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2011-11

格闘令嬢の敗北(後編) 屈辱の敗北

 蜘蛛糸と赤い触手でリリの自由を奪ったジェイシーは淫らな微笑を浮かべ、もがき苦しむ獲物の顔を見ながら言った。
 「いい表情を見せてくれるじゃないの。ほ~ら、もっともっと苦しみなッ」
 ガシッ。ガシッ。
 「あぐぅん」
 横たわりながら関節技を極めているジェイシーは自分の右足の踵でリリの股ぐらを蹴った。
 触手の容赦ない突きに加え、追い討ちをかけるようなジェイシーの攻撃。敏感な急所を責められながら指一本すら動かせないリリは苦悶の表情で喘ぐしかなかった。
 「最後に教えてやるけどさぁ、あたいの本当の名前はスパイラスって言うんだ! そのままんだろう。ぶっちゃけて言やぁ、改造人間計画の関係者なのさ。この能力も自分の意思で得たんだよ」
 「な、なんで……す……って……」
 「サブミッションのセンスはウィリアム姉妹。パワーはキングとアーマーキング。スピードはレイヴン。格闘テクニックはセルゲイ・ドラグノフ。オフェンスのセンスは三島一八とラース・アンダーソン。ディフェンスのセンスはザフィーナとボブ。前回の「THE KING of IRON FIST TOURNAMENT」で得た戦闘データーを数値化して人工筋肉や電子頭脳へ記憶させている。これがどういう事か理解できるか?」
 「つまり……。うぐッ。10人……いえ、11人の格闘家を……相手に戦う……って事かしら」
 「そうさ。あたいをベースに格闘家10人の長所が集結している。どうだい、これでも勝てる自信があるかな~」
 「ふん。ロ、ロシュフォール家の人間として……あなたみたいな……バケモノに屈したりは……し、しないッ! うぅぅぅん」
 絶体絶命の状況になりながらもロシュフォール一族としてのプライドを失わないリリはジェイシー=スパイラスの顔を正面から見つめて言い、渾身の力で両腕を反対方向に引っ張りながら両手首の蜘蛛糸を引き千切ろうとする。
 「はぁぁぁぁぁッ」
 ブチッ。
 非力な少女とバカにしていたリリが力まかせに蜘蛛糸を千切った。この信じられない瞬間を見たスパイラスは思わず声を荒げた。
 「なにぃぃぃぃ。あたいの蜘蛛糸が引き千切られただと」
 「ど、どうかしら? 御自慢の蜘蛛糸も大した事ないわね。オ、オッホホホホホ」
 「チッ。どこまでも口の減らない小娘だ。それなら……」
 憎々し気な言葉とは反対にリリの右足を離したスパイラス。
 「うぐッ。ハア、ハア、ハア、ハア。あ、足首が……折れそう……だった……わ」
 「これで終わったと思うなよ。オラッ」
 ドスッ。
 「あうぅん」
 貧相な乳房を踏みつけられたリリの口から苦痛の声が洩れる。
 「これからが『地獄巡りアトラクション』の本番だ。屈辱技のフルコースを堪能しな」
 強者の余裕を見せつけるスパイラスはリリの両肩を掴んで強引に立ち上がらせた。それと同時に足と胴体を拘束していた蜘蛛糸が千切れる。
 ブチ。ブチ。ブチ。
 「くらえッ! ブラッド・デモリッション」
 「きゃあぁぁぁぁ」
 赤い触手が絡むリリの体を担ぎ上げたスパイラスは成長過程にある美少女の柔らかい太腿と脹脛(ふくらはぎ)を掴み、両足を左右に大きく開かせた。
 ガバッ。
 「いやぁぁぁぁ」
 体を宙に浮かせた「マングリ返り」のポーズを強制させられ、リリは顔を赤らめながら恥じらいの悲鳴をあげた。
 「ヒャッハハハァ~。どうだい、恥ずかしいだろうぉ。お嬢様の御開帳だぁぁぁい」

恥ずかしいポーズと不気味なゲルの異臭に耐えるリリ
(C)きてぃ

 「は、離しな……。あふぅぅん」
 「なんだって? 色っぽい声を出してねえで言いたい事があればハッキリ言えよ」
 「離し……なさい。ひゃぁぁぁん」
 「ケ~ッケケケケケ。勇ましい格闘セレブらしからぬ喋り方だなぁ。どうしたんだよ、いつもの凛とした口調で言ってみろよ。ヒャ~ッハハハハハ」
 リリの喋り方に迫力がないのも当然。彼女の足に絡みつく赤い触手が太腿を締めつけながら股間を弄んでいたのだ。
 その快楽に刺激されたリリは弱々しい声しか出す事ができない。
 「こいつはスペシャルオプションだ。やれぇ、テンタクル・トーン」
 赤い触手はスパイラスの命令を理解しているかのように先端から緑色をしたゲル状の臭い物体を発射させた。
 グジュル。グジュル。グジュル。
 「あうん。く、臭い。なによ……ゴフッ……これは。ゴフッ。ゴフッ」
 悪臭を放つゲルが口に入ってしまい、リリは刺激と気持ち悪さにむせて咳こむ。
 「これはラフレシアの匂い成分を含んだゼラチンさ。面倒な相手を手っ取り早く捕獲したい時に使う秘密兵器の一つだよ」
 「ラ、ラフレシアの……ゴフッ……匂い成分ですって」
 「そうさ。大きさと悪臭で知られる不気味な花だよ。悪臭研究の世界的権威であるクロイツェン博士が30年かけて作りあげた装置を使ってラフレシアの悪臭をゲル状にしたのさ」
 「そんな事を……ゴフッ……30年かけて……ゴフッ、ゴフッ……研究していたの? ひ、暇な男ね。ゴフッ」
 「あっはは~。こんな小娘に暇人扱いされちゃったよ。可哀相な博士。おっと、あたいも遊んでる時間はないんだ。こいつの他にも今日中に二体のサンプルを確保しなきゃいけなかったんだ。ヨイショ」
 ドスッ。
 「あうん」
 屈辱技を解除したスパイラスはリリの体を投げ捨て、リングの上に散乱するガラス片をブーツで四方に蹴散らした。
 ジャリン。ジャリン。パラパラ。ジャリン。パラパラ。
 小気味良い音を立てガラス片がリングの下へ落ちる。
 「さて、これなら安全だ。ほらほら、いつまでも股を触りながら横になってんじゃないよ。さっさと立ちな」
 「ハァ……。ハァ……。ハァ……。あうぅぅん」
 股裂きと急所責めのダメージで下半身に力が入らないリリは満足に立ち上がる事もできず、ビリビリと痛む股間を押さえながら仰向けでリングの上に倒れている。
 「まったく、世話の焼けるお嬢さんだねぇ」
 スパイラスは呆れたように言うとリリの体を半回転させ、うつ伏せの状態にした。
 「これが最後の仕上げだ。あんたの高慢なプライドをズタズタにしてやるよ。オラァァァ」
 「くあぁぁぁぁ」
 自分の両足を複雑に絡ませてリリの両足をロックしたスパイラス。そのままリリの両腕を掴んで大きく左右に開かせ、自分の体の重心を後方へ移動させた。
 グルン。
 「あぁぁぁぁん。か、肩の関節が外れそうだわ」
 スパイラスの得意技であるロメロ・スペシャルがリリに決まった。胸を反らす格好で吊り上げられた哀れな獲物は額に脂汗を浮かべながら悶え苦しむ。
 「これだけなら普通のロメロだろう。しかしなぁ、あたいのように優れた改造人間は追加攻撃もできるのさ」
 「な、なんですって……」
 「やれぇ、テンタクル・トーン」
 「な、なにを……。いやあぁぁん」
 今まで沈黙していたテンタクル・トーンが再び活性化した。リリの左腕、胴体、二本の太腿に絡んだかと思うと強い力で締めつける。
 「うぅぅぅん。い、痛いわッ! 離しなさい」
 「離せと言われて離すバカがいるかよ」
 正論である。
 「もっと刺激があってもいいかなぁ。追加だぁ」
 この言葉によって行き場を失くしていた残る二本の触手が動きだした。一本はリリの首をグルグル巻きにし、もう一本は先端を搾乳機のように広げて服の上からリリの右乳房を覆った。
 さらに左腕を締めつけている触手も乳房にまで伸び、先端を搾乳機のように広げて左乳房を覆う。
 「ちょ、ちょっと。なにをする気?」
 「その小さな胸を吸引でサイズアップしてやるよ」
 「なんですって」
 「安心しな。金は取らねえよ」
 「そう言う問題じゃ……。いやぁぁぁん」
 抵抗の言葉も虚しく二本の触手は強力な吸引力を発揮してリリの乳房を吸う。
 「うあぁぁぁぁん。や、やめ……な……さい。このバケモノ」

