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2017-10

ウルトラ姉妹を超えて行け!  序章 ~First Contact~(後編)

空想巨大ヒロインシリーズ  ウルトラ戦姫】
「ウルトラ姉妹を超えて行け!  序章 ~First Contact~(後編)」

原  案:らすP
原  作:a-ru(「ウルトラ姉妹を超えて行け!」より)
文  章:新 京史朗


 それぞれの思惑が交差しながらもクイーンとタイラントの戦いは続く。
 ギシャアァァァ。
 奇声をあげたタイラントはクイーンの予想通り、右手の鎖ガマを発射させてきた。
 「思った通りじゃ」
 バシッ。
 左手でカマを捌き、長く伸びた鎖を自ら左腕に巻き付けた。
 (イマだ!)
 「お主に恨みはないが、残留思念が実態化した怪物を宇宙に放つわけには行かぬのでな。ワシが供養してやるから今度は安心して成仏するがよい」
 憐憫の情に満ちた視線を眼下のタイラントに送りながら呟いた時。
 バリバリバリバリバリ。
 「ぐはぁぁぁ」
 高電圧の電流がクイーンの全身を背後から襲い、同時に彼女の悲鳴が荒涼とした大地に響き渡る。
 さすがのクイーンも予想外の攻撃には対処できず、左腕に鎖ガマの鎖を絡ませたまま大地に落下した。
 ドサッ。
 「うッ……。くうぅ」
 毒ガスによって体力を奪われているせいか満足に立ち上がろうとする事さえできない。
 「どうだ、ジメンにハいつくばるキブンは」
 「ア、アルファキラー。そうか、主らの事を失念しておったわ。ワシとした事が何たる失態」
 「ヒッポリトのドクガスがキきハジめてきたのだろう。オレたちのソンザイをカンゼンにワスれていたのはチメイテキなシッパイだったな」
 「……」
 返す言葉もないクイーン。辛うじて立ち上がったが体が重く、立っているのも精一杯な状態だ。
 (久しぶりの変身で体に大きな負担をかけたうえ、今の電撃ショック。おまけに毒ガスとは……。どうやら、覚悟しなければならぬのはワシの方かも知れんな)
 目の前の意外な成り行きに茫然としていたタイラントだったが、やがて自分を痛めつけていた相手が倒れているのに気付き、「ギャゥオオオン」と一声鳴いてクイーンの方に向かって進みだした。
 タイラントにはエレドータスの霊魂も含まれており、鎖を介して伝わって来た電気を食べていたのだ。これを見越し、アルファキラーはタイラントが間接的な二次感電するにも関わらず電流攻撃を仕掛けたのである。
 「バンジキュウスだな」
 「お主に言われるまでもないわ」
 「へらずグチをきくゲンキがあるのか。タイラントよ、もっとイタめつけてやるがいい」
 ギャオオオ~。
 アルファキラーの言葉を理解したのか、タイラントは今までにない大きな鳴き声で返事をし、苦しげに肩で息をするクイーンに襲いかかった。

