FC2ブログ

2010-12

「黄昏タイムス」を御訪問下さった皆様へ

 2010年4月18日に開設した当ブログも訪問者皆様に支えられ、どうにか年越しまで継続する事ができました。
 1日平均のアクセス数が70件を超え、このようなブログにも需要があると分かりホッとしております。

 夏以降はpixiv登録者の方に御協力頂き、いろいろなテーマで特別企画が行えました。
 特に「秋の連続企画 麗しき巨大ヒロイン「ウルトラレディ」」は人気が高かったようで、この時期は1日のアクセス数が通常よりも増えています。

 来年の予定ですが、「Kuromaruが使う開脚バスターを扱った「MUGEN」コンテンツの充実」,「ウルトラレディのファンアート紹介継続」,「バスター技と関節技を中心とした、リリのリョナイラスト紹介継続」の3点に焦点を当てたいと思っております。

 今年最後の更新は御挨拶となりましたが、来年は年明け早々から漫画紹介を行う予定です。
 タイトルは来年のお楽しみと言う事で伏せておきますが、「戦うシスター」がテーマとだけ記します。

 2011年は更新頻度が下がるかも知れませんが、引き続きの御愛顧、どうぞよろしくお願い申し上げます。



【付記】
 せっかくの機会(?)なので、当ブログのタイトル由来記を簡単に書いてみようと思います。
 と言っても深い意味はありません……。
 どのようなブログタイトルにするか考えていた時、傍らにあった『青春タイムス』というカストリ雑誌が目にとまり、そこから「タイムス」を頂戴して、好きな単語「黄昏」を前に付けた。
 もったいぶる程の事もなく、このような経緯で「黄昏タイムス」が誕生した次第です。
 ブログタイトル由来記、よって件の如し。
スポンサーサイト
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
[PR]

加虐趣味の人情家親分(横溝正史「まぼろし役者」より)

【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」  開催中
【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」
(C)バラピ/number10/カエル/RAW/00/つるMK-3



 横溝正史氏が昭和13年から昭和43年にかけて発表した「人形佐七捕物帳」は作品総数180編を数え、今でも往年の横溝正史ファンに愛読者が多いシリーズです。
 現行本で読める作品は少ないのですが、時代小説を骨格にした探偵小説としても読める為、金田一耕助探偵譚しか知らない横溝ファンが手にとっても楽しく読める事でしょう。
 怪奇的な事件、エロチックな事件、ユーモラスな事件、人情の機微を描いた事件。バラエティ豊かな作品が揃っており、横溝氏のストーリーテーラーとしての腕前も存分に発揮されています。

 主人公の人形佐七は若いながらも分別に富んだ岡っ引きであり、事件関係者への配慮から自分の手柄を捨てる事も何度かありました。
 二人の乾分からは尊敬され、町人からは慕われる理想的な親分ですが、こんな人情家の佐七にも意外な性癖があります。
 その性癖とは今で言うサドっ気。つまり加虐趣味です。
 ある事件の下手人を追い詰めた際、人形佐七は心の奥底に秘めた意外な一面を露わにしました。


 うつくしい女の狂うように苦しむさまは、佐七になにかしら、いっしゅ残酷な快感をおぼえさすのだった。
【中略】
 だが、佐七の心はもう動かない。
 秘密を―世にもおそろしい秘密を、看破したもののみがしる快感が、かれの心を残酷にかきたてるのだ。

≪春陽文庫『人形佐七捕物帳全集9 女刺青師』P193≫


 美しい下手人を追い詰める事で残酷な快感を覚える人形佐七。うがった見方かも知れませんが、この時の心理状態にはサディストの傾向が感じられます。

 どんな人にも欠点があるように、人形佐七も完全無欠のスーパーヒーローではありません。
 腕のいい岡っ引きであり、人情家であり、乾分思いの親分であると同時に、女性にだらしがないという人間味溢れる性格設定がされています。
 こうしたキャラクター造型の一環として加虐趣味の性癖が設けられたと仮定するのは、牽強付会な考え方でしょうか……。

妖しく淫らな美女

【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」  開催中
【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」
(C)バラピ/number10/カエル/RAW/00/つるMK-3



 横溝正史氏の最晩年作品「悪霊島」が角川書店の月刊誌『野性時代』へ連載されたのは昭和54年から昭和55年にかけての事です。
 結腸ガンにより横溝氏が逝去されたのは昭和56年12月28日の事ですから、「悪霊島」が生前最後の長編作品となりました。
 本作の時代設定は日本の高度経済成長期後半にあたる昭和42年です。

 アメリカ帰りの金満家から人探しを依頼された金田一耕助は瀬戸内海の刑部(おさかべ)島を訪れますが、ここで恐ろしい連続殺人事件に遭遇します。
 悪霊に憑かれた島で続発する不気味な事件。
 瀕死の男が絶命間際に遺した言葉「鵺のなく夜」と「平家蟹の子孫」に秘められた真実を追い、金田一耕助は探索の手を過去へ求めて東奔西走し、遂に惨劇の真相を明らかにしました。

 原作は今でも新刊で手に入る為、詳しい内容紹介は避けますが、とても喜寿を過ぎた作家が書いたとは思えないくらい完成度の高い長編に仕上がっています。
 冗長な部分がない事もありませんが、物語全体を覆う怪奇的な雰囲気は「八つ墓村」や「獄門島」で横溝正史作品を知ったファンには最高のシチュエーションでしょう。

 本作は複数の作家によって何度か漫画化されていますが、最も早いのは原作と同時進行の形で『週刊平凡』へ連載された作品です。
 作画は前田俊夫氏が担当され、構成は橋本一郎氏が担当されました。
 雑誌連載完結後、双葉社より『ACTION COMICS 悪霊島』として上下巻の2冊本として出版されています(巻末に収録された橋本一郎氏の「劇画『悪霊島』を構成して」によれば、単行本化の際に雑誌連載分を編集し直したそうです)。

双葉社『ACTION COMICS 悪霊島(上・下)』カヴァー
(C)横溝正史/前田俊夫/橋本一郎/双葉社

 往年のアニメファンであれば、作画担当としてクレジットされている前田俊夫の名前に反応される事でしょう。
 前田氏の成人向け漫画を原作とする「超神伝説うろつき童子」シリーズや「淫獣学園」シリーズは触手責めを随所に描いたアダルトアニメとして知られ、今でも根強いファンがいるようです。
 多くの名作を世に送り出した巨匠は今でも現役で活躍しておられ、今夏には公式ブログも開設されました。
 往年の人気漫画家が次々と世を去る中、まだまだ前田氏には後輩漫画家に刺激を与える大先輩として活躍して頂きたいと思います。

 閑話休題。
 妖艶な美女や幼さの中に色気を醸し出す少女を描くのが得意な前田氏らしく、この漫画作品で描かれる女性達もお色気満点の美人揃いでした。
 最重要人物である刑部巴(巴御寮人)は美しさの奥に隠された淫靡な性格が全身から漂う女性に描かれ、双子の美人姉妹として事件の渦中に登場する刑部真帆と片帆は現代的な少女像と古風な少女像を見事に融合させた少女として描かれています。
 余談ですが、劇中には刑部真帆のセーラー服姿も描かれており、クライマックスの洞窟探検にはセーラー服のまま参加しています。残念ながら、パンチラショットは見られませんが……。

