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2017-07

「異聞・サムライスピリッツ閃」 ~鈴姫夜話~

【はじめに】
 モンコレ氏の描かれた鈴姫のバスター技イラストが素晴らしかった為、無謀な試みを承知で文章を付けてみました。
 設定に無理があったり、候文の文法や登場人物の話し方が変だったり、時代考証を無視していたり、いろいろとツッコミ所の多い短編ではありますが、御笑読頂ければ幸いです……。
 イラストの転載・使用については、作者のモンコレ氏より許可を受けました。寛大な措置に対し、厚く御礼申し上げます。


 月が雲に隠れ、辺り一帯は墨を流したような暗闇におおわれた。
 闇に染まる浜辺に一人、海の方を向いて佇む人影がある。
 辛うじて確認できる黄金の長い髪と赤い打掛が風になびき、影の主が女性である事をうかがわせる。
「遅いわね。いつまで待たせるのかしら」
 細身の体に似合わない大きな剣に頬杖をつきながら、女性はイライラした口調で呟いた。
 寄せては引き、引いては寄せる大波小波。永遠に繰り返される単調な運動も闇に隠れ、その音が聞こえるのみ。
 ゴーン。ゴーン。
 四つ半を告げる宝慶寺の鐘が鳴り出した時、計っていたかのように新たな人影が海岸に現れた。
「鈴姫様」
 くぐもった声が新たな影の口から洩れた。
「誰ッ!」
 その声に反応した鈴姫は、声のする方を向いて尋ねた。
 武芸全般に優れているのか、何気なく振り向く動作には微塵の隙も見られない。
 闇にまぎれて相手の姿は見えないが、それほど遠い位置にいる訳ではないようだ。
「夜分遅くにお呼び立てし、まことに申し訳なく存じます」
「それでは、鳩を使って文を届けたのは、貴方なのね」
「左様でございます」
「文には、今宵四つ半、沖にゴルバの乗った船が現れると書いてあったけれど、本当なの」
「間違いございませぬ。ゴルバは姫様をレスフィーア王国へ連れ戻す為、四日前に国を発ちましてございます」
「でも、沖に船が来る気配は感じられないわ」
「海は気まぐれにございます。必ずしも、予定通りの運航は叶いません故、今しばらくお待ち下さい」
「わかったわ」
 それで会話を打ち切り、鈴姫は再び闇に埋もれた大海に目を向けた。

 鈴姫が、謎の人物からゴルバ到着を知らせる文を受け取ったのは、八つ刻の事であった。

鈴姫
(C)SNKプレイモア/北千里【画像は、鈴姫コスプレ衣装コスチュームの販売サイトより】

 いつものように白梟城の天守閣から遠眼鏡で海上の様子を窺っていると、白い鳩が飛んできて、鈴姫の肩に止まった。
 見ると鳩の足には小さな筒が結び付けられており、その中には一通の文が封入されている。
 文には、「今宵四つ半、浜辺までお越し頂きたく申し上げ候。国を発ったゴルバを乗せた船が海上へ見える筈にて御座候。真偽の御判断、姫君様の御一存にて決断頂きたく思い候えども、必ず浜辺までお越し下さる事と信じており候。  影法師」と書かれていた。
 両親を殺し、母国を血に染めた憎むべき宿敵が現れる。
 鳩を使った通信手段に疑わしい点はあるが、共に天を仰ぐ事を許さぬ不倶戴天の敵と対峙する機会に一縷の望みを掛けた鈴姫は、忠臣・菅又刃衛門の目を盗んで闇にまぎれて城から抜けだし、約束の時刻に指定された場所へとやって来た。

