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2017-10

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~最終話~

【前回まで】
 遂に姿を現した面魔軍団リーダーのシャドーX。奉納試合に使われる巨大リングの上でシャドーXと対峙したクイーン火美子は満身創痍の体に鞭打って戦いを挑むが、殺人技のフルコースで絶体絶命の危機に陥る。敗北を覚悟した時、聖闘神(アバンメーラ)から授かった【St.アバンメーラの紋章】が輝きを放ち、勇者の碑を明るく照らし始めた。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



「ぐあぁぁ。ま、まぶしい」
 まばゆい輝きを放つ【St.アバンメーラの紋章】。その光は太陽のように明るい。
 全身に光を浴びたシャドーXは悶絶しながらリングの上を転げ回り、逆に火美子は疲労が回復して体中には力がみなぎってくる。
「これは……聖闘神(アバンメーラ)の御加護か」
 この不思議な現象が数分は治まり、碑の内部は再び薄暗い陰気な世界に戻った。
「今までのダメージが回復している」
 聖闘神の奇跡で完全復活した火美子。一方、シャドーXはリングの片隅で片膝を立てながら苦しげに呻いている。
「ぐぅぅぅぅ。や、闇の衣が……。あの光のせいか」
 暗くて姿がハッキリ見えないが、辛うじて見えるシルエットは先程までの姿と異なっている。
「どうやら、本当の姿を現したようじゃの。さあ、決着をつけようぞ」
「ぐむむむ。こ、この土壇場で正体を見せる事になるとは」
「ゴチャゴチャと何を言っておる」
「まあいい。窮屈な闇の衣にはウンザリしていたところだ。生身で鍛錬の結果を試すチャンスでもあるしな」
 自信満々の声と共にシャドーXがリング中央に姿を現したが、その容姿は全く別人だった。
 悪魔のように凶悪な面構え。大きく見開いた第三の目。吸血鬼のように延びた牙。
 全身タイツ姿だったシャドーXとは似ても似つかない。
「お、お主は、面魔ラザーニ」
「久しぶりだな、シナチクQUEEN。いや、クイーン火美子と呼ぶべきか」
「まさか面魔軍団の首領が前座レスラーの面魔ラザーニとは思わなんだ」
「くっくっく。俺が前座レスラーだったのは遠い過去の話。貴様が現役だった頃の事だろう」
「フッ。基礎体力トレーニングすら耐えられず、ヒィヒィ言っていた軟弱者が20年以上もレスラーを続けていた事に驚いておるのじゃ」
「噛ませ犬だったのは遠い昔の話だ。今の俺は面魔軍団のボスに相応しい実力がある。貴様を血祭りに上げ、まずは【王者の剣】を頂戴する」
「世迷言を。そのように思いあがった考え、ワシが成敗してくれる」
「フン。桃太郎が鬼を退治できるとは限らないぜ。逆に俺が貴様を成敗してくれる」
 正体を現した面魔ラザーニと火美子はリング中央でガッシリと組み合い、そのまま力比べとなった。
「グムゥゥ」
「うぬッ」
 互いに一歩も引かない力比べだが、そこは戦いの年季。
 このままでは無駄に体力を消耗すると考えた火美子は体を反らし、相手の押す力を利用して面魔ラザーニの体を巴投げで投げ飛ばした。
「うおぉぉ」
 投げ飛ばされた面魔ラザーニの体はロープの反動でリング中央へ戻され、その顔面に火美子はシャイニングウィザードをくらわせた。
 ゴキッ。
「ぐおぉぉ」
「これで終わりと思うでないぞ」
 うずくまる面魔ラザーニの頭部を腋に抱え込むと、真っ逆さまに持ち上げて後ろに倒れ込んだ。火美子のブレーンバスターが綺麗にきまる。
 バゴン。
 「ギャァァァ」
 マットに背中を強打した面魔ラザーニは悲鳴をあげた。
 チャンスがあれば一気呵成に攻めるべし。皮肉にも面魔ラザーニは自分の兵法によって劣勢へ追い込まれたのだ。
 火美子の攻撃は休む事を知らず、現役時代を彷彿とさせる豪快な大技を次々と面魔ラザーニにきめていく。
 スプラッシュマウンテンエースクラッシャーコークスクリューネックブリーカー
 大技を三連発でくらった面魔ラザーニは半死半生の状態でリングの上に倒れた。
「これで終わりじゃ。ワシが貴様の野望に引導を渡してやろう」
 火美子は面魔ラザーニの背後に回り込むと両脇の下に自分の両腕を通し、首の後ろでガッシリと両手を組んだ。両肩と首をロックしたまま後方にブリッジして反り投げ、面魔ラザーニを後頭部からマットに叩きつける。
 ドスン。
「グギャァァ」
 ドラゴンスープレックスが見事に炸裂。断末魔にも似た悲鳴をあげる面魔ラザーニに構わず、火美子は体を起こし、再び面魔ラザーニの後頭部をマットに叩きつける。
 ドスン。
「グオォォォ」
(くそぉ。お、俺の実力ではクイーン火美子に勝てないと言うのか。悔しいが邪神イットスムラガの力を借りるしかない)
 ドラゴンスープレックスの連発で反撃する力を失った面魔ラザーニは虚ろな目で天井を見つめながら呼吸を整え、小さな声で呪文らしき言葉を呟き始めた。
(こやつ、何を呟いているのじゃ。頭へのショックで気が動転したか)
 その時、面魔ラザーニの全身から黒いオーラが立ちあがったかと思うと、バネ仕掛けの人形のようにスックと体を起こした。
「な、何が起こったのじゃ」
「グフフフフ。よくもやってくれたな。今度は俺の番だ。貴様がアバンメーラの加護を受けたのならば、俺は邪心イットスムラガの力を借りたのだ」
「イットスムラガじゃと」
「貴様が知る必要はない」
 言葉が終わると同時に面魔ラザーニの姿が消えたかと思った直後、その体は瞬間移動のように火美子の目の前にあった。
「なにッ」
 ニヤリッ。
 不敵な微笑(えみ)をうかべた面魔ラザーニは目にもとまらない素早さで火美子の体を肩に抱え上げた。五所蹂躙絡み(マッスルバスター)の態勢である。
 全身の関節に大ダメージを与える技を掛けられた火美子だが、冷静沈着に、
「馬鹿め。同じ技は二度とくらわぬ。この技の弱点は首のロック。そこを……」
「そこを外せば脱出可能と言うのだろう。だがな、この技はアルティメット・マッスルバスター。進化した五所蹂躙絡み(マッスルバスター)に弱点はない」
「何じゃと」
「くらえッ! アルティメット・マッスルバスター
「うあぁぁぁ」
 ロープの反動なしで空中高く飛び上がった面魔ラザーニは自分の体を回転させながら、肩の上に乗っている火美子の頭部を大きく開かせた相手の右足と自分の頭で挟み込んだ。
「うくッ。く、首が動かない」
 勢い良く回転する遠心力と左右から挟まれる力で首のロックが外れない。
 もう少しで天井に激突するという所で面魔ラザーニは器用に体の位置を反転させる。
 ガゴン。
「ぐはッ」
 体の上下を反転させた事により、天井へ着地する形で五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまった。
「まだまだ終わりじゃないぜ」
 重力で体が落下し始めると、またも体を回転させながら強引に進行方向を横に転換させた。
(くッ。今度は壁か)
 火美子の予想通り、今度は壁へ着地する形で二発目の五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまる。
「はあぁぁん」
「これで終わりだぁ」
 残る着地点はリングの上のみ。今度は重力に身をまかせながら体を落下させる。
 着地寸前に火美子の両足を大きく開かせると、股裂きの格好で三発目の五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまった。