刑部巴(巴御寮人) 刑部姉妹
(C)横溝正史/前田俊夫/橋本一郎/双葉社
セーラー服を着た刑部真帆
(C)横溝正史/前田俊夫/橋本一郎/双葉社

 解決編となる下巻には刑部巴が男に犯されるシーンが数多く見られます。
 これは私見ですが、歓喜に悶えるような表情で犯される姿に美的センスの良さを感じました。
 涙と汗、そして呻き声。一つとして無駄のない描写が官能的な場面を見事に演出しています。

巴の痴態(1) 巴の痴態(2)
(C)横溝正史/前田俊夫/橋本一郎/双葉社
巴の痴態(3) 巴の痴態(4)
(C)横溝正史/前田俊夫/橋本一郎/双葉社

 今から30年近く前に刊行された大判コミックスなので入手は難しいかも知れませんが、古書店で見かけた際、前田俊夫ファンの方ならば迷わず購入される事をお薦めします。


悪霊島 (上) (角川文庫―金田一耕助ファイル)悪霊島 (上) (角川文庫―金田一耕助ファイル)
(1981/05)
横溝 正史

商品詳細を見る
 ※原作「悪霊島」の文庫本(上巻)。
悪霊島 (下) (角川文庫―金田一耕助ファイル)悪霊島 (下) (角川文庫―金田一耕助ファイル)
(1981/05)
横溝 正史

商品詳細を見る
 ※原作「悪霊島」文庫本(下巻)。
悪霊島 [DVD]悪霊島 [DVD]
(2005/03/02)
鹿賀丈史、室田日出男 他

商品詳細を見る
 ※映画「悪霊島」(主演・鹿賀丈史)
金田一耕助シリーズ 悪霊島 [DVD]金田一耕助シリーズ 悪霊島 [DVD]
(2004/09/24)
古谷一行、谷啓 他

商品詳細を見る
 ※ドラマ版「悪霊島」(主演・古谷一行)

悪霊と戦う美少女霊能力者

【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」  開催中
【冬の連続企画】連載SS「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」
(C)バラピ/number10/カエル/RAW/00/つるMK-3



 心霊研究家としても知られる漫画家のつのだ じろう氏が1990年から1993年にかけて『サスペリア』(現『サスペリアミステリー』)へ連載した「恐怖新聞Ⅱ」は、つのだ氏の代表作である「恐怖新聞」の続編にあたる作品です。
 読むと寿命が縮まる【恐怖新聞】に関わりをもった人々の不幸な未来や恐怖を描いた「恐怖新聞」はマルチメディア展開する程の高い人気があり、21世紀になってからも「恐怖新聞 平成版」や西条真二氏によってリメイクされた「キガタガキタ」が発表されています。
 後者は2009年に読切形式で『週刊少年チャンピオン』へ掲載された後、今夏よりレギュラー作品に昇格して連載が開始されました。

 人間界に恐怖と絶望をもたらす【恐怖新聞】を撲滅させるべく、本作には地獄の使者に敢然と立ち向かうヒロインが登場します。
 彼女の名前は九重みやび
 個人の名前ではなく合体霊魂の名称で、霊気を表へ出す事によって姿が変わり、そのうちの一人に女性体が存在します。
 髪形はセミロング。スカート衣装の制服姿で【恐怖新聞】を発行する地獄の敵や悪霊と戦います。

九重みやび(女性体)
(C)つのだ じろう/秋田書店

 物語中盤まで「恐怖新聞Ⅱ」の主人公は本堂幽子と田垣史人の2人でしたが両人は途中で死亡。幽界で幽子と田垣の霊魂が合体し、新主人公として霊能者の九重みやびが誕生しました。
 作品タイトルも「真・恐怖新聞」となりますが、コミックスでは最終巻まで『恐怖新聞Ⅱ』で統一されています。

 地獄での最終決戦となる第6巻には、女性体のみやびが悪霊や牛鬼との戦いで傷つき、苦しむ場面が見られます。
 制服姿のみやびが太腿を露わにパンチラ寸前のポーズで水の中に引きずり込まれたり、地獄の業火に焼かれて苦悶したり、崩れ落ちる岩の下敷になったり、ピンチに陥る場面は見応えがありました。
 霊能者と悪霊のバトル物となる終盤の展開に違和感を感じる往年の「恐怖新聞」ファンもいるようですが、前作からの熱心な愛読者でなければ違和感なく読めると思います。

悪霊の罠にハマり池へ突き落とされる 渦潮に呑まれて水中へ引きずり込まれる
(C)つのだ じろう/秋田書店
みやびの体を地獄の業火が包む 地獄の業火に焼かれ絶体絶命
(C)つのだ じろう/秋田書店
苦戦の末に牛鬼を倒すが、崩れ落ちる岩の下敷きになってしまう
(C)つのだ じろう/秋田書店
人間界への転生前に最後の危機がおとずれる
(C)つのだ じろう/秋田書店

 本作は秋田書店からコミックスが刊行され全6巻で完結しました。現在は絶版になっているものの、極度に入手困難という訳ではありません。
 ベテラン漫画家の作品だけあって物語の骨格はしっかりしており、完成度の高い恐怖漫画としても読めるので、興味があれば購入して読んでみて下さい。ピンチ場面を抜きにしても、お薦めの作品です。

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~最終話~

【前回まで】
 遂に姿を現した面魔軍団リーダーのシャドーX。奉納試合に使われる巨大リングの上でシャドーXと対峙したクイーン火美子は満身創痍の体に鞭打って戦いを挑むが、殺人技のフルコースで絶体絶命の危機に陥る。敗北を覚悟した時、聖闘神(アバンメーラ)から授かった【St.アバンメーラの紋章】が輝きを放ち、勇者の碑を明るく照らし始めた。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



