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2017-10

「魔法少女まどか☆マギカ Another」  真夏の海と魔法少女たち(後編)

<第三部・夜の別荘>

 魔女少女五人によって魔女が倒され、S海岸は再び静けさを取り戻した。
 さやかの傷もマミの治癒魔法によって癒され、痛々しい傷の痕跡は全く見られない。
 夜の散歩を中止した五人はマミの別荘に戻り、そこで長い夏の夜を過ごす事になった。
 マ ミ「さあ、スイカが切れたわよ」
 蚊取り線香を焚いたテラスで談笑していた四人はマミの声に反応し、おしゃべりを中断した。
 杏 子「待ってましたぁ」
 まどか「うわぁ、美味しそう」
 さやか「マミさんが切ると見た目まで美味しそうだわ」
 ほむら「これも才能と言うのかしら」
 マ ミ「あら、嬉しい事を言ってくれるわね」
 お盆がテーブルの上に置かれ、マミが一人一人にスイカの乗った皿を配る。
 マ ミ「お塩も用意したから好きに使ってね」
 さやか「は~い」
 杏 子「それじゃ頂くとするか」
 まどか「頂きま~す」
 さやか「頂きま~す」
 スイカを食べながら談笑の続きに興じる三人。しかし、少し離れた所に座っていたほむらだけはスイカに手をつけず、話の輪にも加わらなかった。
 マ ミ「どうしたの暁美さん、スイカは嫌いだったかしら」
 その脇の椅子に腰をおろしたマミが尋ねる。
 ほむら「いいえ」
 マ ミ「それなら遠慮しないで食べて」
 ほむら「ありがとう」
 御礼は言うものの、心ここに有らずという状態だった。
 マ ミ「どうしたの。何か悩み事?」
 ほむら「いいえ」
 マ ミ「……」
 ほむら「まどかのおかげでソウルジェムの呪縛から解放され、グリーフシードの奪い合いもなくなったわ」
 マ ミ「そうね。鹿目さんには感謝してもしきれないわ」
 ほむら「わたしは目を覆いたくなる惨劇の現場を何度も見てきた。そして、そのたびに絶望してきたわ。悲劇の連鎖を食い止められない自分自身の無力さを憎んだ」
 マ ミ「暁美さん……」
 ほむら「この世界に魔女が存在する限り、わたしたち魔法少女の使命は終わらない。でも、あの地獄のような別の時間軸に比べたら、魔女と戦い続ける宿命なんて何でもない事だわ」
 マ ミ「……」
 ほむら「今日一日は本当に楽しかった。平和な世界に生きている喜びと永らく忘れていた安らぎを実感できたわ。そのせいか変に気分が高揚しているのよ。魔女少女に仲間はいらない、お喋りなんて耳障りな雑音のキャッチボールでしかない、同業者の屍を踏み越えても魔女を倒す。大袈裟に言えば、これがわたしの人生哲学だったわ。でも今は違う。鹿目まどか、美樹さやか、佐倉杏子、巴マミ。四人は大切な仲間であり、どんな話題でも楽しく会話でき、危機に陥った時は助けたい、そう思えるようなったわ。この楽しい時間が一秒でも長く続いてほしい。そんな事を考えていたら、つい自失してしまったの」