(船が近づいて来そうな気配が感じられない。もしかして、謀られた?)
 そう思った瞬間、背後に殺気を感じた鈴姫は、懐中から取り出した朱塗りの笛を振り返りながら横に払った。
 バキッ。
 鈍い音と共に笛を木端微塵に砕け散り、鈴姫の手元には笛の半分だけが残されていた。
「な、何をする。無礼者」
 柳眉を逆立てながら、鈴姫は闇に蠢く影へ向かって言った。
 同時に、今まで月を隠していた雲が風に流され、再び満月が地上を明るく照らしだす。
「何……こ、この怪物は」
 月光に浮かび上がる相手の姿を見た鈴姫は、その恐ろしさに絶句した。
 鈴姫の目の前に立っているのは人ではなく、阿修羅像のように六本の腕を持った長身の怪物だった。
 湿った樹肌に似た褐色の腕と胸板、不気味な仮面、六尺六寸を優に超える巨体。まるで西洋画に描かれる悪魔そのものである。
「私はムジュラ。ゴルバ様より、姫様を船までお連れする役目を仰せつかってございます。先刻は手荒なマネを致しましたが、素直に御同行頂けないのであれば、力づくでお連れします」
「力づくで連れて行く? 笑わせないでよ。そんな大口、攻撃を当ててから言うことね」
「あれは警告です。手加減した事も分からないとは困りました」
「負け惜しみは結構。命が惜しければ、船に戻り、ここまでゴルバを連れて来なさい。さもないと、この剣が貴方の余分な腕を斬り落とすわよ」
「仕方ありません。それでは、力づくで船までお連れしましょう」
「ふざけないで」
 鈴姫は大剣を振い、ムジュラに向かって斬りかかった。

(やむを得ぬ。こうなっては力づくで姫様を船まで連れて帰るしかないようじゃ)
 歯車や複雑な機器に囲まれた縦長の狭い空間の中、周囲に垂れさがる無数の紐を巧みに操りながら、小柄な老人は溜め息まじりに呟いた。
 ここはムジュラの胎内。
 ムジュラとは生きた人間ではなく、レスフィーア王国の機械人形師が2年の歳月を費やして作りあげた機巧人形であった。子供のように小さい体躯の老人が胎内に入り、内部からムジュラの全身を操っているのだ。
 僅かに開けられた狭い覗き穴から外界の様子を窺い、常に数秒先の動作を考えながら無数の紐で全身を操る操作技術には、並み外れた才能を要する。
 レスフィーアの軍隊を壊滅させた原因は、ゴルバの戦略でも、用心棒として雇ったドラコの射撃でもなく、痛みを知らないムジュラの猛攻だった。
 彼こそ、レスフィーア王国を破滅させた悪魔であり、本当の「レスフィーアの悪夢」なのであった……。

 その事を知らない鈴姫。愛剣・バスタードソードを軽々と操り、勇ましくムジュラに攻撃を仕掛けた。
 眼にもとまらぬ円弧を描いて右肩を狙い、それが外れると間髪入れずに素早く体を一回転させ、腰車の両断をはかる。
 だが、いずれの攻撃も虚しく空を斬るだけで、ムジュラには切っ先すら触れられない。
「やるわね。まさか、こんな部下がいたなんて知らなかったわ」
「もう、終わりですか。それでは、今度は私の番です」
「えッ?」
 鈴姫が呆気に取られた一瞬のスキをついたムジュラは、大きな掌でバスタードソードの刃を鷲掴みにし、力任せに鈴姫の手から奪い取った。
「しまった。剣が……」
「武器が無くては抵抗も出来ないでしょう。手荒な方法を取らせて頂きます」
 言うが早いか巨大なバスタードソードを海に向かって投げ捨てると、息継ぐ暇も無く、六本腕を利用して鈴姫の華奢な体を担ぎあげた。