「ぐあぁぁ。ま、まぶしい」
 まばゆい輝きを放つ【St.アバンメーラの紋章】。その光は太陽のように明るい。
 全身に光を浴びたシャドーXは悶絶しながらリングの上を転げ回り、逆に火美子は疲労が回復して体中には力がみなぎってくる。
「これは……聖闘神(アバンメーラ)の御加護か」
 この不思議な現象が数分は治まり、碑の内部は再び薄暗い陰気な世界に戻った。
「今までのダメージが回復している」
 聖闘神の奇跡で完全復活した火美子。一方、シャドーXはリングの片隅で片膝を立てながら苦しげに呻いている。
「ぐぅぅぅぅ。や、闇の衣が……。あの光のせいか」
 暗くて姿がハッキリ見えないが、辛うじて見えるシルエットは先程までの姿と異なっている。
「どうやら、本当の姿を現したようじゃの。さあ、決着をつけようぞ」
「ぐむむむ。こ、この土壇場で正体を見せる事になるとは」
「ゴチャゴチャと何を言っておる」
「まあいい。窮屈な闇の衣にはウンザリしていたところだ。生身で鍛錬の結果を試すチャンスでもあるしな」
 自信満々の声と共にシャドーXがリング中央に姿を現したが、その容姿は全く別人だった。
 悪魔のように凶悪な面構え。大きく見開いた第三の目。吸血鬼のように延びた牙。
 全身タイツ姿だったシャドーXとは似ても似つかない。
「お、お主は、面魔ラザーニ」
「久しぶりだな、シナチクQUEEN。いや、クイーン火美子と呼ぶべきか」
「まさか面魔軍団の首領が前座レスラーの面魔ラザーニとは思わなんだ」
「くっくっく。俺が前座レスラーだったのは遠い過去の話。貴様が現役だった頃の事だろう」
「フッ。基礎体力トレーニングすら耐えられず、ヒィヒィ言っていた軟弱者が20年以上もレスラーを続けていた事に驚いておるのじゃ」
「噛ませ犬だったのは遠い昔の話だ。今の俺は面魔軍団のボスに相応しい実力がある。貴様を血祭りに上げ、まずは【王者の剣】を頂戴する」
「世迷言を。そのように思いあがった考え、ワシが成敗してくれる」
「フン。桃太郎が鬼を退治できるとは限らないぜ。逆に俺が貴様を成敗してくれる」
 正体を現した面魔ラザーニと火美子はリング中央でガッシリと組み合い、そのまま力比べとなった。
「グムゥゥ」
「うぬッ」
 互いに一歩も引かない力比べだが、そこは戦いの年季。
 このままでは無駄に体力を消耗すると考えた火美子は体を反らし、相手の押す力を利用して面魔ラザーニの体を巴投げで投げ飛ばした。
「うおぉぉ」
 投げ飛ばされた面魔ラザーニの体はロープの反動でリング中央へ戻され、その顔面に火美子はシャイニングウィザードをくらわせた。
 ゴキッ。
「ぐおぉぉ」
「これで終わりと思うでないぞ」
 うずくまる面魔ラザーニの頭部を腋に抱え込むと、真っ逆さまに持ち上げて後ろに倒れ込んだ。火美子のブレーンバスターが綺麗にきまる。
 バゴン。
 「ギャァァァ」
 マットに背中を強打した面魔ラザーニは悲鳴をあげた。
 チャンスがあれば一気呵成に攻めるべし。皮肉にも面魔ラザーニは自分の兵法によって劣勢へ追い込まれたのだ。
 火美子の攻撃は休む事を知らず、現役時代を彷彿とさせる豪快な大技を次々と面魔ラザーニにきめていく。
 スプラッシュマウンテンエースクラッシャーコークスクリューネックブリーカー
 大技を三連発でくらった面魔ラザーニは半死半生の状態でリングの上に倒れた。
「これで終わりじゃ。ワシが貴様の野望に引導を渡してやろう」
 火美子は面魔ラザーニの背後に回り込むと両脇の下に自分の両腕を通し、首の後ろでガッシリと両手を組んだ。両肩と首をロックしたまま後方にブリッジして反り投げ、面魔ラザーニを後頭部からマットに叩きつける。
 ドスン。
「グギャァァ」
 ドラゴンスープレックスが見事に炸裂。断末魔にも似た悲鳴をあげる面魔ラザーニに構わず、火美子は体を起こし、再び面魔ラザーニの後頭部をマットに叩きつける。
 ドスン。
「グオォォォ」
(くそぉ。お、俺の実力ではクイーン火美子に勝てないと言うのか。悔しいが邪神イットスムラガの力を借りるしかない)
 ドラゴンスープレックスの連発で反撃する力を失った面魔ラザーニは虚ろな目で天井を見つめながら呼吸を整え、小さな声で呪文らしき言葉を呟き始めた。
(こやつ、何を呟いているのじゃ。頭へのショックで気が動転したか)
 その時、面魔ラザーニの全身から黒いオーラが立ちあがったかと思うと、バネ仕掛けの人形のようにスックと体を起こした。
「な、何が起こったのじゃ」
「グフフフフ。よくもやってくれたな。今度は俺の番だ。貴様がアバンメーラの加護を受けたのならば、俺は邪心イットスムラガの力を借りたのだ」
「イットスムラガじゃと」
「貴様が知る必要はない」
 言葉が終わると同時に面魔ラザーニの姿が消えたかと思った直後、その体は瞬間移動のように火美子の目の前にあった。
「なにッ」
 ニヤリッ。
 不敵な微笑(えみ)をうかべた面魔ラザーニは目にもとまらない素早さで火美子の体を肩に抱え上げた。五所蹂躙絡み(マッスルバスター)の態勢である。
 全身の関節に大ダメージを与える技を掛けられた火美子だが、冷静沈着に、
「馬鹿め。同じ技は二度とくらわぬ。この技の弱点は首のロック。そこを……」
「そこを外せば脱出可能と言うのだろう。だがな、この技はアルティメット・マッスルバスター。進化した五所蹂躙絡み(マッスルバスター)に弱点はない」
「何じゃと」
「くらえッ! アルティメット・マッスルバスター
「うあぁぁぁ」
 ロープの反動なしで空中高く飛び上がった面魔ラザーニは自分の体を回転させながら、肩の上に乗っている火美子の頭部を大きく開かせた相手の右足と自分の頭で挟み込んだ。
「うくッ。く、首が動かない」
 勢い良く回転する遠心力と左右から挟まれる力で首のロックが外れない。
 もう少しで天井に激突するという所で面魔ラザーニは器用に体の位置を反転させる。
 ガゴン。
「ぐはッ」
 体の上下を反転させた事により、天井へ着地する形で五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまった。
「まだまだ終わりじゃないぜ」
 重力で体が落下し始めると、またも体を回転させながら強引に進行方向を横に転換させた。
(くッ。今度は壁か)
 火美子の予想通り、今度は壁へ着地する形で二発目の五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまる。
「はあぁぁん」
「これで終わりだぁ」
 残る着地点はリングの上のみ。今度は重力に身をまかせながら体を落下させる。
 着地寸前に火美子の両足を大きく開かせると、股裂きの格好で三発目の五所蹂躙絡み(マッスルバスター)がきまった。

闇の力を得て復活した面魔ラザーニの反撃
全身の関節を徹底的に痛めつけられた火美子はマットの上に倒れ込む
(C)つるMK-3

「ぐはあぁぁぁぁ」
 ドスン。
「か……はッ」
 強烈な技を三連発でくらった火美子。技が解いた体がマットの上に倒れ込む。
 ズシャア!!
「……」
 体をピクピク痙攣させながら弱々しく呼吸する火美子。
(ワシとした事が油断したばかりに……。聖闘神の加護を得ながら、この体たらく。こ、このままでは申し訳がない)
 全身の関節にダメージを受けたせいか少しでも体を動かすと体中に激痛がはしる。意識はあっても体が思うように動かない。
「うぐぅぅ」
「まだ意識があるのか。さすが打たれ強さもピカ一だな」
「聖闘神の巫女として……【王者の剣】を渡しはせぬ」
「ふん。そんな体で何ができる。惨めたらしく這いつくばりながら死ぬがいい」
 眼下に火美子を見下しながら、面魔ラザーニは左足を高くあげた。このまま、火美子の頭を踏みつぶすつもりらしい。
「死ねぇぇぇ」
「うあぁぁぁ」
 気合と共に渾身の力を振り絞って立ちあがった火美子は、面魔ラザーニの踵落としを肩で受け止め、全身全霊を込めた崩拳を相手の腹部に叩き込んだ。
 ボグッ。
 聖闘神から与えられた神秘のエネルギーも加わり、常人の打つ崩拳の威力を遥かに凌駕する技は凄まじい威力を発揮し、面魔ラザーニの体をリングの端まで吹き飛ばした。
「ギャァァ」
 ブチ。ブチ。ブチ。
 その威力は予想以上に強くロープまで切断。絶叫を響かせながら、面魔ラザーニの姿は闇の底へ沈んで行った。