 タイラントの逆襲一発目は左腕のハンマーによる腹部強打であった。
 ドボッ。
 「うぐッ……。ゲホッ」
 ものすごい衝撃と痛みを腹部に感じたクイーンは片膝を落し、苦しげなうめき声をあげた。
 攻守が逆転した事を理解したタイラントは、これまでの恨みをはらそうと容赦ない攻撃でクイーンを痛めつける。
 「あぐッ」……「うくぅ」……「ぐはッ」……
 攻撃が加わるたび、クイーンの苦痛に満ちた声が痛々しく響く。
 (だ、駄目じゃ。どんどん体の自由がきかなくなってくる……。毒ガスが本格的に体内を蝕みだしたようじゃ)
 ギシャアァァァ。
 タイラントは「これでトドメだ」と言わんばかりの鳴き声を発し、片膝をついた状態で満足に防御できないクイーンの鳩尾を蹴り上げた。
 ボゴッ。
 「くはぁぁぁ」
 さすがのクイーンも弱った体の鳩尾を蹴られてはひとたまりもない。下腹部を押さえながら、その場に蹲(うずくま)ってしまった。
 「ハア……ハア……ハア……」
 お尻を持ち上げた卑猥な恰好で喘ぐクイーン。
 色っぽい背中、括れた腰、丸く形のよい臀部、引き締まった股間を脂汗が濡らし、遥か彼方の稜線から顔を見せる太陽の光が女神の全身を淫らに輝かせ、汗を真珠のように光らせる。
 三人の宇宙人は淫靡な笑みを浮かべながら、かつて敗北させられた相手のはしたない姿を見ていた。
 「銀河の女帝の権威も地に堕ちたものだ」
 「我ら頭脳派トリオにかかっては、ウルトラクイーンでさえ敵ではないと言う事だ」
 「まだだ。もっともっとクルしむカオをミなければキがスまん。タイラント、もっとウルトラクイーンにクツウをアタえてやるのだ」
 ギヤァァァス。
 アルファキラーの命令に反応したタイラントはクイーンに背を向けると、側面に棘の植わった太い尾を華奢なクイーンの体に巻き付けた。
 「し、しまっ……ぐはぁぁ」
 平たく横に長い尾の内側がクイーンの胴体を包み込んだかと思うと、次の瞬間、悲痛な叫びがクイーンの口から洩れた。
 ギシッ。ギシッ。ギシッ。
 タイラントの尾がクイーンの胴体を締めつけつけているのだ。持てる全ての力を振り絞って絞め付ける尾を解こうと抵抗を試みたクイーンだが、毒ガスで弱りきった体が思うよう動かず力が出ない。これでは脱出不可能である。
 ミシッ。ミシッ。ミシッ。
 さらに締めつけは激しくなり、圧迫されるクイーンの骨が軋み出した。
 「あぐッ。こ、このままでは体中の骨が砕かれてしまう……。くぅぅ。な、何とか脱出せねば……」
 (とは言ったものの、今の状態では指一本すら動かせぬ。どうやら……ここで……果てる事になりそうじゃ)

 「タイラントめ、お主の言葉が分かるのか」
 全身を圧迫され地獄の苦しみを味わうクイーンを見ながら、ヒッポリト星人がアルファキラーに尋ねた。
 「そのようだな。だがフシギだ。このタンジカンでゲンゴをリカイできるようになるとは」
 「ヒッポリトの散布した毒ガスの影響で知性が発達したのかも知れんな。モグネズンの毒性分解能力があるとは言え、他の怪獣と霊魂を合体させた事で解毒効果が満足に機能しなかった可能性は否定できん。この機能が中途半端に働いたせいで何らかの化学変化が体内で起こり、知性が身についているのではないか」
 「さあて。そのような実験データーは得られなかったが」
 「我々のように免疫物質で体の内外から毒性をシャットアウトしていれば話は別だが、基本体となるベムスターやシーゴラスの体にモグネズンの毒性分解機能が働かず、体内に浸透した毒ガスの成分が未知の化学物質となってタイラントの前頭葉に刺激を与えたのかも知れん。これが一時的な作用か永続か、その辺は何とも言えぬが……」
 「まあ、コマかいコトをカンガえるのはよそう。それより、そろそろクイーンがチカラツきようとしているのだ。これまでのウラみ、イマこそハらすトキだ」
 「残念だが、アルファキラー。我々が手を下すまでもないだぞ」
 「うむ。もはやクイーンは完全に死に体(しにたい)。我らが引導を渡すには及ぶまい」
 「……」
 「クイーンへの恨みをタイラントが晴らしたと思い、我らは高見の見物と決めこもう」
 「自らの手でクイーンを痛めつけてやりたいと思っているのは、お前だけではない。私たちだって同じ気持ちだ。だが、こうして女王の敗北を見物するのも悪くはなかろう」
 「うむ……」
 ヒッポリト星人とテンペラー星人の言葉に頷いたものの、復讐に燃えるアルファキラーの心中は複雑だった(この時の憎悪が後にウルトラ姉妹へ向けるられる事になるが、それはまた別の話である)。