 長い語りを終えたほむらは顔をあげて空を見た。月光に照らされたほむらの横顔は神々しいまでに美しく見える。
 マ ミ「うふふふふ」
 ほむら「何がおかしいの」
 マ ミ「ごめんなさい、笑ったりして。実は杏子も同じような事を言っていたのよ。懐かしい温もりに安らぎを感じる、って」
 ほむら「え? あの佐倉杏子が」
 マ ミ「そう。あなたが体験してきた地獄のような日々と比べれば大した事はないかも知れないけど、杏子は杏子なりに自分自身が抱える過去に囚われながら魔女少女として魔女と一人で戦っていたの」
 今度はほむらが沈黙する番だった。
 マ ミ「わたしも悩みを打ち明けられる友達や家族がいない孤独な毎日を送りながら、魔女との戦いが怖くて逃げ出したくなるのを我慢して一人で戦い続けた。そんな精神状態でソウルジェムの秘密を知ってしまい、わたしも杏子も気が狂いそうになったわ」
 ほむら「そうだったの……」
 マ ミ「ソウルジェムの秘密を知ってから、わたしと杏子は同居するようになったのよ。お互いに一人でいると不安で仕方がなかった。多少なりとも不安を解消できればと、わたしが言い出したの」
 ほむら「佐倉杏子にも不安という感情があったとは意外だわ」
 マ ミ「そんな絶望のドン底にいる時、鹿目さんと美樹さんに出会ったの。二人は魔法少女の話も、魔女の話も、ソウルジェムの話も真剣になって聞いてくれた。そして、魔女と戦うわたしたちの事を尊敬してくれたわ。あの純真無垢な瞳は自分自身を奮い立たせる起爆剤になったのよ」
 ほむら「……」
 マ ミ「魔女との戦いに勝利できた後、わたしは紅茶を飲む事で恐怖心を誤魔化し、無理に心を落ち着かせていたわ。杏子も同じよ。空腹を満たす事で余計な事を考えないようにしていたの」
 ほむら「恐怖を克服する為に……そんな事を……」
 マ ミ「鹿目さんがソウルジェムの永久浄化に成功し、わたしたちを絶望させる負の作用は全て消え去った。鹿目さんの勇気ある行動の延長に平和な生活があるって考えると、ついセンチメンタルな気分に浸ってしまうのよ」
 まどかの笑顔を見ながらマミは話し続ける。
 マ ミ「こんなに開放的な気分で夏を迎えたのは生まれて初めてだわ。ハシャギ過ぎないように自分を抑えているけど、本当は嬉しくて楽しくて仕方がないのよ。みんなに別荘へ来てもらったのも、そんな気持ちの表れかも知れないわね」
 ほむら「そう。そうだったのね」
 マ ミ「わたしも暁美さんと同じ。この楽しい時間が一秒で永く続いてほしいと思っているわ」

 スイカを食べ終え、蚊取り線香も燃え尽きたので五人はテラスから室内へ引き揚げた。
 まどか「スイカ、美味しかったね」
 さやか「うん。瑞々しくて食べ応えあったわ」
 杏 子「種なしスイカを選ぶあたり、さすがマミだよなぁ。まだ三切れは食べられそうだ」
 ほむら「(小声で)これで本当に不安という感情をもっているのかしら」
 マ ミ「(小声で)ああ見ても杏子は繊細なのよ。良くも悪くも純情なの」
 ほむら「(小声で)そうには見えないけれど……」
 さやか「ねえねえ、そろそろお風呂に入らない。何だか汗かいちゃったわ」
 まどか「風が止んだせいか、ちょっと蒸してたもんね」
 マ ミ「そうね。もうすぐ九時だし、そろそろお風呂へ入りましょう」
 まどか「ねえ、さやかちゃん。一緒に入ろう。実はさやかちゃんとお風呂に入るの楽しみにしてたんだぁ」
 さやか「おッ、さてはお主、胸の発育に自信があるのだな」
 まどか「うぇひひ。まあ、少しは自信があるかな」
 ほむら「そういう事なら、わたしも一緒に入るわ」
 まどか「それじゃ三人で入ろう」
 杏 子「ちょっと待って。あしたも一緒に入る」
 さやか「あんたも? 四人一緒は無理じゃない」
 杏 子「な、なんだよ。あたしだけ仲間外れかよ」
 さやか「そう言うわけじゃないけど……」
 マ ミ「大丈夫よ、杏子。みんなで一緒に入りましょうよ」
 さやか「ここのお風呂は五人も入れるんですか?」
 マ ミ「ええ。この別荘は父が接待客の宿泊施設として購入したの。ほら、この周辺は民宿中心でしょう。その関係で浴室も大きめに設計されているわ。わたしたち五人なら狭さを感じずに入れる筈よ」
 杏 子「なるほど。どうりで建物全体が広いわけだ。さすがセレブは違うな」
 さやか「でも、こんな大きな別荘なのに夏だけしか使わないのは勿体ないですね」
 杏 子「ああ。維持管理も大変だろうなぁ」
 マ ミ「維持管理は後見人の叔父が行っているわ。冬は叔父一家がお正月を過ごすのに使っているの」
 杏 子「ふ~ん、そうなんだ」
 マ ミ「それじゃ入浴の準備をしておいてね。わたしはお風呂の用意をしてくるわ」
 まどか(みんなで入浴かぁ。楽しそう)
 さやか(まどかにだけは負けないと思うけど……。不安だなぁ)
 ほむら(ま、まどかと一緒に入浴……)
 杏 子(さやかのヌード、さやかのヌード、さやかのヌード……)