 気がつくと、火美子は大きなベッドの上に寝ていた。
「こ、ここは」
「気がつかれましたか。火美子様」
「鈴子か。ワシは一体……」
「火美子様が勇者の碑へ向かわれた後、国際プロレス本部と我無羅殿から援軍が到着したので、私と警備兵は火美子様の応援に駆けつけたのです。碑の前では侵入者らしき男と屋台ラーMENが気を失っており、内部には花嫁衣装の女が意識不明の状態で発見されました」
「もう一人、三つ目の男はいなかったか」
「三つ目の男。いいえ、そのような者は見当たりませんでした」
「そうか」
「ですが、碑の内部には大きな血溜まりができており、そこから森の中に向かって血の跡が点々と残っておりましたので、おそらくは逃げ出したのものと思われます」
(逃げたか)
「リングの上には火美子様が倒れており、いくら呼んでも反応がありませんでしたので、救急医療班の助けをかりてラーメン神殿の救護室へお運びしたのです」
「それだったのか。すまぬな」
「そんな、当然の事です」
「詳しい事は後で話す。今は眠らせてくれぬか」
「かしこまりました。ゆっくりとお体をお休め下さい」
「うむ」
 Who鈴子の姿がドアの向こうに消えると同時に火美子は深い眠りについた。
 一つの大きな戦いを終えたクイーン火美子は、ひとときの安らぎを求めて静かに体を休める。
「クゥー。クゥー」
 数年後、今度は【神のベルト】を賭けて面魔軍団やビーナトロンと激しい戦いを繰り広げる事になるが、未来の因縁を今の火美子が知る筈もなかった。



【あとがき】
 総勢6名の絵師から御協力を頂いた特別企画も無事に終了しました。7日間に亙る連続企画は始めての試みでしたが、どうにか乗り切る事ができてホッとしています。
 今回の企画は非常にマイナーなキャラクターを扱った内容でしたので、ボランティアに近い形で新作を御提供して下さった皆様のおかげで成功したと言っても過言ではありません。
 細かい注文に応じ、当ブログの趣旨に沿った内容でクイーン火美子のイラストを描いて下さったカエル氏,00氏,つるMK-3氏,number10氏,バラピ氏,RAW氏には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 また、御都合主義と後付け設定満載のSSに最後まで目を通して下さった訪問者にも感謝致します。



【付記】
 本文中、幾つか他の作品から名称を借りた単語がありますが、それぞれの元ネタは下記の通りです。

 ・王者の剣:正義の剣(アニメ「キン肉マン 正義の剣篇」より)
 ・禍眼破眼(カメハメ)52の殺人技:カメハメ48の殺人技(ゆでたまご「キン肉マン」より)
 ・一寸棒死:一寸棒死(猿渡哲也「高校鉄拳伝タフ」より)
 ・シャドーX:シャドーX(西村京太郎「十津川警部 影を追う」より)
 ・ホワイト苦陰:White Queen(アメコミ「X-MEN」より)
 ・ヒデブ:ひでぶ(武論尊/原哲夫「北斗の拳」より)
 ・花と蛇:団鬼六『花と蛇』より
 ・邪眼光(デビルライト):アブショックライト(アニメ「大空魔竜ガイキング」より)
 ・開脚スープレックス:大人のジャーマン(ゆでたまご「キン肉マンⅡ世」より)
 ・闇の衣:闇の衣(ゲーム「ドラゴンクエストⅢ ~そして伝説へ~」より)

 本作のシンボライズアイテムとして設定した【王者の剣】ですが、名称だけの存在に始終してしまいました。【正義の剣】のように不思議な力で主人公を助けるような使い方も考えていましたが、その切り札を【St.アバンメーラの紋章】で用いてしまったのが原因です……。



【イラスト執筆者一覧(五十音順・敬称略)】
カエル
00
つるMK-3
number10(WEBサイト「葉隠」)←自作イラストのオリジナルSS掲載。
バラピ
RAW(ブログ「賢者のお時間」)
 ※名前部分をクリックする事で、pixiv内の登録ページへアクセスできます(ただし、フルサイズでのイラスト閲覧や投稿イラスト一覧を見るには、サイトへの登録が必要です)。

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~第5話~

【前回まで】
 勇者の碑に安置される我無羅神皇三神器の一つ【王者の剣】の強奪をもくろむ面魔軍団。ラーメン島を統治するクイーン火美子は聖闘神(アバンメーラ)の巫女として神器を狙う刺客と一人で戦い続けたが、遂に力尽き、ホワイト苦陰の必殺技「花と蛇」によって意識を失ってしまった……。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



「うッ……うぅぅぅ」
 どれくらいの時間が過ぎただろう。意識を取り戻した火美子はゆっくりと起き上がった。
 貧血状態のように体がフラフラする。
「し、しまった。奴は……ホワイト苦陰は」
 記憶が寸断される直前まで、自分は面魔軍団の刺客と戦っていた事を思い出した火美子は敵の姿を求めて辺りに視線をはしらせた。
(ま、まさか。手遅れか)
 気を失っている間に【王者の剣】を奪われたのではないかと危惧した火美子はマントを脱ぎ捨て、疲労困憊の体に鞭打って走り出した。
 前にも述べたように、碑の内部は人の手によって加工され空洞になっている。
 入口から数メートルの位置には1000段以上ある長い階段が作られ、それを登りきった頂上には小さな縦穴が削られている。面魔軍団が狙う【王者の剣】は縦穴の中に安置されており、そこへの足掛かりとして10メートル四方の神聖なるリングがあった。
 このリングは奉納プロレスを行う為に設置され、年に一度、ラーメン軍団の若手レスラーが【王者の剣】の前で試合をする事になっている。
 普段ならば何ともなしに階段を登る火美子だが、今日は連戦による疲労と背中のダメージ、意識不明の状態から目覚めたばかりというハンディキャップがあるせいか思うように足が動かない。
 どうにか800段近くまで到達した時、断末魔に近い悲鳴が頭の上から聞こえてきた。続いて、黒い物体が地面に向かって落ちていく。
「何かリングから落ちたようじゃが……。まさか!」
 嫌な予感を覚えた火美子は渾身の力を振り絞り、残る階段を一気に駆け登った。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ」
 やっとの思いで階段を登りきり、リングの上に降り立った火美子。肩で息をしながら広いリングを隅から隅まで見回す。
「あれは!」
 彼女が見たのは、今まさにリングを渡りきって【王者の剣】を手に取ろうとする人影だった。
 リングには新しい血痕が花弁を散らした牡丹のように付着しており、少し前まで激しい戦いが繰り広げられていた事をものがたっている。
 採光用に穿たれた思われる格子状の穴から差し込む陽光が陰惨な試合の痕跡を照らす。
「その剣に手を触れるでない」
「ふん。もう目が覚めたか。思ったよりも早い回復だったな」
 背後の声に反応した黒い影は溜息をつきながら、こちらへ振り向いた。
「お主が面魔軍団とかいう新団体の親玉じゃな」
「そうだ。面魔軍団を束ねるシャドーXとは俺の事だ」
「我無羅神皇三神器を狙っておるようじゃが、聖闘神(アバンメーラ)の巫女として、ワシの目が黒い限り【王者の剣】は渡さぬ」
「ホワイト苦陰ごときに敗れながら随分と大口を叩くじゃないか」
 嘲るような口調で火美子を馬鹿にしながら、シャドーXは言葉を続けた。
「貴様が手も足も出なかったホワイト苦陰は俺が始末した」
「すると、さっき地面へ落下して行ったのは……」
「ホワイト苦陰だ。我が軍団へ接触してきた時から信用できなかったが、思った通り下心があったようなんでな。俺が自ら制裁を加えたまでよ」
「奴の一人語りから【覇王の鎧】と【神のベルト】の所在地が分かった今、獅子身中の虫に用はないと言う事か」
「そうだ。三つの神器に秘められた我無羅殿八人衆の叡智・理力・腕力が手に入れば、我が面魔軍団は銀河を支配する事もできる。国際プロレス協会、銀河プロレス、ビーナトロン、宇宙プロレス連合。どんな団体だろうと敵ではない」
「お主の野望を知ったからには、なおさら【王者の剣】を渡すわけにはいかぬ」
「ケッ。そんな状態で俺と戦おうとは身の程を知らぬ奴だ」
「どんな状況であろうとも、決して悪しき者に背を向ける事を許さず。それが聖闘神(アバンメーラ)の教えじゃ」
「こざかしい。弱り切った貴様なんぞ俺の敵ではない。くらえ! 邪眼光(デビルライト)
 突然、シャドーXの額から太陽光よりも明るい光線が発射され、火美子の両目から視力を奪った。
「くッ……。小細工を」
「正統派レスラー軍のシンボルだった女戦士のシナチクQUEEN。【王者の剣】への生贄にはピッタリだ」
 言い終わると同時にシャドーXは火美子の右手を蹴り上げた。
「あぐッ」
 雷門杖が手から離れ、遥か地面に向かって落ちて行く。
 右手を押さえながら見えざる敵に警戒する相手の背後へ廻り込んだシャドーXは、くびれた腰を両腕で素早くクラッチした。
「しまった」
「くらえぇぇ」
 シャドーXは火美子の体を後方に反り投げると同時にクラッチを解いて太股を抱え上げ、自分の全体重をかけてマットに激突させた。
 ドスン。

