにふられたくらいで落ち込むなよ。看病してもらった恩も忘れるようなヤツ、あたしなら願い下げだね」
 さやか「……。ヒック」
 杏 子「マミからも聞いてるだろう、魔法少女には恋している暇なんかねぇッて」
 さやか「……」
 杏 子「だいたいさぁ、あんたみたいに活発な元気娘と神経質な音楽家の卵ってカップリングに無理があったんじゃ……」
 さやか「うるさいわね。あ、あんたに……。ヒック。なにが分かるのよ。わたしの気持ち……。ヒック。あんたなんかには……。ヒック。わからないわよ」
 泣きはらした目で杏子を睨みつけるさやか。その視線を正面から受け止め、杏子は静かに口を開いた。
 杏 子「さやか、あんたは優しい娘(こ)だよ。テスト勉強や学校行事で疲れている時も幼馴染の見舞いを欠かさず、いろんな差し入れまで持って行ってさ。Qべぇの野郎に騙されたとは言え、怪我で不随になった右腕を治してやる目的で魔法少女の契約を交わし、自分の運命よりも上條の将来を優先させた」
 さやか「……。ヒック」
 杏 子「でもさあ」
 真剣なまなざしでさやかを見つめ、杏子は言葉を続ける。
 杏 子「匿名の奉仕で独善的な満足感に浸ってたんだろうけど、そうやって自分の気持ちを偽って招いた結果が今のあんたの姿だ。一言でいい、惚れた相手に「好きだ」って言っちまえばよかったんだ。この一言を口に出す勇気がなかったから、あんたは日蔭者のまま身を引く事になった。違う……」
 パシン。
 杏子の言葉を遮り、彼女の頬をさやかの右手が容赦なく叩いた。肌を打つ痛々しい音が冬の公園に響く。
 さやか「うるさい、うるさい。……。ヒック。あんたには……。ヒック。関係ない事でしょう。ヒック。ほっといてよ」
 杏 子「ほっとけねえよ」
 さやか「え?」
 杏 子「大事な友達が悲しんでるんだ、ほっとけるわけねえだろう」
 さやか「きょ、杏子。……。ヒック」
 杏 子「食うかい?」
 叩かれた頬が赤く鬱血しているにも関わらず、杏子は笑顔で紙袋からスナック菓子を取り出した。
 杏 子「文化祭の後片づけが終わって下校してから昼飯も食わずに上條の事を探してたんだろう。制服のまま方々を廻って腹が減ってるんじゃねえか?」
 さやか「……。ヒック」
 杏 子「こんなもんで腹の足しになるか分かんねえけど、よかったら食いなよ」
 さやか「あ、ありがとう。ヒック」
 少しは気持ちが落ち着いたのか、さやかは杏子が差し出したスナック菓子を受け取った。
 包紙を破り、棒状のスナック菓子を口に運ぶ。
 ボキッ。サクッ、サクッ、サクッ。
 乾いた音をたてて棒状のスナック菓子が途中から折れ、スナックを噛み砕く音が聞こえる。
 さやか「お、美味しい。……。ヒック。こんなに美味しかったんだ……。ヒック。このお菓子」
 今までの険しかった表情が消え、さやかは微笑みながらスナック菓子を二口で食べ終える。
 サクッ、サクッ、サクッ。
 さやか「ああ、美味しかった」
 杏 子「やっと笑ったな。それでこそさやかだ。あんたには笑顔が一番似合うよ」
 さやか「杏子。……。ヒック。どうもありがとう。ヒック。それと……ごめんなさい。ヒック。わたしを慰めようとする……。ヒック。あんたの気持ちを知っていながら……。ヒック。ほっぺたを叩いちゃって」
 杏 子「気にしてねえよ。蚊も殺せないさやかのビンタなんか」
 屈託のない笑顔で答え、杏子は二つ目のスナック菓子を口にする。
 さやか「……」
 涙を浮かべたまま黙りこむさやかの肩を抱き、杏子は自分の方へ引き寄せた。
 杏 子「泣きな」
 さやか「え?」
 杏 子「思いっきり泣いちまえよ。メソメソ涙を流してても悲しみは和らがない。悲しい時は思いっきり泣いちまいな」
 さやか「きょ、杏子……。ヒック。ヒック。うああああああん……」
 杏子の胸に顔をうずめ泣きじゃくるさやか。これまで抑えていた涙と悲しみが一気に噴出したらしい。
 さやかの流す涙は杏子のトレーナーに不格好な地図を描くが、当の杏子は目を閉じながらスナック菓子を齧り、泣き続けるさやかの肩を右手でしっかりと抱きしめる。
 さやか「うああああん。わ、わたし……本当は悲しかった、悔しかった。自分の気持ち……伝えようとしながら……言えなかったのが……悪いって分かってても……仁美と恭介が許せなかった……。きょ、恭介も……仁美が好きなら……そう言ってくれれば……。ひ、仁美はいつも……遠慮して……わ、わたしがいなくなってから……お見舞いに行ってたって言うけど……い、一緒に行っても……よかったじゃない。そんな事にも……き、気付かなかった……なんて。わたし……ま、まるで……道化師じゃないのよ。あはあああああん、あああああん」