ロメロ・スペシャルによってリリは全身の関節をガッシリと極められてしまった
(C)きてぃ

 「ま、またバケモノって言いやがったな。ケッ。その生意気な口に栓をしてやらなきゃね」
 「むぐぅ」
 胴体を締めていた赤い触手が次のターゲットに選んだのはリリの口だった。胴体を締めつけたまま先端を目にも止まらぬスピードで口内へ向かって進ませた。
 「むぐッ。むぐぅ。むぐぅ。もごッ」
 「あ~ん、何を言ってんだ? 聞こえねえよ」
 「もごッ。むぐッ。むぐッ。むぐぅ」
 「なんだって? あの臭いゲルを食ってみたい? あんたもゲテモノ好きだねぇ。美食に飽きたお嬢様の考える事はわからないよ。ほ~ら、腹いっぱい食べな」
 「んん~。むぐッ。むぐぅ。ゴフッ。ゴフッ」
 口内に入り込む悪臭を放つゲル。両手両足の動きを封じられたリリは飲み込まないよう抵抗するのが精一杯であった。
 しかし無尽蔵に流れ込むゲルの濁流は口の中を徐々に浸食していき、リリの小さな口はキャパシティの限界を迎えようとしている。
 (まずいわ。このままだと口の中が臭いゲルで一杯になっちゃう……。こんな物を飲み込むなんて冗談じゃないわ。でも……。もう……。口の中が……。げ……ん……か……い。ゴホッ、ゴホッ。おえッ。く、臭いッ。飲み込んでしまったわ。もう……駄目。悪臭と……刺激……で……意識……が……)
 溢れ出るゲルで口の周りを汚しつつ、リリは悪臭と刺激によって意識を失ってしまった。バケモノと罵った相手に屈辱の敗北を喫したのである。
 「ヒャ~ッハハハハハ。ちょろいもんだねぇ。さぁて、こいつは終了。次のターゲットを捕えに行くとするか」
 リリが気絶した事を確認したスパイラスは技を解き、赤い触手をプロテクターの中へ格納した。
 真昼の太陽が差し込むドーム型の天井を見上げながらスパイラスは呟いた。
 「天井を派手にブッ壊しちまったけど……。まあ、いいか。どうせ幽霊会社名義でレンタルした施設だ。修理費の代わりに大道具のプロレス用リングをくれてやれば相手も損得ゼロだろう」
 自分で破壊したガラス張りのドームを苦笑しながら見ていたが、やがて我に帰ると一分一秒を惜しむように横たわるリリの体を軽々と持ち上げた。
 「んしょ。さ~て、次の行き先はスペインか。ターゲットを確保したらパエリヤでも食うかなぁ。ほい、ポチッとな」
 ガシャン。
 プロテクターの腕部分に内蔵されたコントローラのボタンを押すとドアの施錠が解除され、重い金属音がホール全体に響き渡った。
 謎の改造人間はリリの体を肩に乗せ、解錠されたドアに向かって歩き出した。
 秘密結社クラウンによる世界征服の野望はスパイラルの歩みと共に第一歩を踏み出したのである。


The End


【あとがき】
 今回は特撮番組から出張してきた改造人間が対戦相手である為、どのような設定で「鉄拳」の世界とリンクさせるか頭を悩ませました。自分でも納得できる冒頭を書くのに何回書き直しをした事か……。
 幸いにもきてぃ氏に御力添えを頂いたおかげで物語中盤からは順調に書き進める事ができ、無事にリリとスパイラスの戦いを描けてホッとしています。
 筆の立つ方が書けば蜘蛛糸や触手の描写をエロチックに見せられたかも知れませんが、自分の筆力では本編のように書くのが限界でした。きてぃ氏のイラストの魅力を引き立てる事にも成功したとは言い難たく、もっともっと精進が必要です。
 そうは言っても最後まで楽しみながら書けたのも事実なので、佳作レベルの仕上がりが見られるSSだと自己採点させて下さい……。
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格闘令嬢の敗北(前編) 悪鬼の強襲

【はじめに】
 予定よりも遅れてしまいましたが、リリとスパイラス(初出は「七星闘神ガイファード」)の対決を描いたSSを公開します。本当は10月下旬にアップする筈だったのですが……いろいろあって遅延してしまいました。
 触手や蜘蛛糸を操るスパイラスに苦戦するリリのイラストを描いて下さったのは、pixivでお世話になっているきてぃ氏です。
 ベアハッグ、股裂き関節技、バスター技、ロメロ・スペシャル。女性に苦痛と屈辱を与える技のオンパレードは見る者を飽きさせません。短い期間でありながらバラエティ豊かなイラストを仕上げて下さったきてぃ氏に改めて御礼申し上げます。
 本文執筆にもきてぃ氏の御協力を得ており、この「格闘令嬢の敗北」は新京史朗ときてぃ氏の合作SSである事を巻頭にて明言致します。