シャドーXの開脚スープレックスが炸裂
(C)バラピ

「ぐはぁ」
 開脚スープレックスが見事にきまった。
 技の衝撃でリングが揺れる。
 肩甲骨と頸椎激痛に大ダメージを受けた火美子は視力が戻らない目を大きく見開いた。目の前に迫る大きな胸と股間がボンヤリと見える。
(な、何と屈辱的な恰好だ。現役から遠ざかったとは言え、このような痴態を日に二度も晒す事になるとは……)
「まだまだ、これで終わりではない」
 シャドーXは恥ずかし恰好から立ち直れない火美子の急所を上から踏みつけた。
「あぁぁぁん」
 容赦ない一撃に大きく口を開けて喘ぐ火美子。

女性の急所へ容赦ない一撃を加えるシャドーX
(C)バラピ

「どうだ。ホワイト苦陰に蹴られた急所を追加攻撃された感想は」
「うッ……うぅぅ。な、なんて所を攻撃するのじゃ。この卑劣漢め」
「あらゆる戦闘において相手の弱点を攻める事は初歩の初歩。傷つくのが嫌ならばリングにあがる資格はない」
「うぐッ……」
「そして、もう一つ。チャンスがあれば一気呵成に攻め続ける」
 グロッキーな火美子の体を肩に抱え上げたシャドーXは、そのまま両足を強引に開かせた。
(こ、この態勢は……。まずい。なんとか技から逃れねば)
 必死に技からの脱出を試みる火美子。だが、首・肩・背中に受けたダメージによって体が思うように動かない。
「面魔地獄巡り、お次は五所蹂躙絡み(マッスルバスター)だ」

五所蹂躙絡み(マッスルバスター)によって各関節へ大ダメージを受ける
(C)バラピ

 大股開きの状態で火美子を担ぎ上げたシャドーXは、そのままロープの反動を利用して可能な限り高い所まで飛び上がった。
「いやぁぁぁ」
 火美子の悲鳴が響く。
 ドシィィィン。
「ぐはァァァ」
 技の着地と同時に再びリングが大きく揺れ、火美子は全身が千切れそうな衝撃を受けた。
「他愛ない」
 一言つぶやき、シャドーXは相手の体を不用品を投げ捨てるように放り投げた。
 リングの上に仰向けとなって横たわる火美子は弱々しく呼吸しながら、咳と一緒に透明な液体を吐き出した。
「ゴフッ。ゴフッ。ゲホッ」
(そ、想像以上の威力じゃ。体中の骨がバラバラになりそうな衝撃だ。ゆ、指一本すら動かせぬ)
「さて、そろそろ勝負を決めるとするか。この後には、国際プロレス協会本部と我無羅殿の襲撃も控えている事だしな」
 髪の毛を掴んで強引の火美子の体を引きずり起こしたシャドーXは鋼のような腕を鍛え上げられた火美子の首に巻きつけ、頸動脈を絞めあげる。
「くあぁぁぁ」
 可能な限りの力で体を動かし抵抗する火美子。だが、ガッシリと首に巻きついた腕は微塵も動かない。

疲労困憊の火美子はチョークスリーパーから脱出ができない
(C)バラピ

 ミシ。ミシ。ミシ。ミシ。
 チョークスリーパーで気管を絞められた火美子は呼吸困難に陥る。
 思考回路は鈍り、心身ともに限界へ達して半死半生の態である。
「このまま首の骨を砕いてやるぜ」
(くはぁぁぁ……。息が……苦しい)
 絶体絶命の窮地に立たされた火美子は敗北を覚悟し、優勢のシャドーXは勝利を確信した。
 この瞬間、火美子の大きな胸の谷間に埋まっていた【St.アバンメーラの紋章】が輝き始め、まばゆい光が勇者の碑を包み込んだ。


~最終話へ続く~

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~第4話~

【前回まで】
 新興勢力・面魔軍団リーダーのシャドーXは我無羅神皇三神器の一つ【王者の剣】を奪う為、三人の手先と共にラーメン島へ上陸。THE・魔ッスルとアイアン魔スクを倒したクイーン火美子は【王者の剣】が安置されている勇者の碑へと急いだ。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