 さやか「うわ~、広い浴槽。うちの浴槽の三倍はありそう」
 脱衣所と浴室を仕切る引き戸を開け、さやかが驚きの声をあげた。
 マ ミ「お湯張りや掃除が大変だけどね」
 さやか「確かに」
 まどか「この大きさなら五人全員でも余裕で入れるね」
 さやか「ええ。さあ、ちゃっちゃと服を脱いじゃおう」
 まどか「うん」
 ほむら「五人全員で入浴……」
 杏 子「さやかと隣り合って入浴……」
 マ ミ「暁美さんも杏子も立っていないで服を脱いだら。ん? どうしたの?」
 杏 子「ああ、いやぁ、何でもない。何でも……」
 ほむら「あまりの広さに驚いただけよ」
 マ ミ「あら、ありがとう」
 杏 子「(小声で)ふぅ。鈍感な奴で助かった」
 さやか「それじゃ、お先にぃ~」
 まどか「あぁん、待ってよぉ」
 マ ミ「タイルで滑らないように気をつけてね」
 さやか「は~い」
 まどか「分かりました」
 ほむら(まどか、今行くわ)
 さやかまどかに続き、ほむらも服を脱ぎ終え、引き戸を開けて浴室に入っていった。
 杏 子「なあ、マミ」
 マ ミ「なぁに?」
 杏 子「そのブラジャー買う時って恥ずかしくないのか」
 マ ミ「な、何を言うの。バカねぇ」
 杏 子「いや、だって……」
 マ ミ「だって? だって、どうしたの?」
 杏 子「あんたのような中学生が大人用のブラジャーを買う姿、どうも想像できないんだよ」
 マ ミ「あのねぇ、杏子。今はネットショッピングという便利な機能があるの。ボタン一つで商品が買える世の中なのよ」
 ザパァン。ザパァン。
 引き戸の向こうから掛け湯をする音が聞こえる。
 マ ミ「ほらほら、くだらない事を言ってないで服を脱ぎなさい。グズグズしてると先に行くわよ」