 三島仁が全世界へ宣戦布告した事に端を発する世界戦争の終結後、謎の人物によって第1回「THE IRON FIST FIGHTERS」が開催された。
 招待状を封印している蝋封には鷲のマークが押印されているものの、差出人の名前は記されていない。
 ポール・フェニックス。マーシャル・ロウ。スティーブ・フォックス。ブライアン・フューリー。セルゲイ・ドラグノフ。……。……。
 この謎に満ちた招待状は「THE KING of IRON FIST TOURNAMENT」で激戦を繰り広げた名だたる猛者に届けられ、そのうちの一通はモナコ公国の富豪令嬢にして「戦うセレブ」と呼ばれるエミリ・ロシュフォール(=リリ)の手許へも届けられた。
 彼女は前回の「THE KING of IRON FIST TOURNAMENT」で風間飛鳥に敗れ、二回戦敗退という屈辱的な試合結果を残している。この格闘大会で過去の汚名を返上すべく、外出禁止の身にありながら父親の目を盗んで屋敷から抜け出し、自家用セスナに乗り込んで第一回戦の試合会場となっているスイスへ向かった。

 「どういう事。試合開始時刻を10分も過ぎているのに対戦相手が来ないじゃないの。それにギャラリーもいないわ」
 巨大なホールの中央に設置されたプロレス用リング。それを囲うように張り巡らされたロープに体を預け、先程からリリはイライラしながら対戦相手の到着を待っている。
 リリがホールへ入ると同時にドアは固く閉ざされ、この広い空間から出る事ができない。
 「まったく。人を呼び出しておきながら待ちぼうけをさせた挙句、広いホールに閉じ込めるなんて常識のない主催者だわ」
 姿なき相手に文句を言いながらブーツの爪先(つまさき)でリングをカツカツと叩く。
 その時。
 ガシャァァァン。
 「な、なに? うくッ」
 「ヒャッハァァァァ」
 ドーム型の天井を覆っていた強化ガラスを飴細工のように難なく破壊し、甲高い奇声を発しながら一つの人影が上空から落ちてきた。
 同時に割られたガラスがシャワーのように降り注ぎ、その鋭い破片がバラバラとリングの上へ落下する。
 ガラス片の雨から頭部を護るリリ。この動作によって一瞬だが視界が封じられた。
 その隙に乗じた謎の人物はリングに降り立つと同時にリリの細い胴体を両腕で抱きしめ、彼女の華奢な体を持ち上げながらグイグイを締めつけた。
 「あぐぅ。な、何者ッ!」
 不意の強襲に困惑するリリだが相手の両腕にガッシリと抱え込まれ身動きできない。
 ベアハッグの苦痛に耐えながらも冷静になろうと気持ちを落ち着け、空からの乱入者に視線を集中させる。
 リリの胴体を締めつけているのは蜘蛛をモチーフとしたプロテクターに身を包む女性だった。
 不気味なプロテクターの下には筋肉の詰まった逞しい肉体が隠されており、両目を凶暴な大型肉食獣のように爛々と光らせている。
 「あ、あなたは……だ、誰?」
 「あたしかい? あたしはジェイシーってんだ。あんたの対戦相手だよ」
 「あなたが……わたしの対戦……相手なのね。うあぁぁぁん」
 「ヒャッハハァ。いい声で鳴きやがる。ほ~ら、もっともっと鳴きな」
 「あぐあぁぁぁ」
 ジェイシーは両腕に力を込め、さらに強くリリの胴体を締めつける。
 「うぐぅああぁぁ」
 苦悶の表情を浮かべながら呼吸困難に陥るリリはジェイシーの髪の毛を掴みながら大きく口を開かせて喘ぐ。
 破壊された天井から差し込む陽光に反射し、口から顎へと伝い落ちる唾液が真珠のような輝きを放った。
 「へぇ、さすがセレブ様は違うねぇ。苦しむ顔まで芸術的な美しさをしてるじゃないか。ウィッフィヒ~」
 「うあぁぁぁん……。むぐッ」
 突如、ジェイシーは抱え上げていたリリの体を自分の身長を同じ高さまで下ろした。そして、大きく開いたリリの唇を自分の唇で塞いだ。
 「むぐぅぅ」
 必死の抵抗をするリリ。だが、ジェイシーの吸引力は凄まじく唇が離れない。
 「んぐぅぅぅ」
 ガリッ。
 「んぐぐぐぅぅ」
 何かを噛む音が聞こえたかと思うと、リリの唇から真っ赤な血がタラタラと滴り落ちた。あまりの興奮に唇を噛んでしまったらしい。