 怒り狂ったタイラントの猛攻は休む事を知らない。
 骨も砕けよと渾身の力を尾に込めて、巻き付けたクイーンの体を締めつける。
 ビキッ。ビキッ。ビキッ。
 「うぐッ……」
 ボキ。ボキ。ボキ。
 「くはああぁぁぁぁ」
 鈍い音と共にクイーンの肋骨が折れた。強靭な筋肉によって数本の骨折で済んだが、普通のウルトラ戦姫であれば全身の骨を砕かれていた事だろう。
 阿鼻叫喚の惨い光景にも関わらず、テンペラー星人たちは恨み骨髄の相手が苦しむ姿をスポーツでも観戦するように見ている。
 「今ので何本か折れたな」
 「ああ」
 「スコしずつホネをオられるのはジゴクのクルしみだろう。これでタショウのリュウインはサがったとイうものだ」
 こんな会話が交わされる間にも、タイラントは容赦なくクイーンを攻め続ける。
 ボキ。ボキ。ボキ。
 「ぐはぁぁぁ」
 (ま、まずい。このままでは……肋骨ばかりか……せ、背骨まで砕かれてしまう。じゃが、今のワシにはどうする事もできん……。うぐッ)
 クイーンが敗北を覚悟した時、突然、タイラントは尾を緩めてクイーンの体を解放した。
 ドサッ。
 「あうッ」
 ようやく骨折地獄から解放されたクイーンだが、その肉体には痛々しい痣の痕跡が認められる。うつ伏せに倒れたまま、彼女はピクリとも動かない。いや、骨折と痺れで動きたくても動けないのだ。
 やっとの事で呼吸をし、弱々しく上下に動くクイーンの背中。そこへタイラントの大きな足が容赦なく迫る。
 (もはや……これまで……か。む、無念じゃ)
 タイラントは全体重を掛けてクイーンの背中を踏みつけた。
 グシャ。
 メキッ。
 「くああぁぁぁぁ」
 どうやら背骨にヒビが入ったらしく、クイーンは血を吐く様な悲鳴をあげて力尽きた。
 「どうやら、これでトドメのようだな」
 「もう終わりか。少し呆気ないように思えるが、まあ良いだろう」
 「あのオンナにカワり、オレたちはチキュウをマモるウルトラセンキをゾンブンにいやぶってやるか。エモノはイきがヨいホド、いたぶりガイがあるからなぁ」
 「お前も好きだな。女をいたぶるのが」
 「ウルトラセンキはスベてテキだ。ハツラツとしたニクタイをキズつけ、ウチュウのヘイワをマモるというセイギヅラをクツウにユガませ、ゾンブンにハズカシめる。フネンショウギミなウルトラクイーンへのウラみにカワり、これからのターゲットウルトラセンキたちだ」

 三人の宇宙人とタイラントが慰霊惑星クレイヴヤードから姿を消してから数時間後。
 短かった日照時間が終わり、再び星は夜の闇に包まれていた。
 (うぐッ……。ど、どうやら毒ガスの効き目が薄れてきたようじゃな。あんな小細工に引っ掛かるとは、前戦での活動から退いたブランクは如何ともし難いのう)
 どうにか両腕が動かせるまでに体力が回復したクイーンは全身の痛み耐えながら、宇宙警備隊長のウルトラレディ・シルフィーに宛てた【ウルトラサイン】を送った。

 慰霊惑星クレイヴヤードにて異常事態発生。怪獣たちの残留思念が実態化したタイラントなる怪獣が現れた。
 この一件にはアルファキラーたちが絡んでいる。次に狙われるのは地球を守るウルトラ戦姫たちとも思われる。
 クレイヴヤードから地球までの全宙域に万全な警戒態勢を敷き、地球のシャインたちにも連絡を入れよ。
 ヒッポリト星人、テンペラー星人、アルファキラーも一緒に行動している。警戒怠るべからず。


 持てる力を使いきったクイーンは再び意識を失った。

 数十分後。
 このサインを受信したシルフィーは亜空間飛行でクレイヴヤードへ向かい、そこに満身創痍のウルトラクイーンを発見した。
 傷ついたクイーンの姿に驚きながらも、シルフィーは宇宙銀十時病院へクイーンを搬送。ウルトラレディ・マリア=ウルトラマザーに助けを求めた。
 万全の治療によって幸いにも一命は取り留めたが、それでも意識不明のまま昏睡状態が続く危険な状態だと言う。
 改めて事の重大さを理解したシルフィーは地球で生活するシャインたちへクイーンからのメッセージを伝えた後、ただちに宇宙警備隊の精鋭メンバーを引き連れ、タイラント討伐に出掛けた。
 悲劇と血と暴力に彩られた血みどろの戦いの幕開けであった。