シーン2:夕食の会話(11月30日 午後7時)

 マ ミ「そう。そんな事があったのね」
 杏 子「とりあえず家までは送ってきたけどよ、かなり深い心の傷を負っちまったらしい。しばらくは魔法少女として活動させない方がいいぜ」
 マ ミ「ええ。不安定な精神状態で魔女と戦うのは危険が大きすぎるものね」
 水炊きの鍋を囲みながら、杏子は夕方の出来事をマミに話した。
 泣くだけ泣いて少しは落ち着いたさやかを自宅まで送ったものの、彼女は公園を出てから一言も口をきかず、何となく気まずい雰囲気で別れたのだった。
 杏 子「それにしてもよぉ、上條の奴も許せねえよな。志筑仁美と付き合ってたなら正直に言えばよかったじゃねえか。さやかの好意、どんな気持ちで受けてやがったんだ」
 イライラしながら水炊き用の骨付き鶏モモ肉を豪快に食いちぎる。
 マ ミ「上條君……だったかしら。彼にも事情があったんじゃないの。なんといっても多感な年頃でしょう、他人には伺い知れない心の葛藤があったのかも知れないわ」
 杏 子「へッ。なにが心の葛藤だ。多感な年頃ならよぉ、少しはさやかの気持ちも考えてやりゃいいじゃねえか」
 マ ミ「杏子」
 箸を置いたマミは真剣な表情で杏子を見つめ、落ち着いた声で呼びかけた。
 杏 子「なんだよ」
 マ ミ「これは美樹さん個人の問題よ。冷たいようだけど、彼女自身で解決しなければいけない事だわ」
 杏 子「そんな事は分かってるよ」
 マ ミ「それなら、これ以上の干渉は無用よ。あなたが美樹さんを心配する気持ちもわかるけど、部外者は口を挟んでは駄目。いいわね」
 杏 子「……」
 マ ミ「杏子」
 杏 子「わ、わかったよ……」


シーン3:さやかの入院(12月2日 午前7時50分)