ジェイシーの強烈なベアハッグがリリを苦しめる
(C)きてぃ

 「へへへぇ。わりいなぁ、ちょっと力を入れ過ぎたみたいだ」
 そう言いながら傷口から流れ出る血を舐めるジェイシー。
 「この……バケモノ。いい加減にしないさいッ」
 「なんだと。誰がバケモ……。おぐッ」
 血を舐めるジェイシーの脳天へ渾身の力を込めたエルボースタンプで攻撃するリリ。二発。三発。強烈な肘打ちが連続でジェイシーの脳天を打ちつける。
 「ギヤァァァ」
 あまりの痛みに耐えかねたジェイシーは両腕のロックを解除し、リリの体をリングの上に投げ捨てた。
 「キャッ」
 幸いにもリリの体はガラスが散らばっていない箇所に投げ捨てられ、鋭い破片で柔肌を傷つける事はなかった。
 「ハア、ハア、ハア。まったく、遅れてきたうえに不意打ちなんて最低な女ね。性根を叩き直してあげるわ。かかってきなさい」
 「ヘッヘヘェ。ちょっとはデキルね、あんた。お嬢様が格闘技を片手間に嗜(たしな)む程度かと思ってたけど訂正するよ」
 「ふん。今頃になって気づいたの? 対戦相手のパーソナルデーターくらい調べておきなさい。このバケモノ」
 「なんだとぉぉぉぉ」
 今まで薄ら笑いを浮かべていたジェイシーの表情が鬼のような形相に一転し、二つの目でリリを睨みつける。
 「あんたみたいなウブなお嬢さんから見たらバケモノかも知れねえけど、あたいは秘密結社クラウンの改造人間(ミューティアン)なんだ。つまり、あんたと同じ人間なんだよ」
 「ミュ、ミューティアン?」
 「ああ、そうだ。こうならったバラしちまうけどさぁ、この大会を主催したのはクラウンなんだ」
 ジェイシーの口から語られる意外な事実。リリは相手への警戒心を怠らず、その話に耳を傾ける。
 「世間一般じゃあ夢物語だって笑われるかも知んねえけど、世界に宣戦を布告した三島仁の「力こそ正義」って発言に陶酔したクラウン幹部は改造人間の連隊で世界支配を実行しようと企んでるのさ。幹部連は常人離れした身体能力と遺伝子改造による特殊能力を持った改造人間を量産し、人体兵器として世界の主要都市を襲撃させるつもりなんだ」
 「そんなバカな事。三島仁は暴力による世界制圧を目論んだけれど失敗したわ。あなた達も同じ轍(てつ)を踏むつもり?」
 「成功するか、失敗するか。そんな事は関係ない。あたいは自分の新しい力を試したいだけさ。蜘蛛の能力を移植された超人としての力をね」
 「く、狂ってるわ……」
 リリのうなじを一筋の冷たい汗が流れた。
 「この大会は改造人間のベースを集める為に開催されたのさ。「THE KING of IRON FIST TOURNAMENT」参加者には優れた格闘家が多かったからな。宝の山からスカウトされたんだ、おとなしく狩られてくれよ」
 「スカウトされたのは嬉しいけど……」
 「けど? なんだよ」
 「断じて断るわ。ハッ」
 凛とした表情で言い返し、リリはスカートが捲れるのも構わずジェイシーの顔面に向けてハイキックを仕掛けた。
 ガシッ。
 「あんたに断る権利はないよ。おとなしくサンプルとして研究所に来な」
 リリのハイキックを顔面ギリギリでキャッチしたジェイシー。
 「くッ」
 「優しく言っても分からねえ、説明しても分からねえバカには……」
 「な、なによ」
 「お仕置きするしかないよねぇぇぇ」
 ボコッ。
 「あうぅぅぅん」
 ジェイシーは無防備なリリの股間を蹴り上げ、さらに軸となっている右足を払いのけた。
 ドスッ。ザクッ、ザクッ。
 「あぐッ。きゃぁぁぁぁ。痛いッ」
 倒れた体の下にガラス片があったのかリリは呻き声を漏らした。
 「あたしの特殊能力を見せてやるよ。ライジングタクト・ロンペフルーレ」
 技名を叫びながらジェイシーはグローブの掌部分をリリに向けた。そこから発射された白いボールのような塊はリリの体に当たると同時に破裂し、粘着力の強い蜘蛛糸となってまとわりつく。
 「キャァ。なによ……これ。ベタベタするわ。くッ。と、取れない」
 ネバり気の強い蜘蛛糸が開脚ポーズでダウンしたリリの両腿と胴体、そして左腕にからみつく。
 「はい、お・ま・け」
 嘲るような口調で言いながらジェイシーは駄目押しとしてリリの両手首を蜘蛛糸で動かなくした。
 「くうぅぅ。う、動けない……」
 「ハッハハハァ。セレブお嬢様の淫らなポーズ、見応えあるねえ」
 「このケダモノ!」
 「バケモノの次はケダモノか……。まったく、失礼な小娘だ。少し痛い目を見ないと分からねえようだな」
 「な、なにをする気?」
 大股開きの格好でリングへ固定させてしまったリリは不安気な表情でジェイシーに言った。
 「こうするのさ」
 「え? ちょ、ちょっと……。いやぁぁぁぁ」
 リリの右足を捕えたジェイシーは電光石火の早技で膝十字固めを極めた。
 「ほ~ら、痛いだろう。股関節の可動範囲を超えた股裂き技は苦痛と羞恥心を与える。あんたのようなお嬢様に最も効果的な技なのさ」
 「くあぁぁぁ」
 「これで終わりと思うだろう? ところが違うんだな~」
 「あぐぅぅぅ。ま、まだ……なにか人外な技をもって……いるのかしら? あぁぁぁん」
 「チッ。口の減らない小娘だね。こうなりゃ手加減しないよ、死にたくなるくらい恥ずかしい思いをさせてやる」
 「なんですって」
 「出でよ、テンタクル・トーン」
 両腕に抱えたリリの右足を力づくで開かせたまま、ジェイシーが叫んだ。
 「テンタクル。ま、まさか……」
 「その『まさか』だよ。ア~ッハハハハハ」
 次の瞬間、ジェイシーのプロテクターの背中から五本の赤い触手が現れた。ヌルヌルした触手は生物のように動き回り、股裂き関節技を決められたリリの体へ複雑に絡みつく。
 「さぁて、淫靡なショータイムの始まり始まりぃぃぃ」
 「うぅぅぅぅ。くはぁぁぁぁ」
 右足首関節をジェイシーに極められながら、左足は絡みついた赤い触手によって股を引き裂かれそうなくらい引っ張られる。
 だらしなく露出した股間の敏感な箇所は三本の赤い触手がシルクのアンダースコート越しに容赦なく突き、残る一本の触手はリリの首を絞めつけた。

両手を拘束され動けないリリに容赦ない股裂き関節技を仕掛けるジェイシー
(C)きてぃ

 (だ駄目だわ……。全身を拘束されて……う、動けない。こんな……屈辱的なチート技に……く、屈するなんて……)
 「どうだい? バケモノに辱められる気分は? ヒャ~ッハハハハハ」
 (こんなバケモノに……負けられない。このまま……た、倒れるわけには……いかない……わ)


To Be Continued

アイリーンVSローパー

 昨年8月、当ブログにて荒木飛呂彦氏の漫画「ゴージャス・アイリン」を紹介しました。
 初期作品という事もあってかイタリア美術からの影響は絵柄にまで及んでおらず、緻密な描き込みこそ健在ですがキャラクター描写は手塚治虫タッチの流れを汲んでいるように感じられます。
 最近の作品と比べれば摸写し易い絵柄のように思えるのですが、なぜか「ゴージャス・アイリン」をテーマにしたファンアートは数が少なく、セクシーなヒロインの活躍する漫画でありながら荒木ファンによるイラストを目にする機会に恵まれ難く残念でなりません。

 そんな鬱憤(?)を晴らすべく、pixivで御縁のできた怪獣ジュジュに「ゴージャス・アイリン」のイラストをリクエストしたところ、幸いにも了解を得る事ができました。
 怪獣ジュジュ氏は「ジョジョの奇妙な冒険」の同人誌を発行されている他、御自身のHP「怪獣ランド」にてオンラインコミックス(閲覧無料)も掲載しており、荒木作品を中心に精力的な創作活動を行っておられます。

 遅ればせながら、怪獣ジュジュ氏より御提供頂いたイラストを以下に掲載致します。
 テーマは「アイリンVSローパー」。
 その巨大な掌中にアイリンを捕え、今まさに握り潰そうとする緊迫感に満ちた構図として仕上げて下さいました。
 焦りの表情を浮かべるアイリンの運命は? 先の展開を各自に想像させるイラストと言えるでしょう。

 最後になりましたが、漠然とした内容にも関わらずリクエストを御快諾下さった怪獣ジュジュ氏へ厚く御礼申し上げます。

アイリンVSローパー
(C)怪獣ジュジュ


【元絵掲載サイト】 ※元絵はPNG形式ですが、当ブログではJPG形式に変換して転載しました。
 1.ゴージャスアイリン対大女ローパー(フルサイズの閲覧にはユーザー登録が必要です)
 2.アイリン、ローパー(HP「怪獣ランド」内の「ゴージャス★アイリン」がリンク元)

