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2017-08

触手に責められる女忍、翼をもがれた鳥人美女

 15年以上のキャリアを持つ漫画家の伊藤勢氏は作品数こそ少ない寡作家ですが、原作付き作品を含めた長編漫画はどれもが代表作に値する高水準の良作揃いとなっており、応援している数少ない現役漫画家の一人です。
 藤原カムイ氏のアシスタントをしていた時期があるらしく、細部まで徹底的に描き込む緻密なタッチはアシスタント時代の経験に会得したテクニックなのかも知れません。

 戦国時代末期の日本を舞台にした伝奇活劇漫画「斬魔剣伝」は1990年代中期に『月刊少年キャプテン』へ連載された伊藤氏の初期作品です。
 舞台を南方にまで広げた壮大なスケールの物語となる筈でしたが、諸事情により「第一部・扶桑風雲編」が完結した時点で中断。未だに第二部は発表されていません。
 コミックス全3巻が絶版となった後、根強いファンの要望を受けて2002年に『斬魔剣伝 完全版』が上下巻の2巻本として刊行されましたが、こちらも今では絶版になっています。

『斬魔剣伝』第3巻 扉絵
(C)伊藤勢/徳間書店

 日本編のクライマックスに相応しい怒涛の展開が見られるコミックス第3巻(完全版では下巻)には、茶吉尼(だきに)とガルーダ、美しい二人の女性が怪物との戦いでダメージを負い、猛攻撃によって苦しめられるシーンが見られます。
 多少の残虐要素(正統ヒロインのガルーダが翼をもぎとられるシーン)が含まれているものの、伊藤氏の巧みな筆使いによってグロテスクな描写は弱まっており、その代わりに責め絵的な官能美を演出しています。
 茶吉尼のリョナ場面は地下道での赤斑(パンチャジャーニ)戦、ガルーダのリョナ場面は大阪城でのヒディムバ戦で描かれました。

茶吉尼(右は精霊召喚術者になった時の姿) ガルーダ
(C)伊藤勢/徳間書店

 豪雨の夜、水嵩を増した地下道に侵入した赤斑を見つけたガルーダ。
 因縁ある二人の戦いが始まろうとする所へ茶吉尼の率いる徳川忍者隊が現れ、地下水道での戦いは三つ巴の様相を呈します。

蟹のような下半身をした妖艶の美女・赤斑(パンチャジャーニ)
(C)伊藤勢/徳間書店

 徳川忍者は異形な美女に躊躇なく斬りかかりますが、次々と返り討ちにあってしまいます。
 この隙に赤斑の襲来を地上の仲間に伝えようと戦線離脱を試みるガルーダも触手に捕えられ、戦況は赤斑の優勢となりました。
 圧倒的強さで忍者隊を殲滅させた赤斑に対し、茶吉尼は飯綱(イズナ)使いの術者となって赤斑に対抗。
 召喚術と素早い動きで赤斑を翻弄し無防備な背後に廻り込みますが、奥の手である「雷」によって大ダメージを負わされます。

触手に巻きつかれ、壁へ叩きつけられる人間体のガルーダ 追い詰められた赤斑は半日に一度しか使えない「雷」で茶吉尼に大ダメージを与えた
(C)伊藤勢/徳間書店

 思わぬ逆襲にあって術者状態が解けた茶吉尼は苦心して水中から土の上に這い上がりました。
 戦闘中にガルーダの逃亡を許してしまった赤斑は怒りの矛先を茶吉尼に向け、満身創痍となった彼女を触手で絞めあげます。
 勝ち誇った赤斑は「腹わたをひきずり出して喰らってやるよ……」と残虐な笑みを浮かべながら、苦痛の呻きを漏らす茶吉尼の口から触手を突っ込み苦しめます。
 手足の自由を封じられた茶吉尼は体内へ侵入する触手をどうする事もできず、恐怖と痛みに苦悶するしかありません。

口から触手を突っ込まれ、臓腑を引きずり出されそうになって苦悶する茶吉尼
(C)伊藤勢/徳間書店

 身動きできない茶吉尼が死を覚悟した時、敵大将・羅喉羅(ラーフラ)から赤斑へ「その女は生かしておけ トクガワ方に目撃者を残した方が面白かろう」と言う伝令があり、命令に従って拷問は中止されました。
 辛うじて一命を取り留め解放された茶吉尼ですが、赤斑が立ち去った直後、その体力は限界に達したのか遂に力尽きてしまいます。

 物語終盤、羅喉羅の部下2匹(アンダカ、ヒディムバ)が合戦場に現れ、羅睺丸(ラゴーマル)の命を狙います。
 地上から攻めるアンダカに意識が集中する羅睺丸を空から襲うとするヒディムバ。
 ところが奇襲を仕掛けようとするヒディムバの前にガルーダが立ちふさがり、羅睺丸を守ろうと戦いを挑みました。
 戦闘力の差が大きい相手に善戦するガルーダですが、雲の間に隠れていたヒディムバの奇襲によって大阪城内へ吹っ飛ばされ、鳥人の命でもある翼を食いちぎられてしまいます。
 死に体となり戦意を喪失したガルーダはヒディムバの残忍で淫靡な言葉に恐怖し、涙を流しながら怯えます。

ガルーダの翼を食いちぎるヒディムバ 残忍淫靡な言葉に恐怖するガルーダ
(C)伊藤勢/徳間書店

 この直後、宮本武蔵と共に大阪城へやって来た羅睺丸が現れてガルーダは救われます。
 どちらかと言えばグロテスク要素の強いリョナ描写でしたが、残虐な怪物達の恐ろしさを余すところなく描いた場面とも言えるでしょう。

 本作はストーリー漫画として読んでも十分に面白い作品なので、リサイクル古書店でコミックスや完全版単行本を見かけた際は迷わず購入される事をお薦めします。



【付記】
 突然ですが、4月から再びブログの更新を一時的に停止する事となりました。4月下旬の復帰を予定しているのですが、未曽有の大災害による影響もあって詳しい日程は未定です。停止期間中も余裕があれば更新を行おうと思いますので、今後もどうぞよろしく御支援願います。
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コメント

作家さん何をしてるんですか?

新京史朗さん今晩はこのコミックス知らなったんですよ
おやすみなさい

現在の伊藤勢氏

 伊藤勢氏は現在も漫画家として活躍されています。
 詳しい活動は把握しておりませんが、近年は夢枕獏氏の小説をコミック化しているようです。
 調べてみたところ、去年までは「闇狩り師 キマイラ天龍変」を連載しており、今夏からは雑誌休刊で中絶となっていた「荒野に獣慟哭す」が再開されるとの事でした。

 紹介作品「斬魔剣伝」は未完の大作ですが、第Ⅰ部だけでも十分に面白い作品です。
 残念ながら単行本も完全版コミックスも絶版ですが、古書として入手する機会があれば即買いする事をお薦め致します。

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