 杏 子「あ~。いい湯だなぁ。冷水で掛け湯したせいか体が芯から温まる」
 さやか「ちょっと、杏子。お湯の中にタオルを入れないでよ」
 杏 子「いいじゃねえか、固い事言うなよ。ここは銭湯じゃねぇんだから」
 まどか「そうだよ、さやかちゃん。細かい事は気にしない、気にしない」
 ほむら「知らない仲ではないし、大目に見てあげたら」
 杏 子「さっすが、まどかほむらは良い娘(いいこ)だねぇ。ヨシヨシ」
 まどか「あっはは、やめて、杏子ちゃん。頭がくすぐったいよ~」
 ほむら「感謝は気持ちだけで十分よ」
 杏 子「へへへ、お次は胸だ。……。おッ、まどか。なんだか発育してきたんじゃねえか」
 もみ、もみ、もみ。
 まどか「ああん、杏子ちゃんったら」
 ほむら「わ、わ、わ、わたしも……」
 もみ、もみ、もみ。
 ほむら(ああ……。し、幸せ。これがまどかの胸。小さくて、ほっそりしてて、可愛い。何度も時を繰り返してきたけど、心の底から幸せを感じられるのは初めてだわ。この世界が続けば……)
 まどか「ちょ、ちょっと……。ほ、ほむらちゃんまで。あは、あは、あははは。く、くすぐったいよ~。さやかちゃん、マミさん、助けて~」
 さやか「ちょっと、なにやってんの。二人だけでズルイわよ。わたしも仲間に入れなさい」
 まどか「えッ? さ、さやかちゃん?」
 さやか「まどか、覚悟ぉ~」
 もみ、もみ、もみ。
 まどか「あっはははは~。や、や、やだぁ。マミさ~ん、助けて下さ~い」
 マ ミ「あらあら、楽しそうね。それなら……」
 もみ、もみ、もみ。
 まどか「もう~。どうなってるのぉ」
 前後左右から完全包囲されたまどか。その小さな胸は白魚のような指に揉まれ、脳天を直撃するような快感が全身を走り抜ける。
 杏 子「(小声で)これでいいか、ほむら。ちょっとアドリブが入っちまったけど」
 まどかの背後から胸を揉んでいた杏子は手を休め、自分の右手前方にいるほむらへ小声で話しかけた。
 ほむら「(小声で)ええ。ありがとう」
 杏 子「(小声で)あんたの口から御礼が聞けるとは思わなかったぜ」
 ほむら「(小声で)驚く程の事でもないでしょう」
 杏 子「(小声で)それじゃ、次はほむらの番だ。頼むぜ。さ、さ、さやかと……その……」
 ほむら「(小声で)分かっている。美樹さやかと裸でスキンシップを取りたいのでしょう。自信はないけど……やってみるわ」(こういう事は苦手なのだけど、佐倉杏子には借りができたし……。まあ、とにかく行動あるのみね)

 まどか「ふえ~。みんな、ひどいよ~」
 くすぐり地獄から解放されたまどかの顔は真っ赤に火照っていた。
 さやか「あははは、悪い悪い」
 マ ミ「ちょっと調子に乗りすぎちゃったわね。ごめんなさい」
 杏 子「まあ、裸の付き合いって事で許してくれ」
 ほむら「ごめんなさい、まどか。大丈夫?」
 まどか「うん、大丈夫だよ」
 ほむら「お詫びに背中を洗ってあげるわ」
 まどか「え?」
 ほむら「さあ、お湯から出て。心を込めて背中を洗ってあげるから」
 さやか「ま、待ちなさい。まどか、わたしが洗ってあげるわ。ほら、お風呂から出て」
 負けじとさやかが名乗り出た。そして、先手必勝とばかりにまどかの手を引いて湯舟からあがる。
 まどか「ちょ、ちょっと。さやかちゃん」
 ほむら(予想通りだわ。美樹さやかが名乗りをあげると思った)
 思惑通りに事が運び大満足のほむらは、肩まで湯に浸っている杏子の耳元に口を近づけて囁いた。
 ほむら「(小声で)何をグズグズしているの、今が絶好のチャンスよ。美樹さやかまどかの背中を洗っているのを口実に、あなたは美樹さやかの背中を洗ってやりなさい」
 杏 子「(小声で)お、おう。そうだな」
 ほむら「(小声で)これで貸し借りなしね」
 杏 子「(小声で)ああ。あたしの方が得したっぽいがな」
 ほむら「(小声で)わたしは……ま、まどかの、む、胸にさわれただけで、ま、満足よ……」
 のぼせたのか、興奮したのか、ほむらも顔を真っ赤に火照らせた。
 杏 子「(小声で)おいおい、顔が真っ赤だぞ。大丈夫か」
 ほむら「(小声で)大丈夫よ。早く行きなさい」
 杏 子「(小声で)お、おう」
 さやかまどかに続いて杏子も湯舟から出た。