 振り向いた視線の先に立っていた花嫁衣装の女性は不敵な微笑(えみ)を浮かべながら口を開いた。
「さすが無敵の女戦士と言われたシナチクQUEEN。この男には最初から期待していなかったけれど、こうも簡単にKOさせるとは驚いたわ」
「女……。ホワイト苦陰じゃな。なるほど、この美貌なら屋台ラーMENが油断して催眠術にかけられるのも無理ないわ」
「あら、私の名前を御存知とは驚いたわ」
「お主も面魔軍団の手先か」
「表面上はね」
「表面上?」
「そう。一応は面魔軍団に属しているけれど、実際はビーナトロン武装戦隊の所属よ」
 スラリと伸びた長い足で屋台ラーMENの体を横に蹴転がし、ホワイト苦陰は火美子に近づきながら話を続ける。
「ビーナトロンも前々から我無羅神皇三神器には目をつけていたのよ。でも、三つの神器の所在が分からず手を出しかねていた。そんな時、面魔軍団からビーナトロンに選手のスカウト話がきたわけ。連中は国際プロレスを潰してから宇宙プロレス界へも進出するつもりだから、その顔つなぎも含め、我らビーナトロンと連合を組もうとしたのね」
「ビーナトロンとは何者じゃ」
「銀河系の惑星統一を目的に結成された組織の事よ。だいぶ前に穏健派と武装派の間で争いがおこり、今では同じ組織内で対立し合っている状態にあるわ」
「なるほど。あわよくば面魔軍団で腕の立つ者を逆スカウトし、ついでに三神器を横合いから奪う。そんな算段があって、奴らの配下についたのじゃな」
「御名答。さすが伝統あるラーメン軍団のリーダーね」
「銀河プロレスの連中もビーナトロンの手先なのか」
「あんな腕力だけが自慢の単細胞と一緒にしないでよ。あいつらは金で雇われただけ。我々のように崇高な目的がある訳ではない、単なる暴れん坊よ」
「武力による惑星統一が崇高な目的か、笑わせる」
「勝てば官軍、負ければ賊軍。やるからには勝利しなければならない。穏健派のように話し合いだけで足並みの揃わない惑星同士を統制するなんて理想の夢物語よ」
「事の善悪について議論する気はない。ワシは【王者の剣】を守るのみ」
「プロレス界を引退して辺鄙な島で隠遁生活を過ごすロートルが私に勝つつもり。笑わせるわね」
「問答無用。ゆくぞ」
 連戦の疲れと背中の痛みに耐えながら、火美子は4戦目の相手に向かって行く。
「せいッ」
 薄暗い碑の内部に火美子の掛け声がこだまする。
 振り下ろされた雷門杖はホワイト苦陰の頭上を狙っていたが、相手は脳天ギリギリの位置で攻撃を受け止めた。
「真剣白刃取り! どう、こんな技を見るのは初めてかしら?」
「戦闘中に無駄話は禁物じゃ」
 相手の無駄口をたしなめると同時に、火美子は雷門杖の柄を握り直すと強烈な飛び蹴りをホワイト苦陰の胸にくらわせた。
「うッ」
 そこからハイキックミドルブロー掌底と息もつかせぬ連続技で攻めたてた。
 最初の一撃を運よく防いだものの、今やサンドバック状態のホワイト苦陰。美しい顔が苦痛に歪み、蝋燭のような白い肌に打撲傷が増えていく。
(最後の刺客がこの程度ならば、親玉との勝負まで体が持ちそうじゃ。うぐッ。先程のスカイハイ・ドロップは負担が大きかったか。こんな状態では、大技は使えそうにないな)
 一方のホワイト苦陰は、豪快なスープレックス系の投げ技を得意とする火美子が打撃技のラッシュで攻めてくる事を想定しておらず、防戦一方を余儀なくされている。
(くッ。まさか小技で攻めてくるとは……。過去の対戦資料にはない戦い方じゃないの。まったく、面魔軍団の情報は役に立たないわねぇ)
「はァ」
 ボグッ。
「あうッ」
 脇腹へ強烈な二―キックを叩き込まれたホワイト苦陰は、苦悶に呻きながら片膝を落した。
(最後は絞め技で決めるしかない)
 相手の衣装を利用した絞め技でKOを狙う火美子は、まだ立ちあがれないでいるホワイト苦陰の背後に廻った。
「これで終わ……」
「てぃ」
 ボコッ。
「あうぅぅぅ」
 火美子の手が襟部分に触れた瞬間、ホワイト苦陰は後ろの向きのまま相手の立ち位置を予想し、カカトで火美子の股間を蹴り上げた。この一撃は見事に急所を直撃。
 敏感な部分に強烈な不意打ちをくらった火美子は雷門杖を落して悶絶する。
「ハア、ハア、ハア。よ、よくも私の顔を傷つけてくれたわね」
「くうぅぅぅ」
「今度は私が攻める番よ。存分に苦しめ、存分に辱めてあげるわ」
「うッ……うぅぅ」
「悶え苦しみながら堕ちなさい。花と蛇!」
「いやぁぁぁ」

変形首四の字固めと股裂きを融合させたホワイト苦陰の必殺技「蛇と花」を極められ絶体絶命の火美子
(C)00

 股間を押さえながら背中を丸め、前のめりの格好で両膝をついて苦痛に喘ぐ火美子。その首に両足を絡ませて首四の字固めのような形でロックすると同時に、両足の脛を掴んで強引に大股開きをさせた。
 地面の下から見ると、技のフォームはアルティメット・スカー・バスターに似ている。
 花も恥じらう乙女の体に蛇が巻き付くイメージから、ホワイト苦陰が「花と蛇」と名付けた技だ。
「うぐッ……」
「この技は開発途中だけど、あなたのように弱った相手ならば何の問題もないわ」
「ひ、卑怯者め。何という攻撃をするのじゃ」
「卑怯者とは心外だわ。国際プロレスでもダーティーな技を使うレスラーはいるでしょう」
「屁理屈を言いよって」
「それにね、隠しているつもりでしょうけれど、あなたが背中の痛みに耐えながら打ち込んでくるのが途中から分かったわ。だから得意な大技を仕掛けなかったんでしょう」
(くッ。背中のダメージがバレていたか)
 ギュッ。ギュッ。
 このような会話を交わしている間にも、ホワイト苦陰の両足はペンチのように火美子の頸動脈を絞めつける。
「このまま勝負を決めて【王者の剣】を頂戴するわね。その後、国際プロレス協会本部と我無羅殿から【覇王の鎧】と【神のベルト】を頂けば三神器は揃う。神器が揃えば面魔軍団を潰し、使えそうなレスラーと一緒に私はビーナトロンへ帰還するわ。この手柄があれば武装戦隊長の座も夢じゃないもの」
「そ……そうは……させ……ぬ……ぞ……」
 頸動脈を絞めつけられ、火美子の意識は徐々に薄れていく。疲労に加え、背中と急所へのダメージで思うように体が動かない。
「いい加減に堕ちなさい」
 ねばる火美子に引導を渡すべく、ホワイト苦陰はさらに強く火美子の首を絞めつける。
(うぅぅぅ。こ、これ……まで……か……)
 この瞬間、火美子は意識を失った。
「お~っほほほほほ。無敵の女王が屈辱的な恰好でKOされる。現役時代ならばスポーツ新聞のトップを飾る大ニュースになったわね」
 すでに火美子が意識を失っている事を知ってか知らずか、ホワイト苦陰は鬼のような形相のまま技を解こうとしない。
 そして、相手を嘲笑する自分の姿を扉の影から見つめる視線にも気付いていなかった……。


~第5話へ続く~

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~第3話~

【前回まで】
 我無羅神皇三神器の一つ【王者の剣】を狙う面魔軍団のシャドーX。その先兵二人を倒したクイーン火美子は三人目の刺客を迎え討つ為、【王者の剣】が安置されている勇者の碑の内部へ向かう。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



 ラーメン山の頂上にそびえ立つ勇者の碑。
 外見は巨大な天然岩を加工した石碑だが、その内部は人の手によって加工されている(内部が加工された時期は不明だが、300年はくだらないとされている)。
 20年前、シナチクQUEENとしてプロレス界に不敗神話をきずいていた火美子は聖闘神(アバンメーラ)より羅面神殿の巫女として選ばれ、永遠の若さと神の力、そして【St.アバンメーラの紋章】を授かった。
 巫女となった火美子はプロレス界を引退して絶海のラーメン島へ居を移し、勇者の碑の内部に収められている【王者の剣】を守護する任についたのだ。
 アイアン魔スクを倒した火美子は剣を狙う三人目の刺客に備え、この巨大建築物の中に足を踏み入れた。
 ゴロゴロゴロ。
 重い岩の扉を開けて内部に入ったとたん、背後から何者かが声をかけてきた。
「火美子さまぁ~。火美子さまぁ~。大変です。火美子さまぁ~」
「何事じゃ、騒々しい」
 振り返ると、ラーメン軍団の名物親父・屋台ラーMENが息せき切って向こうの道から走ってくるのが見えた。
「いやぁ、大変なんですよ。火美子様。ハア、ハア、ハア。ヒィ、ヒィ、ヒィ」
「よいよい、とにかく落ち着け」
 やがて息を整えた屋台ラーMENは汗を流しながら、
「Who鈴子から聞きましたが、この島に何者かが侵入したとか」
「うむ。侵入者のうち二人はワシが叩きのめしてやったが、黒幕の他にもまだ二人おるようじゃ。いずれは【王者の剣】を求め、この勇者の碑へやって来るだろうから、こうして待ち伏せておるのじゃよ」
「その侵入者らしい奴ですがね、ここへ来る途中の森で出会ったんですよ」
「何ッ、本当か」
「ええ」
「それで一体、どうした」
「アッシを甘く見ちゃいけませんよ。相手も相当の腕前でしたが得意のストレッチプラムでカタをつけてやりました」
「して、どのような輩じゃ」
「それがですね……」
 そう言いながら、屋台ラーMENは火美子に近づいたかと思うと、
「水もしたたる良い女。アッシは彼女からクイーン火美子を始末しろと言われたんでさぁ」
「何じゃと」
「火美子様、覚悟ッ」
「お主、まさか……」
 ガシッ。
「うぐッ」
 アッと言う間に火美子は屋台ラーMENの得意技ストレッチプラムを掛けられてしまった。