ムジュラに全身の自由を奪われる鈴姫
(C)モンコレ

「いやあぁぁぁ」
 右肩に鈴姫の頭を乗せたムジュラ。
 すかさず下段の腕で鈴姫の両手首を押さえ、万歳の恰好をさせて腕の自由を奪った。同時に、暴れる鈴姫の両足首を中央の両腕で捕え、左右に大きく広げた。
 この間、僅か二秒。鈴姫が抵抗する暇もない。
 女性にとって屈辱的な恰好を強いられた鈴姫は、顔を赤らめながら技からの脱出を試みる。
「くうぅぅ。だ、駄目だわ。ガッシリと手足を掴まれていて、動く事ができない……」
 人外の力を持つ機巧人形の手は、無情にも鈴姫の四肢を押さえて離さない。渾身の力を込めて両手両足を動かそうする鈴姫の努力は水泡に帰し、無駄に体力を奪うだけであった。
「無駄です、姫様。貴女の力では、この技から逃れる事はできません。これ以上の屈辱を体験したくなければ、私と一緒にゴルバ様の許へお出で下さいませ」
 股を大きく広げた自分の恰好に恥じらいながらも、鈴姫は凛とした態度で返事をする。
「誰が……あんたの言う事なんか聞くもんですか」
「これほど、わたしがお願いしてもですか」
「くどいわよ。私はね、何でも自分の思い通りになると思っている自惚れ屋に「嫌だ」と言う事が大好きなの。天狗の鼻をへし折る事がね」
「言う事だけは勇ましいのですね」
 ため息交じりにムジュラが言った。
「それでは仕方がありません。聞き分けのない姫君様には罰を与えます」
「な、何をする気」
「こうするのです」
 言うが早いか、ムジュラは空いている二本の上腕を鈴姫の臀部に伸ばすと、桃色の着物の短い丈を左手で捲り、右手で露わになった純白のパンティに指を引っかける。
 阿蘭陀商人から買い入れた西洋下着(パンティ)を引っ張られ、鈴姫の股間部分が際どい部分まで露出した。
「無礼者。その指を離せ」
 顔から火が出るような羞恥心を抑えながら、鈴姫は厳しい口調でムジュラに命じた。
「いいえ、離しません。姫様の自尊心を討ち砕き、ゴルバ様に服従を誓うと申されるまで、この指は離しません」
 そう言ったきり、ムジュラは口を閉ざしてしまった。
 一時的な敗北に甘んじるか、自尊心を保つ為にも屈辱に耐えるか。月光に照らされた夜の浜辺で、鈴姫は究極の選択を迫られた。
 寄せては引き、引いては寄せる大波小波。
 耳に木霊する波の音が少しづつ弱くなり、鈴姫の意識も混沌の中に埋もれはじめた……。


【あとがき】
 短く話をまとめるのが苦手なので、ここまで長くなってしまいました。忍耐強く、最後まで読み通して下さった方々には感謝します。風呂敷を広げ過ぎたせいか、尻つぼみの結末になってしまいました。
 ツッコミ所が多い事は承知ですが、あえて、この話の弱い点を自分で曝露させて頂きますと……。

 1.なぜ、ムジュラの要求を受け入れたように見せかけて技をとかせ、鈴姫は反撃に出なかったのか。
 2.鈴姫は仇敵であるゴルバの居場所を探している。それならば、ムジュラの誘いに応じたふりをしてゴルバの乗る船の停泊場所を探り出す方が理に叶った考え方ではないのか。みすみす、絶好のチャンスを逃すのは不可解。
 3.ムジュラバスターで鈴姫の体の自由を奪ったムジュラは、なぜ、そのまま鈴姫をゴルバの船まで連れて行かなかったのか。

 これらの点については、下手に整合性を取ろうとすると話が成立しづらくなり、「パンティを引っ張る場面」まで話を進ませる事が難しい為、あえて無視しました。
 深く考えずに読み流して下さいますよう、お願い申し上げます。
 くすぐりとして、「ジョジョの奇妙な冒険」に見られる名セリフのパロディを終盤の二ヶ所に埋め込んでみました。
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コメント

素敵なSSに感謝をば><

こんなにもイメージを膨らませてもらえるとは思いませんでした><
すごいシリアスなカットで自分はこんなに考えて描いてなかっただけに驚嘆しましたw
鈴姫のその後が気になりますが読み手の想像に任せる終わらせ方も上手だなぁと感じました(゜∇゜*)♪

素晴らしいイラスト、ありがとうございます

 コメントを頂き、どうもありがとうございました。こちらの方こそ、素晴らしいイラストに感謝しております。

 イラストのイメージを壊していないか不安もありましたが、作者様御本人から「こんなにもイメージを膨らませてもらえるとは思いませんでした」とのお言葉を頂き、及第点を貰えたようで一安心しております。

 言うまでもありませんが、本作のムジュラは、和月伸宏氏の「るろうに剣心」に登場する夷腕坊と外印をイメージしました。

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