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2017-10

大財閥の美しき後継者

 劇画界の大御所である小池一夫氏は漫画原作者として数々の傑作を世に送り出し、代表作である「子連れ狼」や「修羅雪姫」、「オークション・ハウス」は高い評価を得ています。
 キャラクター造形の大切さを説いた「キャラクター原論」を提唱し、自らの信条を自作内で存分に証明しました。小池作品に固定ファンが多いのは、絵空事とリアリティの境界線ギリギリまで強調された個性的な肉体派キャラクターの魅力にあるのかも知れません。
 創作活動の傍ら、小池書院代表取締役社長として出版業務に関わり、「小池一夫劇画村塾」(2009年に株式会社MANGARAKとして独立)を開いて後進の育成にも力を入れています。

 政財界さえ動かす程の莫大な財力を誇る根津財閥の後継者・根津雪妃と凄腕のボディーガード・山本鉄樹(=根津鉄樹)の二人を主役に、テロリストや暗殺団との国際規模で展開される戦いを描いたアクション劇画「デュエット」も、小池氏の原作による作品です。
 漫画を描くのは井上紀良氏。1983年から1985年まで『週刊ヤングジャンプ』へ連載され、コミックス全9巻に纏められました(後に全4巻のワイド版を小池書院から刊行)。
 ネット書評でも指摘されるように終盤の展開が急ぎ足となっている為、あっけない結末を迎えます。物語後半を大幅加筆した完全版の執筆が望まれます。

 根津財閥は敵が多く、後継者の雪妃を殺そうとする輩も多い。そんな孫娘の身を案じた家長が暗殺教団【サッグ】で殺しの技術を身につけた鉄樹(彼の出生については複雑な問題が絡むので、ここでの説明は省きます)を日本へ呼び寄せ、戸籍上の弟として雪妃と同居させます。
 始めのうちは鉄樹を嫌っていた雪妃ですが、彼の身辺警護で何度か命を救われた後、鉄樹を愛するようになりました。
 二人の愛を確認した根津家の家長が自ら命を断った事で、雪妃と鉄樹は血の呪縛から解放されます。
 自由を得た二人は日本を飛び出し、舞台が海外になったところで物語は本編に突入。互いを愛するようになった鉄樹と雪妃は、暴力と血が渦巻く過酷な戦場で自らの人生を切り開く事になります。

根津財閥の後継者・根津雪妃 血の呪縛から逃れ、月下の水辺でキッスをする鉄樹と雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 物語序盤、根津雪妃はプライドの高い令嬢キャラクターとして描かれており、祖父曰く「冷酷にして残忍……しかして淫乱!! 横暴にして貪欲 わがままで高慢虚栄心強く 克己心なし」の女性でした。
 家柄のせいか22歳にしては古風な貞操観念を持っており、祖父からの命令でヌード姿を鉄樹に見せ、暗殺術再現のモデルになるものの、処女鑑定として淫らな行為に出た鉄樹の頬を強烈なビンタで張り、簡単に体を許そうとしません。

祖父の命令で裸体となり、鉄樹を挑発するような格好をする雪妃 暗殺団【サッグ】が用いる絞殺術のモデルとなる
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院
処女鑑定を行おうとする鉄樹を叩く雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 催眠術によって戸籍上の姉へ欲情しない体とされていた鉄樹。雪妃を全力で守る為にも「心の束縛と人間としての尊厳を解放しろ」との申し出を家長が受諾した事で催眠を解かれました。
 精神的束縛から解放された鉄樹は雪妃の体を求め、力尽くで美貌の令嬢を征服します。

乳首を責められ、苦痛の悲鳴をあげる鉄樹の体を拒み、必死に抵抗する雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 この後、鉄樹と一緒に海外へ飛び出した雪妃は美しい黒髪をバッサリ切り落としてショートカットになります。
 愛を知ってからは性格も一変してしまい、物語序盤に見られた「気高く凛とした孤高の美女」というイメージは微塵も感じさせません。
 日本在住時と海外進出以降の(外見を含む)ギャップに落胆する雪妃ファンも多いようですが、私も同感です。
 小池氏自身が信条とするキャラクター論が好みと反対側に作用しており、その点では残念なキャラクターでした。

 コミックス全9巻は絶版となり、ワイド版コミックス全4巻も主な流通ルートがコンビニなので新刊として入手する事は難しいです。
 全9巻の元版は流通量が多いらしく、古書店ではセット本が1,500円程度で入手できます(ただし、古書価は取扱店によって異なるので絶対不変の価格とは言えません)。
 なお、購入を検討する前に以下のWEBサイトを参照される事をお薦めします。

 ・「ふぬけ共和国」内「つれづれなるマンガ感想文1月前半
 ・「ひとりよがり出張版」内「『デュエット』
 ・「髪切虫電脳西中島南方支店」内「情景1999年度版:No.1999-194
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