生徒会長の二つの貌

 実写映画の公開や新作アニメの制作が話題を呼んでいる「るろうに剣心」。原作漫画の連載は1999年に終了していますが、その人気は未だに衰える事を知りません。
 原作者の和月伸宏氏は次原隆二氏(メカ好きな年配の方ならば「よろしくメカドック」の作者として馴染み深いと思います)や高橋陽一氏のアシスタントを経て漫画家デビューを果たし、幾つかの読切作品を発表後、1994年から『週刊少年ジャンプ』へ連載した「るろうに剣心」で大ブレイクしました。
 キャラクター造形にアメコミからの影響が色濃く見られる事でも知られ、その特徴は『ジャンプスクエア』連載中の最新作「エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-」にも現れています。

 和月氏による『週刊少年ジャンプ』連載漫画の第3作「武装錬金」は2003年から2005年までの足掛け3年に亙って連載されたSFアクション漫画で、ひょんな事から【錬金の戦士】となった高校生の武藤カズキを主人公に据え、彼を中心とした人間関係や因縁の糸に繋がれた人々の葛藤を描きつつ、命の尊さについて言及されています。
 錬金術や人工生命体(ホムンクルス)、人外生物といったオカルティックな要素を前面に押し出すと同時に超科学の存在も受容し、単調な展開に始終する事を避けた物語の構成方法が採られていました。

 ……と言う解説をするまでもなく、作者や作品の内容については広く知られている事でしょうから、ここでは「武装錬金」でも上位の人気キャラクターである早坂桜花について触れようと思います。
 彼女についても詳しい説明は不要でしょうが、これをしないと記事にならない為、分かりきった事かと思われるでしょうが御容赦下さい。

 早坂桜花は銀成学園生徒会長でありながら、北関東一帯を勢力下にする集団「超常選民同盟」(正式名称は「the League of eXtraordinary Elects」)のメンバーでもあります。
 いつも笑顔で人当たりが良い事もあって周囲の人々からは慕われていますが、善人の仮面の下には計算高く策謀を巡らせる腹黒い性格が隠されています。
 このような人格形成は他者を精神的に排除している姉弟関係に起因しており、心に深い傷跡を残す半生が影を落としていました。

人当たりの良い生徒会長として周囲の人と接する早坂桜花 錬金の戦士を前に本章を露わにした桜花
(C)和月伸宏/集英社

 早坂桜花には双子の弟がおり、二人は幼い頃から父の愛人によって育てられました。
 閉鎖的環境下ながら三人は幸せに暮らしていましたが、育ての母が急死した事で運命は一転。両親からも見捨てられ、桜花は最愛の弟と二人だけで生きていかなくてはならなくなりました。
 頼る人もない幼少時代を過ごした早坂姉弟は二人きりで永遠に生きて行く決意を固め、不死を求めて「超常選民同盟」の信者となります。

 こうした過去を持つ早坂姉弟はカズキ達と刃を交える事になり、弟の秋水はカズキと、桜花は津村斗貴子と夜の校舎で死闘を繰り広げます。
 彼女の【武装錬金】は遠距離からの攻撃を得意とする為、捨て身の攻撃で攻める斗貴子に敗北。致命傷を受けるには至りませんでしたが、敗走を余儀なくされた自分の姿に自嘲する結果となりました。

直接攻撃に弱い為、斗貴子との戦いで負傷し敗走を余儀なくされる
(C)和月伸宏/集英社

 敗走後、秋水を庇って重傷を負いますがカズキ達に助けられ一命を取り留めます。
 傷が癒えてからは【錬金の戦士】と共に戦う仲間となり、武藤カズキ再殺計画を阻止すべく「錬金戦団」のメンバーに加わりました(ハッキリした描写はありませんが、メンバー入りした可能性は高いです)。

 令嬢然とした容姿が魅力的なキャラクターだったものの、作者としては使い勝手に困ったのか、敵として登場した時を除いて目立った活躍は見られませんでした。
 物語後半での前線復帰後、ホムンクルスと戦うシーンを中心にした活躍を期待していたのですが……。この願いは叶いませんでした。


武装錬金 DVD-BOX武装錬金 DVD-BOX
(2009/11/26)
福山潤、柚木涼香 他

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 ※アニメ版「武装錬金」のDVD-BOX。

「魔法少女まどか☆マギカ Another」  幸せポッキーDAY

【はじめに】
 11月11日は『ポッキー&プリッツの日』です。その由来は数字の「11」がポッキーやプリッツを立てた形に見える為だと言われています。
 せっかくの記念日なので「魔法少女まどか☆マギカ」のSSの題材にしたく、無い知恵を絞ってネタを捻り出しながらも辛うじて書きあげる事ができました。
 構想から完成まで2時間程度だった為、前説すべき事柄は特にありません。軽く読み流して頂ければ幸いです。
 手作りポッキーのレシピについては、こちらを参照させて頂きました。レシピ発表者のtakaya氏には記して感謝致します。


 シャフト・スカイハイツの15階。
 巴マミと佐倉杏子が一緒に暮らす1506号を目指し、四人の女子中学生がお喋りしながら通路を歩いている。
 四人とも見滝原中学校の制服を着た可愛らしい少女だった。
 杏 子「マミが帰ってくるのは午後5時頃だ。それまでにソッコウで作業するぞ」
 手にした鍵をドアノブの下にある鍵穴へ差し込みながら、杏子は背後で待機する三人に声をかけた。
 今日は三年生を対象にした希望校別の進路相談会があり、年明けに高校受験を控えた若き家主の帰りは遅くなる。
 彼女が帰るまでのタイムラグを利用し、マミを慕う四人の後輩はサプライズを用意する計画を立てていたのだ。
 そのサプライズとは……。