 シルフィーたちが宇宙警備隊本部を出発した頃、タイラントは単身地球に向かっていた。
 毒ガスの影響によって目覚めた知能水準は再び下がり始めたが、それでも破壊本能だけは衰えていない。
 ウルトラクイーンを徹底的に痛めつけた時に荒ぶりはじめたベムスターやレッドキングの魂が破壊を求めて止まないのだ。
 僅かに残った知性がアルファキラーの発した「地球」という単語を覚えているのか、無意識のうちにタイラントは地球を目指しているらしい。
 道すがら、タイラントは獰猛な目つきで獲物を探しつつ、暗黒の宇宙空間を我がもの顔で飛び回っていた。

 テンペラー星人、ヒッポリト星人、アルファキラーだが、誰がタイラントを手下にするかで口論となり、最終的には喧嘩別れしてしまった。
 事実は、興奮しながら大声で罵り合うさ3人にイライラしたタイラントが自慢の尾でテンペラー星人たちに不意打ちを仕掛けてKOしたのだが……。
 3人が意識を取り戻した時、すでにタイラントの姿はなかった。


~「ウルトラ姉妹を超えて行け!」第1話へ続く~


【あとがき】
 前後編となってしまった「ウルトラ姉妹を超えて行け!」の二次創作SSを最後まで読んで下さった皆様へ、まずは御礼申し上げます。
 今回もツッコミ所の多い内容かも知れませんが、原作に敬意を払い誠心誠意を込めて書きました。筆の足りない箇所については自分の力不足を詫びるしかありません。
 特にa-ru氏の原作と矛盾する部分が出てしまった事については、二次創作許可を頂きながら申し訳なく思います。
 細かい点まで理屈づけをした為、苦しい設定(毒ガス免疫の件やウルトラクイーンが弱くなる理由)が次々と増えてしまい、この辺の処理が自分でも下手だと思いました。簡潔な文章で物語を展開する書き方については、良質なSSを読んで文章技術を学ばせて頂こうと思います。なお、理数系は昔から大の苦手で、本文中にある「前頭葉と知性の関係」は不正確な知識に拠るものである事を白状しておきます。
 前編を書いていた時は「タイラント&アルファキラーがウルトラクイーンを苦しめる」予定でしたが、思う所あり、結局はタイラントの一人舞台に変更しました。細部まで物語を考えずに大まかな概要が出来た時点で見切り発車し、細部は本文を書きながら適宜補足していく欠点が露呈した結果とも言えますが……。
 肉弾戦をメインとする筈が骨折ネタに始終してしまったのも反省点です。言うまでもありませんが、徹底的な骨折ネタは「ドラゴンボール」(孫悟空VSベジータ戦)を意識しました。
 いろいろ至らない点はありますが、念願だったウルトラクイーンのヒロピン場面を書く事ができて楽しかったです。
 なお、この作品はa-ru氏による二次創作SS「ウルトラ姉妹を超えて行け!」の前日譚をイメージしたものであり、原作者の許可を得て「アナザーストーリー」として書かせて頂きました。
 ウルトラ戦姫とタイラントの壮絶な戦いは、こちらへアクセスして下さい(閲覧にはサイトへの登録が必要です)。


【謝辞】
 らすP氏とa-ru氏の御二人より二次創作許可を頂きました。記して感謝致します。



【追記】
 ある方より、「「ウルトラ姉妹を超えて行け!」はゴルゴタ編(=アルファキラー編)の後の時系列なので、アルファキラーがウルトラ戦姫に恨みを抱く理由は矛盾している」との御指摘を頂きました。指摘を受けたのは「ウルトラクイーンに恨みを晴らせなかったアルファキラーが、怒りの矛先を地球のウルトラ姉妹へ向ける」という箇所です。a-ru氏へも問い合わせ、この設定では時系列的に齟齬が出る事を確認しました。原作の設定を無視する致命的なミスを犯してしまった事、二次創作を快く許可して下さいましたa-ru氏と本編を読んで下さった皆様に深くお詫び申し上げます。(2011年4月19日・記)
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