闇の力を得て復活した面魔ラザーニの反撃
全身の関節を徹底的に痛めつけられた火美子はマットの上に倒れ込む
(C)つるMK-3

「ぐはあぁぁぁぁ」
 ドスン。
「か……はッ」
 強烈な技を三連発でくらった火美子。技が解いた体がマットの上に倒れ込む。
 ズシャア!!
「……」
 体をピクピク痙攣させながら弱々しく呼吸する火美子。
(ワシとした事が油断したばかりに……。聖闘神の加護を得ながら、この体たらく。こ、このままでは申し訳がない)
 全身の関節にダメージを受けたせいか少しでも体を動かすと体中に激痛がはしる。意識はあっても体が思うように動かない。
「うぐぅぅ」
「まだ意識があるのか。さすが打たれ強さもピカ一だな」
「聖闘神の巫女として……【王者の剣】を渡しはせぬ」
「ふん。そんな体で何ができる。惨めたらしく這いつくばりながら死ぬがいい」
 眼下に火美子を見下しながら、面魔ラザーニは左足を高くあげた。このまま、火美子の頭を踏みつぶすつもりらしい。
「死ねぇぇぇ」
「うあぁぁぁ」
 気合と共に渾身の力を振り絞って立ちあがった火美子は、面魔ラザーニの踵落としを肩で受け止め、全身全霊を込めた崩拳を相手の腹部に叩き込んだ。
 ボグッ。
 聖闘神から与えられた神秘のエネルギーも加わり、常人の打つ崩拳の威力を遥かに凌駕する技は凄まじい威力を発揮し、面魔ラザーニの体をリングの端まで吹き飛ばした。
「ギャァァ」
 ブチ。ブチ。ブチ。
 その威力は予想以上に強くロープまで切断。絶叫を響かせながら、面魔ラザーニの姿は闇の底へ沈んで行った。


