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2017-10

無線電信への萌え出でた恋(海野十三「壊れたバリコン」より)

 特定文化において社会的地位(?)を得た「萌え」という単語。本来は「草木の芽が出る」という意味ですが、対象キャラクターへの好意や興奮感情を表現するスラングとしても用いられています。
 後者の語源や発生については、隠語的意味合いを含む使用方法の為か諸説あり、一般的には1980年代後半から1990年代初頭にかけて成立したとされていますがハッキリとした成り立ちは分かっていません。
 二次元キャラクターへの愛情を示すスラングとして発生した「萌え」は奥の深い言葉なので、アニメ文化に興味のある方は「萌え」の歴史について研究してみてはいかがでしょう。
 たかがアニメ、されどアニメ。アプローチの仕方によっては立派な文化研究になると思います。

 上記のようなスラングとしての「萌え」の使用ですが、探偵小説の世界にも見る事ができます。
 管見に入った限りでは、海野十三氏が『無線と実験』昭和3年5月号へ発表した「壊れたバリコン」での使用が最も古い登場でした(この作品を探偵小説に分類するのは拡大解釈のし過ぎかも知れませんが、暗号解読の要素を含む軍事間諜小説と言えなくもない為、探偵小説とさせて下さい……)。
 本作は栗戸利休名義で発表され、昭和12年に海野名義で刊行された単行本へ収録されました。

 その使われ方ですが、本文中にて以下のように書かれています。


 僕は少年時代からラジオの研究に精進していたラジオファンとして、あの茫漠たるエーテル波の漂う空間に、尽くることなき憧憬を持っているのでした。それは僕が始めて簡単な鉱石受信機を作って銚子の無線電信を受けた其の夜から、不思議に心を躍らせるようになった言わば一種の「萌え出でた恋」だったのです。僕は毎晩のように鉱石の上を針でさぐりながら、銚子局の出す報時信号(タイム・シグナル)のリズムに聴き惚れたものです。
≪三一書房『海野十三全集 第1巻 遺言状放送』P53≫


 無線電信に心を躍らせ「萌え出でた恋」を覚える男性。この当時としてはユニークな感情表現だった事と思います。
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