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2017-06

十字架に架けられた美女(モーリス・ルブラン「三十棺桶島」より)

 モーリス・ルブランの小説に登場する紳士強盗アルセーヌ・ルパンは、1905年に「L'Arrestation d'Arsène Lupin」(邦題「ルパンの逮捕」等)でデビューし、1939年まで数多くの長短編で活躍しました。
 このルパン冒険譚の一編に「L'Île aux trente cercueils」と題する長編があります。
 日本では「三十棺桶島」のタイトルで知られており、今でも複数の出版社から翻訳書籍が刊行されていますが、本作の中には磔ファンの方が喜ばれそうな記述が見られます。
 原文とは異なるニュアンスの表記になっているかも知れませんし、訳者によって訳文が違うかも知れませんが、ルパン冒険譚を読む為の入門書に適した偕成社の全集には、以下のような記述があります。


 この絵こそ、十字架にかけられた四人の女性を描いたものだった。
 【中略】
 両手と両足に、釘は打ちつけられていなかったが、肩から両足のもものあたりまで、ロープが女のからだにしっかりと巻きついていた。女は、ブルターニュふうの衣装のかわりに、死骸をつつむ経帷子のようなものを身につけていた。その死装束は、地上にとどかんばかりに垂れさがり、はりつけの苦痛のためにやせ細ってみえる女のからだをつつんでいた。
 女の顔の表情は、悲痛なものだった。苦痛を観念した表情、哀愁の魅力をたたえた表情だ。それこそまさに、ベロニックの顔だった。とりわけ二十歳のころの顔、彼女が暗い日々のなかで鏡に見たことを思い出す、自分の顔だった。希望の光のない目と、流れおちる涙を鏡でじっと見つめていたころの顔だった。

≪偕成社『アルセーヌ=ルパン全集11 三十棺桶島』P25~26≫


 この文章は、本作のヒロインであるベロニック・デルジュモン(魅力にあふれた美女)が見た、紅殻チョークの絵に描かれた光景の描写です。
 若き日の自分自身が処刑される様子を描いた絵を見て驚くベロニック。
 悲痛な表情で十字架に架けられる、うら若き美女の苦悶する姿は見られませんが、残酷な中にも色気を感じさせる上記の一文にエロティックな妄想を掻き立てられる方は多いかと思います。
 小学館から刊行された『カラー名作世界の文学 フランス編3』に収録された「棺桶島」のイラストに描かれた、柳柊二画伯のベロニックは非常に美しかったので、叶わぬ事ではありますが、柳画伯の絵によるベロニックの磔刑絵を見たかったです。

 なお、実際に十字架で処刑されるのは三人の老姉妹なので、この三人が磔刑に処された場面の文章を引用する事は控えます。


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