 杏 子「もしもし、まどか? 佐倉杏子だけど」
 まどか「あッ、杏子ちゃん。こんばんは」
 杏 子「こんな時間に電話しちゃってごめんね。ちょっと頼みがあるんだけど、時間は大丈夫かい?」
 まどか「頼み? なんだろう。わたしで力になれる事なら協力するよ」
 杏 子「ありがとう。実はさぁ、学校で言おうと持って忘れてたんだけど……」
 11月10日の午後9時過ぎ。鹿目まどかの携帯電話に杏子から着信があった。
 こんな時間に杏子から電話があるのも珍しい。
 明日の小テストに向けて苦手な数学の計算問題を復習していたまどかは勉強の手を休め、携帯電話を左手で持ちながら杏子の頼みに耳を傾ける。
 杏 子「ネットでポッキーの作り方を調べてほしいんだ」
 まどか「ポ、ポッキー?」
 杏 子「棒状の焼き菓子にチョコレートをコーティングした定番お菓子だよ」
 まどか「ああ、そのポッキーの事なんだね。へえ、あれって自分でも作れるんだ」
 杏 子「もちろんだよ。売り物みたいには無理だけどさぁ、似たような感じのお菓子として再現できる。一時間半くらいで作れるって聞いた事があったけど詳しい作り方を忘れちゃったんだ」
 まどか「杏子ちゃんもマミさんに影響されてお菓子作りに目覚めちゃったみたいだね」
 杏 子「そんなんじゃないよ。明日はさぁ、11月11日だろう。立てたポッキーを四つ並べた格好の数字並びから『ポッキー&プリッツの日』って言われてるんだ。知らなかったのか」
 まどか「うん。初めて聞いたよ」
 杏 子「そうか……。まあ、お菓子メーカーが制定した記念日だからなぁ」
 まどか「お菓子作りならマミさんに聞いてみたら? その方が分かり易いと思うよ」
 杏 子「それが駄目なんだ」
 まどか「駄目って……どう言う事?」
 杏 子「いつも世話になってるマミに手作りポッキーで感謝の気持ちを伝えたくてさぁ、内緒で作りたいんだよ。明日は進路相談会があって三年生の帰りは遅くなるんだ。先に帰って大急ぎで調理を始めればギリギリで間に合うかも知れない。できればさぁ、帰ってきたマミをビックリさせたいんだ」
 まどか「杏子ちゃんって優しいんだね。てぃひひ」
 杏 子「か、勘違いするなよ。あたしはマミに少しでも借りを返したくて……(モゴモゴ)」
 照れ隠しの強引な理由と思いながらも杏子は必死に弁解し、その慌てる様子が電話口の向こうからリアルに伝わってくる。
 杏 子「いつもマミはケーキやクッキーを作ってくれるけどさぁ、たまには人に作って貰ったら嬉しいだろうなぁって思ったんだ。でも、あたしって不器用だろう。一夜漬けの知識や技術じゃ手の込んだスイーツなんか作れっこない。そこでポッキーの日に手作りポッキーをプレゼントしようと思ったわけだよ」
 まどか「そうなんだ」
 杏 子「急な事で悪いけどさぁ、レシピを調べてプリントアウトしてくれないかなぁ」
 まどか「いいよ、まかせておいて。今夜中に調べて印刷しておくね」
 杏 子「ありがとう、まどか。助かるよ」
 まどか「ねえ、杏子ちゃん」
 杏 子「ん? なんだい?」
 まどか「お菓子作り、わたし達にも手伝わせてくれないかなぁ」
 杏 子「わたし達って?」
 まどか「さやかちゃんとほむらちゃんも誘って四人で作ろうよ。わたし達も日頃からマミさんにはお世話になっているし、みんなで作れば時間も短縮できると思うんだ」
 杏 子「それもそうだな。明日にでも声をかけてみよう。あッ、マミが風呂から出たようだ。それじゃ電話を切るよ。ありがとう。おやすみ」
 まどか「おやすみ、杏子ちゃん」

 このような経緯があり、佐倉杏子、鹿目まどか、暁美ほむら、美樹さやかの四人は巴マミに感謝の意を込めて手作りポッキーをプレゼントすべく、90分クッキングを開始したのである。
 杏子達はブレザーを脱ぎ、白いYシャッツの上からエプロンを着用した。料理が好きなマミは気分と作る物によってエプロンを替えているので、予備エプロンが何枚もタンスの中に入っていたのだ。
 杏 子「さて、これが材料だ」
 昼休みに学校を抜け出して買い集めた材料をテーブルの上に並べた杏子はまどかがプリントアウトしてくれたレシピを見ながら指示を出す。
 杏 子「ほむらまどかは協力して粉類を篩(ふるい)にかけてくれ。さやかは板チョコを砕いて湯煎(ゆせん)して。あたしはオーブンを暖めながら、必要な道具を集めてくる」
 さやか「オッケー」
 ほむら「了解よ」
 まどか「まっかせて~」
 各自は与えられた作業を黙々とこなし、慣れないながらも手際よくレシピ通りに調理過程をこなしていく。
 杏子の事前シュミレートが功を成したのか、面倒な生地作りも大して時間をかけずに終了できた。
 30分後。
 ビニール袋から取り出した生地を5ミリ幅の棒状に切り分け、170℃の高温に熱されたオーブンの中へ入れる。
 杏 子「ふぅ。これで15分待てば完成だ。どうにか間に合いそうだな。チョコレートの溶け具合はどうだ、さやか
 さやか「バッチリよ。余熱を利用して固まらないように注意しているわ」
 杏 子「たまに弱火で温めるのを忘れるなよ」
 さやか「心配御無用。さやかちゃんにまかせておきなさい」
 杏 子「まどかほむら。あたし達は片付け作業だ」
 まどか「うん」
 ほむら「わかったわ」
 完成まで後一歩。四人は安堵の表情を浮かべながらマミの喜ぶ顔を脳裏に思い描いている。

 エレン「じゃあね、マミ。良い週末を」
 マ ミ「ええ。あなたも良い週末を。エレン」
 交通量の激しい大通りで黒川エレンと別れの挨拶をかわしたマミは歩道橋を渡って道路を横断し、小走りで杏子の待つマンションへと向かう。
 腕時計を見ると午後5時少し前だった。
 マ ミ(思ったよりも遅くなってしまったわ。早く帰って夕食の支度をしないと)
 そんな事を思いながら帰路を急ぐが、あまり運動が得意ではないマミは数分で息切れしてしまい、荒々しく呼吸しながら歩くハメになった。
 マ ミ「ハア、ハア、ハア」(だ、駄目ねぇ。この程度の運動で……息がきれるなんて……。魔法少女として……し、失格だわ)
 しばらく歩いているうちに呼吸も落ち着き、疲労も僅かだが回復した。
 マ ミ「よしッ。もう一頑張りだわ」
 自分を励ましながら両手で頬を軽く叩いて気合を入れ直した時、その目に魅力的な文字が飛び込んできた。
 そこは個人が経営するスーパーマーケットの前だったが、軒下に『11月11日はポッキーとプリッツの日! セール対象商品30%オフ』と書かれた横断幕が展開されていたのだ。
 この店では毎年11月11日になるとポッキーとプリッツが30%オフで販売される。
 噂によると店主の息子が販売元のE社に勤めており、記念日を広める意味から『ポッキー&プリッツの日』には関連商品を安く売っているのだと言う。
 ところが店主のアイディアも虚しく30%オフばかりが有名になってしまい、その理由については右から左に忘れられているらしい……。
 マ ミ「そうだ。今日は『ポッキー&プリッツの日』だったんだわ」
 横断幕の文字に魅かれ、マミの足は帰路から外れてスーパーマーケットの入口に向かっていた。
 マ ミ「お腹をすかせて待っている杏子の為にジャンボポッキーを買っていってあげましょう」

