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2017-08

未亡人の受難(江戸川乱歩『少年探偵 地獄の仮面』より)

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 ポプラ社から刊行された江戸川乱歩氏の「少年探偵」シリーズには少年少女読者向けに書かれた作品の他、成人読者向けの長短編をリライト(実際は別作家がリライト作業を担当)した作品も含まれていました。
 1990年代中頃まで増刷されていたようですが、1998年から1999年にかけて全26巻の新装版が配本された際にリライト物を収録した20冊は切り捨てられてしまい、残念ながら新刊では読む事がかないません。

 昭和初期の『報知新聞』へ半年にわたって連載された「吸血鬼」を原作とする「地獄の仮面」も、上記のリライト作品群に含まれている長編です。
 ある女性を巡って二人の男性が温泉宿で命を賭けた決闘を行う場面から物語は始まり、骸骨のような容貌をした怪人物の跋扈、次々とおこる不思議な事件を経て、遂に明智小五郎が事件解決に乗り出します。
 犯人に先を越されながらも、その推理力で事件の真相を見極め、動かぬ証拠を掴んだうえで犯人を追い詰める明智。まさに名探偵の面目躍如たる活躍でした。
 原作と比べ、やや物語展開が急ぎ足すぎる欠点がありますが、リライト作品としての完成度は一定水準に達していると思います。

 復讐をテーマにした「地獄の仮面」ですが、年少読者には刺激の強い過激なシーンが作中に見られます。
 刺激の強いと言っても、最近の少年読者にとっては「別に」と言われそうなレベルですが……。発表された時代を考慮すれば、過激という単語を使っても良いと思います。
 その過激なシーンとは、怪人物に狙われる美貌の未亡人・柳しず子(=柳畑しず子)がムチで折檻され、幼い子供と一緒に生きたまま火葬されそうになる場面です。
 年少読者の記憶に強い印象を残す程の強烈なインパクトがあるシーンと言っても過言ではないかも知れません。
 その場面の描写を、以下に紹介します。


「助けて! 助けて!」
 しず子は声をかぎりにさけんだ。怪物はかの女をくみしくと、その背中に、ピシリとむちをふりおろした。
「あっ! 助けて……」
 しず子は、息もたえだえにさけんだ。
「おまえ、茂に会いたくないかい? 会いたければ、おとなしくしろ!」
 ピューッと空気がうなって、ピシリとむちがとんでくる。肉にくい入る痛さ!

【中略】
(ああ、わかった。こいつは、なんかの方法で、上にいる仲間に合図をしているのだ。これでは、とてもかないっこない。どうしたらいいだろう?)
 しず子が、こう気づいたとき、またしても怪物の手から、うなりを発してむちがとんできた。
 ピシリ!……ピシリ……!
「ヒィーッ!」
 しず子は息もたえだえになって、のたうちまわった。

≪ポプラ文庫『少年探偵 地獄の仮面』P48~50≫

(あっ、火をつけるのだ! おんぼうが火をいれにきたのだ!)
 しず子の胸は、やぶれるように高鳴りだした。
 いよいよ最後だ! 耳をすますと、気のせいか、ボーッともえあがるような音がする。
「おかあさま、どうしたの? あれ、なあに?」
 茂が乳房をはなしてささやいた。
「いよいよ、天国へいけるのよ。神さまがおむかえにいらっしゃるのよ。」
 しず子は、やっと答えた。はげしい恐怖のために、しず子の心臓はやぶれるばかりだ。気がちがいそうである。茂は、やにわに母にしがみついてきた。

【中略】
 しず子は歯をくいしばって、わが子をかたくだきしめた。
 あつい! たえられないほどのあつさだ! かんの底に火がうつったのだ。板のパチパチとはぜる音がする。かんのすき間から、まっかな光が、地獄絵のようにチラチラとかんのなかをてらしはじめた。

【中略】
 ついに火は、しず子の洋服や茂のズボンに、チリチリともえうつりはじめた。ふたをおしあげようにも、焼けてもろくなった底は、いまにもメリメリとくずれそうで、それもできない。
 ふたりは、むせかえり、せきこんで、いまにも息がたえそうになった。

≪ポプラ文庫『少年探偵 地獄の仮面』P159~162≫


 この他、火葬される棺の中で死の恐怖に耐えながら、しず子が息子の茂に授乳する場面も見られます。
 自由に動く事も難しい狭い棺の中、美しい未亡人が胸を露わにして息子に乳首を吸わせる。うるわしい母子愛を描いた場面ですが、このシチューションには背徳的なエロスが感じられます。


 しず子は、わきあがる涙をどうすることもできなかった。歯をくいしばっても、くいしばっても、むせび泣きの声をおさえることができない。
「おかあさま、ぼく死ぬまえにほしいものがあるの?(ママ)
 これをきくと、しず子はギョッとした。考えてみると、二日間、なんにもたべていないのだ。どんなにおなかがすいたことだろう。
「あのね、おかあさまのおちちがのみたいの。」
「まあ、おちち……さあおあがり、すこしはおなかのすいたのをわすれるかもしれないわね。」
 茂はゴソゴソとからだをうごかすと、やっと母の乳房にすがりついた。

≪ポプラ文庫『少年探偵 地獄の仮面』P158~159≫


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