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運命の試練を乗り越えて(香山滋「怪龍島」より)

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 香山滋氏の冒険小説「怪龍島」は、昭和23年から昭和24年まで1年間にわたって『探偵少年』及び『少年世界』へ連載されました(雑誌廃刊により掲載誌が変更)。
 少年少女を読者層にした作品群の中では最初期の発表であり、同ジャンルの長編としては第一作目にあたります。
 恐龍が生き残る謎の孤島を舞台にしたスケールの大きな物語で、スリルと冒険、若干の謎解き要素が含まれた読み応えある作品に仕上がっていますが、秘境の冒険と親子愛を一つの作品内で描く事に無理があったのか、「現代に生き残る恐龍の探索」というキーワードが中盤までしか活かされず、後半になると恐龍の存在は完全に無視されてしまった点が残念でした。

 本作には、混血の少女がヒロインとして登場します。
 彼女の名前はグリ。恐龍島に住むグリアット族の血を引く美しい女の子です。
 グリは物語序盤から登場し、初登場場面で容姿が詳しく紹介されました。


 めずらしく昼食後にくだものがくばられた。めずらしいのはそのリンゴばかりではなく、果物かごを腕にかけて一箇ずつくばって歩いているのは、タガログ土人のいつものコックではなくて、ビーチ・ドレスを着た少女だった。はだは小麦色、かみはまっ黒で、眼がはとのように大きくてまつ毛の長い美しい少女だったのである。
≪国書刊行会『怪龍島』P37≫


 両親を知らずに育ったグリは数々の試練を乗り越えた末、遂に父母と感動の再会を果たしますが、そこに至るまでの道のりは苦難の連続でした。
 小男に誘拐されそうになったり、濁流に巻き込まれ命を落としかけたり、毒薬を飲まされて記憶を失ったり……過酷な運命の試練に襲われています。
 逆境にめげず全力で困難に立ち向かうグリの姿勢には、強い意志を持って逞しく生きるヒロインの魅力が感じられました。


 ジメジメして、いんきくさいジャングルの中で暮して来たグリには、その花園がまるで天国のように思われた。彼女がその中でいちばん大きくて美しい花をかみにさしてよろこんでいた時、いきなり彼女のうでをぎゅっとつかんだ者がある。
 おもわずもふり返ると、それはあのいやらしい一寸法師だった。
「何をするの、はなして。はなしてったら。」
 グリは一生けんめいにふりちぎろうとしたが、一寸法師の力は見かけによらず強かった。

【中略】
 一寸法師はグリの両うでをねじあげながら、地面にぎゅうぎゅうおしつけた。
 残念ながら、グリは、からだこそ小さいが、一寸法師の恐ろしい力には太刀打ちできなかった。とうとうなわでしばりあげられてしまったのである。
「あたしを、しばりあげて、おまえはあたしをいったいどうするつもり?」

【中略】
 にくにくしげにあざ笑いながら、一寸法師はくくられて身動きもならぬグリをせなか合せになわでしばって、はんたいがわのがけをゆっくりとのぼりはじめた。
「たすけて――、誰か来て――」

≪国書刊行会『怪龍島』P109~111≫

 うずまく濁流に押し流されながら、グリは声をふりしぼってさけびつづけた。
「マリオ!――先生!」
 だが、声は、いたずらに烈風と濁流の音にけされてしまって、二人の耳にとどくわけもなかった。
 死にものぐるいのロロも、ついそばを流されてゆく。

【中略】
 ともすれば、自分のからださえ、しずみかけようとする危険も忘れて、グリはロロを気づかってはげました。
 濁流はますます水かさを加え、速度も早まってくる。グリが、しずみかけようとするロロの方へうでをのばそうとしたとたん、後から何か大きなふくろのようなものが流れてきて、つかれきっているグリのからだにズシンとぶちあたった。
「アッ!」
 ひと声さけんで、グリは、ぶくぶくとしずみかけた。もう目がくらんで何も見えない。しずみかけながらむがむちゅうで、なんでもいいからしがみつこうと身もだえする手に、うれしや、その大きなふくろをつかまえることができた。
 グリは、やっと水面にうかびあがることができた。

≪国書刊行会『怪龍島』P219~220≫

「ありがとう――あたしは少し休ませてもらえば、すぐ元気になれそうだから――ロロを――その犬を手あてしてやってちょうだい――」
「いいとも、そのまえに、さあこの薬を一口のまなければいけない。」
 そういってさし出される薬を、すこし、にがすぎるとは思いながらも、グリは、いっきに飲んでしまった。

【中略】
「これでよし。」
 ゴソゴソと、一寸法師はベッドの下からはい出して、手をもみあわせてニタリと笑った。
「これで、グリは今までの記憶をぜんぶ失ってしまったというものだ!」

≪国書刊行会『怪龍島』P229≫


 この他、昭和28年に愛文社から刊行された単行本のカヴァーイラストにもなっている場面(小男が背後からグリを羽交い絞めにし、胸を短剣で刺そうとしている)も本文中に見られます。
 リョナとは言いがたい場面ですが、参考までに紹介します。


 さけびながら、ヒョウのように一寸法師に組みかかろうとおどりあがったしゅん間、キラリと短剣がやつの手に光った。
「あとへさがれ、死にそこないのマリオめ。」
 くるっと肩をねじって、グリを羽がいじめに後からだきしめた左手で、一寸法師は、グリの胸をおしひろげて短剣のきっ先をぴたりとあてがって、にくらしげに笑いだした。
「フッフ、どうだ! きさまが一歩でもそこから前へ出てみろ。この短剣が、ブッツリとグリのしんぞうにつきささるんだぞッ。」

≪国書刊行会『怪龍島』P242≫
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