ラーメン親父のストレッチプラムに苦しむ火美子
(C)RAW

 左腕と胸板の間に相手の頭を挟み込んで絞めつけながら、同時に相手の体を捻りつつ右腕の肘関節を極める。
 ドラゴン・スリーパーホールドを変形させた屋台ラーMENの必殺技だ。
 火美子の股の間に片膝を立てる事で相手の左足の自由を奪い、それが技からの脱出を困難にしている。
「屋台ラーMEN、どういうつもりじゃ。何をトチ狂った」
「おおっーと決まったァ! 屋台の名物親父のストレッチプラムゥゥゥゥッ! しかもこれは絵的にディ・モールト(非常に)よくないッ! これはひどい。汚いッッッ!」
 叱咤する火美子の声が耳に入らないのか、屋台ラーMENは大声を張りあげながら一人実況を行う。
「聞こえぬのか。技を解くのじゃ。お前と戦っているヒマはない」
「ガッシリと決まった技。無敵の女王と呼ばれたシナチクQUEENが手も足もでないッ!」
「くッ……。この馬鹿者め、催眠術をかけられたな。くあぁぁぁ」
 頭蓋骨の絞めつけと肘関節への負担に思わず苦悶の呻きをもらした火美子。複合関節技としては地味だが確実にダメージを蓄積させる技だ。
 ギシッ。ギシッ。グググググ。
「し、仕方がない。屋台ラーMEN、許せ」
 火美子は唯一動かす事のできる右足を高く上げ、つま先で屋台ラーMENのコメカミへ抉るような鋭い蹴りをくらわせた。
「ギャア」
 予期せぬ反撃で屋台ラーMENのクラッチが緩んだ隙に火美子は素早く技から逃れた。
「不意打ちには焦ったが、お主のような前座レスラーに不覚をとる程、まだワシは耄碌しておらぬ」
「うぐぅぅ」
「少しでも早く催眠術が解けるよう、ワシが渇を入れてやろう」
「うわぁぁぁ。お、お助けを~」
「あきらめろ」
 逃げようとする屋台ラーMENの背中へニーキックを叩き込み、よろける相手の両脇を掴んでそのまま高く持ち上げた。そのまま勢いよく飛びあがりると同時に自らの両足を大きく開きながら尻餅をつくよう格好で屋台ラーMENを地面に叩きつける。
 見事にスカイハイ・ドロップが決まった。
「ヒデブゥゥ」
 妙な叫び声をあげながら屋台ラーMENは白目を剥いて気絶してしまった。
 THE・マッスルやアイアン魔スクとの戦いでは勝手の違う相手に苦戦させられた火美子だったが、屋台ラーMENはラーメン軍団の中でも下から数えた方が早い前座レスラー。そんな相手に負ける筈はない。
「一つの技を磨き続けるのも良いが、現状に甘んじて技の改良を怠った結果じゃ。もっと精進せい」
 その時……。
 パチパチパチパチパチ。
「ふぅ。今日は千客万来じゃな。今度は何者だ」
 背後から聞こえてくる拍手の音に溜め息をつきながら振り返ると、うつ伏せに倒れて気絶している屋台ラーMENを左足で踏みつけながら、花嫁衣装の女性が立っていた。


~第4話へ続く~

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~第2話~

【前回まで】
 我無羅神皇三神器の一つ【王者の剣】を狙い、国際プロレス協会を脱会した新興勢力・面魔軍団の刺客がラーメン島へ上陸した。銀河プロレス剛腕軍リーダーのTHE・魔ッスルを苦戦の末に倒したクイーン火美子は国際プロレス協会本部のドン・ゴッドと連絡を取り、【王者の剣】を守る為の戦いに身を投じる。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



「うくッ」
 通信指令室から出ようと一歩足を踏み出したとたん、火美子は背中をさすりながら呻いた。THE・魔ッスルの攻撃で痛めた背骨に激痛が走る。
「ど、どうなさいました。火美子様」
「うむ。どうやら先程のダメージが残っておるようじゃ」
「それでは医務室へ……」
「いや、愚図愚図して【王者の剣】を奪われたらドン・ゴッドに申し訳がたたぬ。大丈夫じゃ。これしきの事で不覚を取るワシではない」
「しかし……」
「心配するな。それより見張りの方を頼むぞ」
「は、はい」
 痛みをこらえながら神殿を出た火美子は再び海岸まで降り、隠しトンネルを開けて暗い坑道の向こうへ姿を消した。
 数分後。
 ラーメン神殿とは反対側に位置する勇者の碑の下に火美子があった。周囲に怪しい人影は見られない。
「どうやら間に合ったようじゃ。うッ。やはり先程のダメージが残っておるようじゃ……」
 雷門杖に縋って休憩する火美子。そんな彼女に森の向こう側から何者かが声をかけてきた。
「おや、先客がいらっしゃいましたか。途中で追い抜かれた覚えはないのですが」
「な、何奴!」
「私は銀河プロレス仮面紳士軍団のアイアン魔スク。どうぞお見知りおきを」
「銀河プロレス。すると、先程の奴と同じ穴のムジナか」
「先程の奴? ああ、THE・魔ッスルの事ですか。ほほう。彼を知っていると言う事は手合わせしたのですね」
「やめろ。その丁寧な言葉づかい、貴様の本心ではあるまい。聞いていてイライラする」
「はははは。この話し方は生まれつき、急には直せません。それより、THE・魔ッスルの姿が見えないようですが、彼はどうしたのですか」
「貴様が知る必要はない。すぐに奴のあとを追わせてやるわ」
「愚かな。この私に勝つつもりですか。寝言は寝てから言う事ですね」
 言い終わると同時にアイアン魔スクは素早いタックルで火美子に迫ってきた。
 強襲に不意をつかれた火美子だが脇に飛び退いてタックルをかわし、アイアン魔スクの足を払って豪快に転ばせると、間髪入れずに腕挫十字固めを左腕に極めた。
「大口を叩いたわりには大した事がないな。この腕一本、頂戴するぞ」
「こ、これくらいの技……。ムン」
「何だと!」
 アイアン魔スクは腕挫十字固めが極まったままの状態で強引に立ちあがると、思いきり体を半回転させた。
 バコッ。
「ぐあぁぁ」
 腕を抱える格好で技を掛けていた火美子の体が勢いよく巨木の幹に激突。苦痛の呻きをもらしながら華奢な体が地面に落ちる。
「さあ、今度は私の番ですよ。幾人ものレスラーを地獄に葬り去った本物の必殺技を御覧に入れましょう」
 戦闘態勢の整っていない火美子の体を自分の肩の上へ仰向けに乗せ、素早く顎と太股を掴んで全身をロックさせた。
「ううッ。こ、この技は……」
アルゼンチンバックブリーカー。私が最も得意とする技です」
 メキ。メキ。メキ。メキ。
「うぐッ。うあぁぁぁ」
(さ、先程の技で痛めた背骨が……。このままではマズイ)