 リビングの壁掛け時計を見ながら、四人は生地の焼き上がりを今や遅しと待っている。
 さやか「まだ焼けないの?」
 杏 子「もう少しだ」
 まどか「焼き時間は15分だったよね。それなら残り5分ちょっとだよ」
 さやか「待ち遠しいなぁ」
 ほむら「こうして四人でお菓子作りというのも悪くないわね。楽しかったわ、杏子」
 まどか「うん。わたしも楽しかったよ」
 さやか「マミさん、喜んでくれるかなぁ」
 そんな会話をしている間に5分が経過。焼きあがりを告げるオーブンの電子音がキッチンから聞こえてきた。
 杏 子「よしッ、完成だ」
 さやか「なんとか間に合ったわね」
 杏 子「そうだな」

 同じ頃。
 エレベーターから降りたマミは1506号室に向かって歩を進めていた。
 マ ミ「どうにか五時半前に帰れたわ」
 塞がっている両手を器用に使ってドアノブを廻し、ドアを開けて玄関へ足を踏み入れる。
 マ ミ「あら、この靴は……」
 玄関に並ぶ四足の靴を見たマミは来客の存在を知り、リビングへ向かって声をかけた。
 マ ミ「ただいまぁ。杏子、鹿目さん達が来ているの~?」
 杏 子「おかえり、マミ。みんな揃ってるんだ。早く来いよ」
 姿を見せない杏子の声だけが奥から聞こえてくる。
 マ ミ「みんな揃ってる? どうかしたのかしら、こんな時間に」
 不思議に思いながらも靴を脱いでスリッパに履き替え、ジャンボポッキーの大きな箱が入った紙袋と鞄を持ったままリビングへ足を運ぶ。
 杏 子「お帰り、マミ」
 さやか「お邪魔してま~す」
 ほむら「こんばんは」
 まどか「お疲れ様です、マミさん」
 マ ミ「ただいま。こんな時間に集まるなんて珍しいわね。なにかあったの?」
 杏 子「今夜はマミにプレゼントがあるんだ。それを作るのに集まってたんだよ」
 マ ミ「わたしに……プレゼント?」
 杏 子「ああ。キッチンへ来てくれよ。そこに用意してあるんだ」
 マ ミ「そう言えば甘い匂いがするわね。お菓子を作ったの?」
 杏 子「詮索は後廻し。ほらほら、キッチンへ来てよ」
 マ ミ「?」
 杏子に促されたマミは状況が把握できないまま、まどか達の後についてキッチンへ向かう。
 杏 子「さあ、どうぞ」
 マ ミ「こ、これは……」
 杏 子「あたし達から日頃の感謝を込めたプレゼントだ。今日は11月11日。『ポッキー&プリッツの日』を記念した手作りポッキーさ」
 さやか「形は今二つかも知れませんが味は保証しますよ」
 マ ミ「……」
 まどか「いつも御馳走になってばかりですから、たまには食べる側になってもらいたくて」
 ほむら「杏子が中心になって四人で協力して作ったのよ」
 杏 子「本当は日頃の御礼にケーキやクッキーでも作りたかったんだけどハードルが高過ぎる。それにお菓子作りの経験もない。ちょうど今日は『ポッキー&プリッツの日』だからさぁ、まどかにネットでレシピを調べてもらい、四人で力を合わせて作ってみたんだ」
 マ ミ「あ、ありがとう。みんな、本当にありがとう。とっても嬉しいわ」
 それだけ言うのが精一杯だった。感激の涙で目は潤み、大皿に乗せられた棒状の焼き菓子が滲(にじ)んで見える。
 マ ミ(あのジャンボポッキーは日を改めて出す事にしましょう。優しい仲間……ううん、仲間じゃなくて友達ね。優しい友達の好意に水をさしては申し訳ないもの)
 湯煎で溶けたチョコレートの甘い匂いがキッチンに漂い、笑顔の四人と感動の涙を流す家主を包み込んだ。


【あとがき】
 余韻を残す終わり方にしようと考えた末、このような結末となりました。物語の途中で中断したように受け取れるかも知れませんが未完ではありません。
 心のこもった手作りポッキーをマミさんが食べるシーンも描こうと考えましたが、「先輩を慕う後輩」と「後輩の優しさに感動する先輩」というテーマを強調したく、あえて食事シーンはカットしました。
 細部の作り込みに甘さが目立つかと思いますが、「ポッキー&プリッツの日」を記念したSSとしてキャラクターよりもポッキーをメインにした構成を追求した結果なので御容赦下さい。
 全体的に短い話のせいか、今回は【あとがき】まで短くなってしまいました……。

美人賞金稼ぎの危険なミッション

 スポーツ漫画や格闘漫画を得意とするにわの まこと氏ですが、1993年に異色作とも言える読切漫画「BOMBER GIRL」(短編集『闘神スサノオー』所収。絶版)を『週刊少年ジャンプ』へ発表しました。
 この作品は退廃した未来世界を舞台としており、凄腕の女性用心棒が誘拐された姫君の救出に向かうセクシー路線のバイオレンスアクション漫画となっています。
 お色気要素全開の内容が強い支持を得たのか、翌年には主役の設定を女性賞金稼ぎに変更した同題作品が『週刊少年ジャンプ』へ連載されたのですが……過激なシーンの続出に抵抗を感じる読者が多かったのか今一つ人気を得られず、僅か数回で連載終了の憂き目を見ました。
 余談ですが、読切から連載へ移行した際、主役の名前がエミーから羅生門エミーに変更されているという点、大した違いではありませんが参考までに記しておきます。

 このまま終わっていれば「BOMBER GIRL」は異色作の一言で片づけられてしまう作品にされてしまったでしょうが、連載強制終了から6年後、少年画報社が「BOMBER GIRL」を復活させてくれました。
 新たな連載誌は同社の青年向け漫画雑誌『ヤングコミック』です。不定期連載で約2年近く連載されました(最終回の掲載号が確認できず、詳しい連載終了時期は未詳)。
 タイトルが「BOMBER GIRL CRUSH!」となっているものの、内容は「BOMBER GIRL」と大差ありません。もっとも、掲載誌の性質上、エロチック描写は濃厚になっていますが……。
 2004年には『ヤングコミック』から『ヤングキング』へ移籍(?)し、シリーズ第3作「BOMBER GIRL XXX」が連載されています。

 私見になりますが、全3部作のうちで最もエロスに満ちているのが第2作「BOMBER GIRL CRUSH!」だと思います。
 自慰シーンあり、股裂き攻撃あり、強姦ギリギリのピンチあり、股間アップの描写あり。
 青年誌連載という事でサービス精神が存分に発揮されたのか、敵なしの強さを誇る羅生門エミーのピンチシーンが存分に味わえました。