 まどか「あッ、杏子ちゃん」
 杏 子「よう、まどか。おはよう」
 まどか「おはよう。大変だよ、杏子ちゃん。さやかちゃん、入院しちゃったんだって」
 杏 子「な、なんだと。どう言う事だ、まどか
 まどか「わたしくも詳しい事はわからないの。さやかちゃんのお父さんから聞いた話だと、傷だらけで庭先に倒れていたから救急車を呼んで病院へ搬送したみたい」
 杏 子「な……なんだと」
 まどか「今朝、一緒に登校しようとさやかちゃんの自宅に寄ったんだ。そしたら、昨日の夜に緊急入院したって……」
 杏 子「緊急入院だと」
 ほむら「おはよう。なんだか騒々しいけれど、どうかしたの?」
 まどか「ほむらちゃん。さやかちゃんが昨日から入院しちゃったの」
 ほむら「え? あの美樹さやかが?」
 まどか「うん」
 ほむら「体でも壊したのかしら? そう言えば、土曜日は顔色がすぐれなかったわね。風邪をこじらせたのでなければいいけれど」
 まどか「わたしも詳しくはわからないけど、昨日の夜、傷だらけになって倒れているのが見つかって入院しちゃったみたい」
 ほむら「不可解な事もあるわね」
 杏 子(そうか。この二人、さやかが上條にふられた事を知らねえんだ……)
 ほむら「どうしたの、佐倉杏子」
 杏 子「い、いや。別に」
 ♪~ ♪~ ♪~
 まどか「あッ。そろそろホームルームの時間だ。それじゃ、また後でね」
 ほむら「ええ」
 8時5分前の予鈴を聴いたまどかは自分の席へ戻り、ほむらと杏子も自席に落ち着く。
 杏 子(さやかが入院した。まさか、上條の事が原因なのか……。まどかの話では全身傷だらけで庭に倒れていたそうだが、三階の自室から飛び降りでもしたのか)
 いろいろな考えが浮かんでは消え、消えては浮かんでくる。
 杏 子(まあ、ここで心配してても仕方ねえ。まどかほむら、マミを誘って帰りに見舞ってやるか)


シーン4:公園にて(11月29日 午後4時)

 落葉した木々に挟まれた見滝原中央公園の遊歩道。ここを二人の中学生が談笑しながら歩いている。
 仁 美「お医者様からも絶望視された右腕の怪我が完治するだなんて、奇跡は信じてみるものですわね」
 上 條「ありがとう、志筑さん」
 仁 美「日曜日の演奏会、頑張って下さいましね」
 上 條「うん。エントリーを抹消されなかったのは不幸中の幸いだったからね。このチャンス、絶対に逃せないよ」
 仁 美「全日本弦楽器コンクールでの優勝経験は音楽大学への有力な武器になるそうですからね。上條君の才能ならば、ジュニア部門史上初の中学生優勝者輩出も夢ではありませんわ」
 上 條「上には上がいるから楽観できないけれど、当日は得意な曲で勝負に出ようと思うんだ」
 仁 美「上條君ならば大丈夫、絶対に優勝できますわよ」
 上 條「志筑さんからもらった幸運のマスコット、これを当日は持って行くよ」
 仁 美「あら、嬉しいお言葉ですわ」
 さやか「……」
 こんな二人の会話を木陰に隠れる形で見ていた人影があった。美樹さやかだった。