 大勢の客が入浴する事を前提に設計されただけあって洗い場も広く、ちょっとした小部屋なみのスペースになっていた。
 さやかは入浴前にマミから渡されたリネンのボディタオルを石鹸で泡立たせ、それでまどかの背中を丁寧に洗っている。一方のまどかは恍惚とした表情でバススツールに座っていた。
 さやか「どう、まどか。気持ちいい?」
 まどか「はふぅ。うん。とっても」
 杏 子「さ、さやか
 さやか「何よ」
 まどかと二人だけの時間を邪魔され、さやかは不機嫌な声で答える。
 杏 子「よかったら、あ、あたしが背中を洗ってやるよ」
 さやか「はあ? あんたが背中を洗ってくれるの? あたしの?」
 杏 子「おう。い、嫌なら、いいんだけどよ」
 突然の申し出に困惑したのか、さやかまどかの背中を洗う手を休めた。
 まどか「洗ってもらいなよ、さやかちゃん」
 ほむら「遠慮しないで好意を受けたらどう?」
 杏 子(ナイスフォロー。まどかほむら
 心の中で喜ぶ杏子。しかし、そんな事は表情に出さない。
 周囲の声に後押しされたのか、それとも場の空気を読んだのか、さやかは少し照れながら言った。
 さやか「それじゃ、お願いするわ」
 杏 子「まかせとけ」(よしッ、作戦成功だ~\(^0^)/)
 さやかの後ろにバススツールを置き、腰かける杏子。洗面器に満たしたお湯でボディタオルを濡らし、たっぷりと泡立たせてからさやかの背中を優しく擦った。
 さやか「はぁぁ。いい気持ち。ガサツっぽく見えて、意外と繊細な手つきなのね。見直したわ」
 杏 子「そ、そうか。へへへへ」
 照れ隠しに笑う杏子だが心底の嬉しさは隠しきれない。
 まどか「くぅぅぅ。いい気持ちぃぃぃ」
 さやか「はあ。そこそこ。あ~、気持ちいい」
 洗い場に展開される和気藹々とした場面を見ながらマミが口を開いた。
 マ ミ「ねえ、暁美さん」
 ほむら「なに?」
 マ ミ「わたしたちも参加しない?」
 ほむら「参加? あの中に加わるって事かしら」
 マ ミ「ええ」
 短く返事をした後、一列になって仲好くスキンシップを取っている三人に向かって言った。
 マ ミ「ねえ、わたしたちも仲間に入れてくれないかしら」
 杏 子「仲間に入れてくれって、どういう事だ?」
 マ ミ「輪になって背中を洗いっこするのよ。わたしは杏子の、杏子は美樹さんの、美樹さんは鹿目さんの、鹿目さんは暁美さんの、暁美さんはわたしの背中を洗う。どうかしら?」
 まどか「いいですね。わたしは賛成です」
 さやか「そうね、なかなか楽しそう」
 杏 子「あたしは異議なしだ」
 マ ミ「ありがとう。それじゃ暁美さん、あがりましょう。円環の理へ導かれるままに。(小声で)鹿目さんに背中を洗ってもらうのも悪くないでしょう。あまり美樹さんの事を悪く思っちゃ駄目よ」
 ほむら「(小声で)大丈夫、気にしてないわ」(ああなる事は予想していたもの)