 残念ながら『BOMBER GIRL CRUSH!』のコミックス全3巻は絶版となっており、中古書店でも揃いで見かけません。
 扇情的な紹介文だけで具体的な例を示さないのも不親切なので、コミックス全3巻から厳選した羅生門エミーのピンチシーン&お色気シーンの画像を幾つか貼り付けます。


・VSメデューサ
メデューサ・マムシビッチの術中にハマったエミーに危機が迫る
メデューサの罠にハマったエミーは淫乱な行為を強制的にさせられる……. メデューサの催眠術に操られるエミーは自分の乳房を刺し、絶体絶命のピンチに追い込まれた
(C)にわの まこと/少年画報社

・VS重機甲(立花)
重機甲・立花のタックルはエミーを軽々と吹っ飛ばす
(C)にわの まこと/少年画報社

・VS重機甲(吉本)
いやらしい表情でエミーの華奢な体を絞めつけようとする重機甲・吉本 重機甲・吉本の攻撃に苦戦を強いられるエミー 首が取れながらもエミーへの股裂きを止めない重機甲・の吉本
(C)にわの まこと/少年画報社

・VS里鎖(リサ)
里鎖・ミンクスとの戦闘中、TV放送用カメラで秘部のアップを録画されたエミーは顔を赤らめて恥ずかしがる
(C)にわの まこと/少年画報社

麗しき淑女達の肖像

『GIRLS of STEAMPUNK』第1号カヴァー

 上の画像は、イラスト集『GIRLS of STEAMPUNK』第1号のカヴァーです。
 ヴィクトリア朝時代の風俗をイメージしたであろう美しい女性達の姿が複数のイラストレーターの筆によって描かれています。
 ジャケットには第1号と記されています(「#1」が第1号の意味)が、続刊は確認できていません。
 セクシーショットのイラストが占める割合(パーセンテージ)は低く、なかなか癖のある絵柄揃いではありますが個人的には気に入っている一冊です。

 基本的には立ちポーズとなっており、どちらかと言えばキャラクターデザイン集のような内容でした。
 すぐにでも漫画作品のヒロインとして起用できそうなキャラクターが多く、中には見開きサイズで描かれた女性もいます。
 イラスト集という事で説明すべき点が極めて少ない為、本誌所収の「お気に入りイラスト」3枚を紹介するに留めさせて下さい。
 安易な方法に逃げたようで恐縮ですが……。多少なりとも『GIRLS of STEAMPUNK』に描かれている独特のエロスが伝われば幸いです。

衣裳を切り裂かれた女性麗剣士 獰猛な獣を追い払おうとするパンティ一枚の美女 メイド達の休息

覆面レスラーシール第*弾最新情報 連作「ラーメン軍VSメン魔軍」シリーズ一挙公開

 あの【覆面レスラーシール】が21世紀の日本に帰ってきました!
 メインキャラクターは数多くの青少年を悩殺した最強の美人レスラーであるクイーン火美子。
 公式商品ではなくpixivユーザーの共作によるシール形式の連作イラストですが、長い沈黙を破って【覆面レスラーシール】が復活しました(個人作製のオリジナルシールが通信販売や個人取引によって売買・交換されており、厳密には「長い沈黙を破っての復活」と言えませんが……その辺は大目に見て下さい)。
 まぎらわしい記事タイトルですが、つまりは【覆面レスラーシール】を題材にしたイラスト紹介なのです。
 本作のストーリー構成は新京史朗、イラストはめえそん氏が担当しました。

 共作イラスト誕生の発端は今夏にまで遡ります。
 7月から8月にかけ、pixivにおけるめえそん氏とのメッセージ交換で「ラーメン軍団全滅の危機にクイーンが自らリングへ上がり、人外レスラーとのミックスファイトに挑むものの、仲間は次々と倒され、苦戦しながらも1対多数の死闘を制する」王道的なヒロピン場面を主題にした連作イラストの話が持ち上がり、こちらで練ったアイディアをめえそん氏にイラスト化して頂く事となったのです。
 漠然としたアイディアしか提示できなかったものの、めえそん氏は【覆面レスラーシール】の体裁をしたイラストに仕上げ、完成度の高い連作として再現して下さいました。

 全6種類合計14枚で構成された「ラーメン軍VSメン魔軍」シリーズのイラストを一挙公開しますので、現代に甦った【覆面レスラーシール】を存分にお楽しみ頂ければ幸いです。
 なお、各イラストは左から1枚目,2枚目,3枚目の順番になります。
 アップロードできる画像の容量制限により、イラストサイズの縮小を余儀なくされました。フルサイズのイラストはこちらから御覧頂けます(オリジナルサイズでの閲覧にはpixivへの登録が必要となります)。

聖・魔ドンナ来襲
闘え!ラーメン軍
完全なる敗北
クイーンの帰還
クイーン敗北!?
不屈の闘志
(C)めえそん


 めえそん氏によるキャラクター解説ですが、「青髪のお姉さん「聖・魔ドンナ」、金髪ロング娘「Miss・ラーメ」、お団子娘「蓮華狼子」というキャラ。色がわからずほとんど適当になってます。男どもはオリジナルです」との事。マイナーな女性レスラーへのリョナ描写も忘れておらず、まさに痒い所へも手が届く仕上がりを見せています。
 参考までにストーリー案も以下に記しておきますので、イラストの詳細解説として御利用下さい。


1.聖・魔ドンナ来襲
 【1枚目】ラーメン道場への襲撃機会を伺うメン魔軍の刺客(しかく)
 【2枚目】扉を蹴り破って道場に乱入する敵軍。

2.闘え!ラーメン軍
 【1枚目】不意をつかれながらもラーメン軍のレスラーが応戦。
 【2枚目】メン魔軍の刺客に苦戦するラーメン軍のレスラー。

3.完全なる敗北
 【1枚目】レッグスプリットを極められたMiss・ラーメ。
 【2枚目】奮戦虚しく関節技でKOされる。

4.クイーンの帰還
 【1枚目】自軍道場に帰還したクイーン火美子。
 【2枚目】「こいつも血祭りに挙げろ」と部下に命令する聖・魔ドンナ、突然の敵襲に焦るクイーン火美子。

5.クイーン敗北!?
 【1枚目】二人がかりでクイーン火美子に股間攻撃を仕掛ける。
 【2枚目】首・腹・股間を同時に責められ悶絶するクイーン火美子。
 【3枚目】グロッキーなクイーン火美子の背中に乗り、勝利宣言をする聖・魔ドンナ。

6.不屈の闘志
 【1枚目】クイーン火美子が潜在パワーを解放し復活。聖・魔ドンナを振り落とす。
 【2枚目】一斉攻撃を仕掛けようとするメン魔軍の刺客を睨みつける。
 【3枚目】必殺技「シナチク・スペシャル」でメン魔軍の刺客を撃退。女王の意地を見せた。

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Author:新 京史朗
好きな技(1):バスター技
好きな技(2):股裂き関節技
好きなシチュエーション:リョナ

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