 まどかの家へ遊びに行った帰り、近道として公園内を通った時、この場面を不幸にも彼女は目撃してしまった。
 さやか(きょ、恭介、明後日のコンクールに出場するんだ。そんな話、学校では一言もしなかったじゃない。それに幸運のマスコットって何の事よ……)
 二人は街頭の下にあるベンチへ腰を下し、なおも話し続ける。
 上 條「それにしても志筑さんのお弁当、美味しかったよ。あれだけが孤独な入院中の楽しみだったんだ」
 仁 美「それはようございましたわ」
 上 條「さやかが差し入れてくれた音楽CDを聴きながら食べる志筑さんの手製弁当、忘れられない味だよ」
 仁 美「さやかさん。彼女には悪い事をしてしまいましたわね」
 上 條「……」
 仁 美「やはり、彼女とお見舞いに行くべきでしたわ。さやかさんが帰った後にコソコソとお見舞いに来るなんて、あの時のわたくしはどうかしていたようです……」
 上 條「それはさやかを裏切りたくないって気持ちが働いていたからじゃないのかな」
 仁 美「やはり、わたくしの口から彼女に伝えます。上條君との事、いつまでも内緒にしていてはさやかさんに申し訳ございませんもの」
 上 條「いや、僕から言うよ。なるべく彼女を傷つけないようにね」
 仁 美「で、でも……」
 上 條「心配しないで、志筑さん。さやかだって、きっとわかってくれるよ。そして、笑顔で祝福してくれるさ」
 仁 美「そうでしょうか……。なんだか心苦しくて仕方ありませんわ。結果として、さやかさんを裏切ってしまったのですから」
 上 條「彼女と僕は幼馴染だ。子供の頃から互いの事を知り過ぎる程に付き合ってはいるけど恋愛感情にまでは発展しないよ。きっと、身近な存在過ぎて友達の関係からは踏み出せないのかも知れない」
 仁 美「……」
 上 條「ただ、コンクール前は精神を集中させなければいけない。さやかに打ち明けるのは週が明けてからにするよ」
 仁 美「上條君がそう仰るのなら、あなたに一任致しますわ」
 二人の会話を聞いていられなくなったのか、さやかは目に涙を浮かべながら公園から出て行った。
 そんな彼女を見ていたのが杏子だった。
 隣町まで出掛けた帰り、杏子も近道として公園内を突っ切ろうとしたが、そこで立ち聞きするさやかの姿を見かけ、遊歩道の反対側に立ち並ぶ大きな木の陰に隠れて仁美と上條の会話を聞いたのだ。
 さやかが入院中の上條恭介を定期的に見舞っている事は杏子も知っていたし、彼の右腕が事故の後遺症で不随になってしまったのを知ったさやかが癒しの祈りで魔法少女の契約を交わし、その能力で上條の右腕を完治させた事も知っている。
 そんなさやかの好意を知ろう筈がない担当医は突然の奇蹟として不思議がり、上條一家は喜びの涙を流した。
 しかし、さやかに架せられた奇跡の代償は大きい。彼女は魔法少女の契約を交わしたが為に魔女と戦い続ける宿命を背負わされ、奇跡を与えた誰からも感謝される事なく正義の剣を振るわなければならなくなった。
 杏 子(こりゃ、かなり衝撃的な場面だな。さやかのやつ、ヤケをおこさなけりゃいいけど……) 