 さやか「あ~あ、さっぱりしたぁ」
 まどか「いいお湯だったね」
 ほむら(まどかの胸の感触、忘れられないわ)
 杏 子(さやかの背中、さやかのヌード、さやかの髪の香り。今夜は最高の夜だ)
 マ ミ「お風呂上りと言えば牛乳よねぇ。はい、どうぞ」
 バスタオルを体に巻いたまま、マミはキッチンの冷蔵庫から瓶牛乳を五本持ってきた。
 杏 子「瓶牛乳か。風呂上がりの定番だな。遠慮なく頂くよ」
 ほむら「用意周到ね。わたしも頂くわ」
 まどか「わたし、牛乳は大好きなんです。頂きますね」
 さやか「これを飲めばマミさんのように胸が大きくなるんですね。そう言う事なら頂きます」
 ほむら「ゴクゴク。水をさすようで悪いけど、乳飲料の摂取と胸の成長における因果関係は俗説らしいわよ。科学的な根拠はないと雑誌で読んだ事があるわ」
 さやか「えぇぇ。そうなの?」
 マ ミ「へえ。それは初耳だわ」
 まどか「ほむらちゃん、何でも知ってるんだね」
 杏 子「おいおい、驚く前によぉ。ゴクゴク。どんな雑誌を読んでるのか突っ込めよ」
 さやか「するとマミさんの胸が大きいのは天然って事ですか?」
 まどか「さ、さやかちゃん……。ストレートに聞くんだね」
 マ ミ「あらあら、返事に困る質問ねえ。なんて答えればいいのかしら」
 杏 子「きっと、マミの前世は牛だったんじゃねえか」
 ほむら「それもホルスタイン」
 マ ミ「あ、あなたたち……。わたしだって好きで胸が大きいわけじゃないのよッ」

 午後十一時。
 楽しい団欒の時も終わり、五人はクーラーの効いた寝室で眠りについた。
 その寝顔は幼さの抜けきらない女子中学生の顔であり、魔女と戦う魔法少女の顔ではない。
 ほむら「すぅ。すぅ」
 まどか「くふぅ。くふぅ」
 さやか「ん~。ん~」
 杏 子「んぐぅ~。んぐぅ~」
 マ ミ「くぅぅぅ。くぅぅぅ」
 夜の帳に支配された闇の中、少女たちの寝息が即興のアンサブルを奏でる。
 意を決して魔法少女の契約を交わし、守られる立場から戦場へ立つ覚悟を決めた鹿目まどか
 幾つもの地獄を見ながら、運命を書き換えるべく数々の時間軸を体験してきた暁美ほむら
 失恋の痛手を乗り越え、自分の体が傷つく事も顧みずに正義の剣を振るう美樹さやか
 裏切られる辛さと孤独の悲しさを知るが故、仲間を思う熱い心を持つ佐倉杏子。
 一人孤独に魔女と戦い続け、自分に続く後輩を優しく指導する巴マミ。
 この世界に魔女が存在する限り、常に死と隣り合わせの戦いへ身を投じなければならない。
 そんな宿命を負いながらも、彼女たちは今を必死に生き、青春を謳歌している。
 楽しい明日がくる事を夢見ながら眠る五人をあやすかのように、八月の夜はゆっくりと時を刻んでいく……。


The End



【あとがき】
 五人全員が生存するif世界における、魔法少女たちが過ごす夏休みの断片を妄想のままに綴ってみました。
 当初は昼間のバカンスだけを描く予定でしたが、どうも話が思い浮かばず、魔女戦や入浴シーンで話を膨らませてしまいましたが、その結果として全体的に書き込み不足(海水浴やビーチでのバカンス、別荘での団欒)の物語になってしまったのは反省すべき点です。
 苦しまぎれのマイ設定も多く、原作のもつ悲壮感が漂う二次創作を好まれる方には抵抗のある内容かも知れませんが御容赦下さい(個人的には「全員生存+仲良し+魔法少女」をif世界の基本設定としており、この世界観で物語を作っています)。
 マミさんが恐怖を克服する為に紅茶を飲むようになった設定については、コドウ氏の二次創作短編漫画「理由」(発行=シャングリラ『ハニー・トラップ』所収)よりアイディアを拝借しました。作者のコドウ氏に記して感謝致します。
 完成度については閲覧者各位の評価に委ねますが、今後も「魔法少女まどか☆マギカ」の二次創作小説をアップしていきますので、こうしたif世界の物語に興味があれば目を通して頂きたく思います。
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