 気がつくと、火美子は大きなベッドの上に寝ていた。
「こ、ここは」
「気がつかれましたか。火美子様」
「鈴子か。ワシは一体……」
「火美子様が勇者の碑へ向かわれた後、国際プロレス本部と我無羅殿から援軍が到着したので、私と警備兵は火美子様の応援に駆けつけたのです。碑の前では侵入者らしき男と屋台ラーMENが気を失っており、内部には花嫁衣装の女が意識不明の状態で発見されました」
「もう一人、三つ目の男はいなかったか」
「三つ目の男。いいえ、そのような者は見当たりませんでした」
「そうか」
「ですが、碑の内部には大きな血溜まりができており、そこから森の中に向かって血の跡が点々と残っておりましたので、おそらくは逃げ出したのものと思われます」
(逃げたか)
「リングの上には火美子様が倒れており、いくら呼んでも反応がありませんでしたので、救急医療班の助けをかりてラーメン神殿の救護室へお運びしたのです」
「それだったのか。すまぬな」
「そんな、当然の事です」
「詳しい事は後で話す。今は眠らせてくれぬか」
「かしこまりました。ゆっくりとお体をお休め下さい」
「うむ」
 Who鈴子の姿がドアの向こうに消えると同時に火美子は深い眠りについた。
 一つの大きな戦いを終えたクイーン火美子は、ひとときの安らぎを求めて静かに体を休める。
「クゥー。クゥー」
 数年後、今度は【神のベルト】を賭けて面魔軍団やビーナトロンと激しい戦いを繰り広げる事になるが、未来の因縁を今の火美子が知る筈もなかった。



【あとがき】
 総勢6名の絵師から御協力を頂いた特別企画も無事に終了しました。7日間に亙る連続企画は始めての試みでしたが、どうにか乗り切る事ができてホッとしています。
 今回の企画は非常にマイナーなキャラクターを扱った内容でしたので、ボランティアに近い形で新作を御提供して下さった皆様のおかげで成功したと言っても過言ではありません。
 細かい注文に応じ、当ブログの趣旨に沿った内容でクイーン火美子のイラストを描いて下さったカエル氏,00氏,つるMK-3氏,number10氏,バラピ氏,RAW氏には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 また、御都合主義と後付け設定満載のSSに最後まで目を通して下さった訪問者にも感謝致します。



【付記】
 本文中、幾つか他の作品から名称を借りた単語がありますが、それぞれの元ネタは下記の通りです。

 ・王者の剣:正義の剣(アニメ「キン肉マン 正義の剣篇」より)
 ・禍眼破眼(カメハメ)52の殺人技:カメハメ48の殺人技(ゆでたまご「キン肉マン」より)
 ・一寸棒死:一寸棒死(猿渡哲也「高校鉄拳伝タフ」より)
 ・シャドーX:シャドーX(西村京太郎「十津川警部 影を追う」より)
 ・ホワイト苦陰:White Queen(アメコミ「X-MEN」より)
 ・ヒデブ:ひでぶ(武論尊/原哲夫「北斗の拳」より)
 ・花と蛇:団鬼六『花と蛇』より
 ・邪眼光(デビルライト):アブショックライト(アニメ「大空魔竜ガイキング」より)
 ・開脚スープレックス:大人のジャーマン(ゆでたまご「キン肉マンⅡ世」より)
 ・闇の衣:闇の衣(ゲーム「ドラゴンクエストⅢ ~そして伝説へ~」より)

 本作のシンボライズアイテムとして設定した【王者の剣】ですが、名称だけの存在に始終してしまいました。【正義の剣】のように不思議な力で主人公を助けるような使い方も考えていましたが、その切り札を【St.アバンメーラの紋章】で用いてしまったのが原因です……。



【イラスト執筆者一覧(五十音順・敬称略)】
カエル
00
つるMK-3
number10(WEBサイト「葉隠」)←自作イラストのオリジナルSS掲載。
バラピ
RAW(ブログ「賢者のお時間」)
 ※名前部分をクリックする事で、pixiv内の登録ページへアクセスできます(ただし、フルサイズでのイラスト閲覧や投稿イラスト一覧を見るには、サイトへの登録が必要です)。
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コメント

白目です

今晩はシナチク火美子白目です
おやすみなさい

白目ダウン

 個人的には「リョナと言えば苦悶顔」なのですが、白目ダウンも新鮮ですね。

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