シーン5:杏子とマミ(12月2日 午後5時30分)

 杏 子「ただいま~」
 マ ミ「おかえり。どうだった、美樹さんの容体」
 杏子の帰宅を待ちわびていたマミがエプロンで手を拭きながら玄関まで迎え出た。
 来週末に行われる三者面談の説明会があり、三年生のマミはさやかの見舞いには同行できなかったのだ。
 両親を事故で亡くしたマミだが、他県在住の叔父夫妻が後見人として諸々の面倒を見てくれている。
 マミがしっかりした性格である事と高校受験目前という事で一人暮らしを認め、金銭的な事や進路相談で保護者の出番が必要な時のみマミの自宅であるマンションを訪れるのだった。
 熱心なクリスチャンであるマミの叔父は杏子の境遇に同情を覚え、彼女の同居を認知したうえで一定額の生活費を援助している。
 特殊な家庭環境ゆえ、こうしてマミがエプロンをつけて台所に立ち、二人分の夕食を作る事も珍しくない。
 杏 子「怪我自体は大した事なかったらしい」
 マ ミ「そう。それはよかった」
 杏 子「とりあえず着替えさせてくれ、詳しい話は飯を食いながらだ」
 マ ミ「わかったわ。ちょうど支度が終わったところだったの」
 杏 子「うう~ん、いい匂い。中華か?」
 マ ミ「そうよ。今日のメインは揚げワンタンとチンジャオロースよ」
 杏 子「さすがマミ。それじゃ、さっさと着替えてくるか」
 数分後。
 着替えを済ませた杏子がダイニングルームに現れ、マミと対面する形で椅子に腰を下ろす。
 マ ミ「それで美樹さんの事だけど……」
 杏 子「さやかの話じゃ、魔女との戦いで負傷したそうだ」
 マ ミ「なんですって」
 杏 子「出先から家に戻る途中、魔女に口付けされたガキを見つけたんだと。自分のコンディションも考えずに魔女の結界へ入り込んだのはいいが、あの精神状態じゃ100%の力を発揮できなかったらしい。魔女の攻撃でボコボコにされたってよ」
 マ ミ「でも、魔女は倒せたんでしょう」
 杏 子「当たり前だろう。負けてりゃさやかは生きちゃいねえよ」
 マ ミ「それもそうね。愚問だったわ」
 杏 子「精神面が不安定だった事に加え、予想以上の苦戦で自分の傷を癒すのも忘れたらしくってよ、家まで辿り着いた瞬間に玄関前で倒れ、そこを親父に発見されたらしい」
 マ ミ「あら、庭先じゃなかったの?」
 杏 子「親父も昨日の今日で混乱してたのかもな。今朝、まどかが聞いた時は庭先と言ったみたいだけど……。まあ、細かい事はどうでもいいじゃねえか」
 マ ミ「美樹さんの容体はどうなの」
 杏 子「怪我自体は大した事ないそうだ。外傷がひどいので精密検査の為に入院させただけだってよ。明後日には退院して学校にも来られるって」
 マ ミ「大事に至らず何よりだわ」
 杏 子「もしかしたら、無意識のうちに癒しの祈りで多少は傷を回復させていたのかもな」
 マ ミ「そうかも知れないわね」
 杏 子「ただ、問題がある」
 マ ミ「問題?」
 杏 子「上條の奴、志筑仁美と付き合っている事を週明けにさやかへ話すって言ってたんだ」
 マ ミ「……」
 杏 子「そんな話、今のさやかに聞かせてみろ。どうなるか予測できねえぜ。あいつ、意外とナイーブなところがあるからよ」
 マ ミ「改めて当事者から事実を聞かされるとショックも大きいでしょうからね。確かに心配だわ」
 杏 子「なあ、マミ。あたしたちにできる事はねえのか。このままじゃ、さやかが可愛そうだ」
 マ ミ「杏子、土曜日の夜に言ったはずよ。部外者は余計な口出しをしない」
 杏 子「……」
 マ ミ「あなたの気持ちはわかる。わたしだって、できる事ならば美樹さんの力になってあげたいわ。でもね」
 杏 子「でも? でも、何だよ」
 マ ミ「下手な同情や好意は、かえって美樹さんを傷つけてしまうかも知れないのよ」
 杏 子「どういう意味だ?」
 マ ミ「うまくは説明できないわ。でも、これだけは約束して。本当に美樹さんの事を思っているなら静観を決め込むって」
 杏 子「……」
 マ ミ「杏子」
 杏 子「マミ……。悪いけど約束はできない」
 マ ミ「……そう」
 杏 子「ごめん、聞き分けが悪くて。でも、軽々しい約束をしてマミに嘘をつきたくないんだ」
 マ ミ「とりあえず、夕食を済ませましょう。冷めてしまうわ」
 杏 子「……そうだな」


⇒ To be continued
スポンサーサイト
[PR]

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ryonablog475.blog2.fc2.com/tb.php/281-420b404d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

FC2カウンター

プロフィール

新 京史朗

Author:新 京史朗
好きな技(1):バスター技
好きな技(2):股裂き関節技
好きなシチュエーション:リョナ

最新記事

カテゴリ

小説 (86)
アニメ (33)
ゲーム (31)
アメコミ (23)
フィギュア (5)
映像・写真 (16)
DOA・無双 (114)
イラスト企画 (43)
鉄拳・スト鉄 (92)
漫画・絵物語 (107)
イラスト・挿絵 (51)
映画・イベント (35)
ウルトラヒロイン (12)
MUGEN・ドット絵 (2)
オリジナルヒロイン (8)
御挨拶・お知らせ・交流 (134)
魔法少女まどか☆マギカ (59)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。