アイアン魔スクのアルゼンチンバックブリーカーが火美子の背骨を痛めつける
(C)カエル

 いつもの火美子ならばアルゼンチンバックブリーカーからの脱出くらい訳ない事だが、背骨の痛みで思うように体を動かせず脱出がかなわない。
「まだまだ、これでは終わりませんよ」
「あぁぁぁぁん」
 アイアン魔スクが力を入れて顎と太股を引くたび、火美子の背中が弓のように反りあがる。
 メキ。メキ。メキ。
 背骨が鈍い音を立て軋み、全身からは脂汗が流れ出した。
「さぞ苦しいでしょう。でも、御安心下さい。もう苦痛も終わりです。背骨をへし折ってさしあげましょう」
「そ、そうはさせるか」
「これで終わりです。フン!」
 トドメの一撃とばかりに気合を入れながらアイアン魔スクが力を込めた瞬間……。
 ツルッ。
「なにぃぃ」
「!」
 火美子の顎と太股をガッシリ掴んでいたアイアン魔スクの指が脂汗で滑り、うまい具合に技のロックが解けた。
「今だ」
 全身が自由になった火美子は地面に落下する直前、アイアン魔スクの首を両足で挟み、そのままフランケンシュタイナーを喰らわせた。
「ゴフッ」
「まだ未完成の技じゃが、特別に披露してやろう。光栄に思うがよいぞ」
「ぐむぅ」
「形勢逆転じゃな。くらえ。シナチク吊り天井
 うつ伏せに倒れているアイアン魔スクの腿を外側から巻き込むようにして挟みんだ火美子は、その状態で相手の両手を掴むと体を後方に反しせた。
「こんな古典的な技が未完成とは。地球のレスラーも程度が知れますね」
「ふふふふ。何を言っておる、このワシが普通のロメロスペシャルを仕掛けるわけなかろう。これからが本番じゃ」
 よく見ると、縦ロールに結ってある火美子の長い髪がほどけ、まるで意志ある生物のように蠢いている。髪の毛は吊り天井技で全身を極められているアイアン魔スクの首・両肩・両膝に絡みつき、きつく絞めつけ始めた。
 ギュッ。ギュッ。ギュッ。
「ゴフ。く、苦しい……。息が……息が……」
 グキッ。グキッ。グキッ。
「ぐああぁぁぁ。肩の骨が……。お、折れてしまう」
「どうじゃ。これでも地球のレスラーはレベルが低いか」
「い、いいえ」
「そうか。見た目に似合わず素直な奴じゃ。素直ついでに聞くが、この島には何名でやって来た。貴様らの親玉は誰じゃ。なにゆえ【王者の剣】を必要とする」
「く、苦しい……。こ、応えますから……技を……ゆるめて下さい」
「駄目じゃ。息が出来る程度に加減しているだけありがたく思え。さあ、早よう言わねば窒息するぞ」
「わ、分かりました」
 アイアン魔スクは苦しげな声で次のように語った。
「わ、私たちは……面魔軍団のシャドーXに雇われた……だけです。や、雇われたのは……私とTHE・マッスル、そしてホワイト苦陰……の3人です。シャドーXは……う、宇宙を支配できる力を……ひ、秘めた我無羅神皇の三神器を揃える為……我々と共にラーメン島へやって来たのです。御自身も島へ上陸され……勇者の碑を目指している筈です……。私とTHE・マッスルは先兵……。もっとも、方向音痴のマッスルとは……と、途中ではぐれてしまい……ましたが……」
「そうか。そこまで聞けば十分じゃ。すぐ楽にしてやろう」
「そんな。それでは話が違……ゴフッ」
 ボキッ。ボキッ。バキッ。バキッ。
 最後まで言い終える前、咽喉を絞められたアイアン魔スクは口から泡を吐きながら失神してしまった。同時に鈍い音をたてながら両肩と両膝の骨が砕けた。
「安心せい。命までは奪っておらぬ」
 技を解いた火美子は、意識不明の状態で横たわるアイアン魔スクを見下し、髪の毛をセットし直しながら言った。
「面魔軍団か。プロレス協会内の不穏分子が新団体を結成したとは聞いておったが……。銀河プロレスとの関係は分からぬが、いずれ戦わねばならぬようじゃ。その様子見として、黒幕と一戦交えるのも悪くはなかろう」
 決意を新たにした火美子は、聖理力(セイント・フォース)で作った光の玉の中へアイアン魔スクを封じ込め、【王者の剣】が安置されている勇者の碑の扉を開けた。


~第3話へ続く~

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~第1話~

【前回まで】
 ラーメン島に不審者侵入の知らせを受けたクイーン火美子。侵入者の目的が宝剣【王者の剣】強奪にあると危惧し、剣が安置されている勇者の碑に向かうべく、戦闘衣装を身に纏ってラーメン神殿を後にする。

ラーメン島俯瞰図(部分)
(C)おうたごさく/講談社



 ラーメン神殿を出た火美子は大理石で作られた階段を下って砂浜に向かった。
 神殿から勇者の碑まで行くには、鬱蒼たる森林を抜け、十キロ以上続く険しく長い道のりを歩かなければならない。
 しかし、ラーメン神殿の土台となっている断崖の一部をくり抜いて作られた秘密の通路を利用すれば、その道のりは半分で済む(蛇行した道を直進する為、このようなショートカットが可能となっているだ)。
 白砂青松というには緑の乏しい海岸に降り立った火美子は垂直に切り立つ岩肌の一部へ巧みに隠されたスイッチを押した。
 ゴゴゴゴゴゴ。
 重く鈍い音と主に切り立った断崖を形成する岩に擬装された扉が開き、漆黒の闇に支配されたトンネルが姿を現した。
「さて、行くとするか」
 トンネルの中に入りかけた時、背後に殺気を感じた火美子は振り向きざまに雷門杖を横に払った。
 シュッ。
 虚しく雷門杖が空を切った先に、大きな男の姿が目に入った。
「ふん。殺気を感じて先制攻撃とは、さすがクイーン火美子。いや、不敗の女王シナチクQUEENと呼ぶべきかな」
「侵入者というのは貴様じゃな。何用があってこの島へ来た」
 雷門杖を構えながら、火美子は目の前に立ちはだかる巨漢に尋ねる。
「俺の名前はTHE・魔ッスル。銀河プロレスでは剛腕軍リーダーとして幾人もの強豪を血の海に沈めてきたイケメンのスーパースターだ」
「銀河プロレスじゃと」
「博識なお前でも銀河プロレスは知らんようだな。銀河プロレスとは宇宙規模で開催される裏のプロレス興行だ。出場者は銀河のお訊ね者かアウトローばかり。俺はパワーファイトがウリの剛腕軍を束ねる団長と言うわけさ」
 THE・魔ッスルは目下の者を見下すような表情で火美子の全身を舐めるように見回しながら言った。
 淫らな視線に臆する事なく、火美子は凛とした口調で、
「その剛腕軍リーダーが何用じゃと聞いておる」
「知れた事。我無羅神皇三神器の一つ、【王者の剣】を頂く為よ」
「やはり狙いは【王者の剣】か」
「【王者の剣】の次は【覇王の鎧】、そして最後にはドン・ゴッドが所有する【神のベルト】も頂戴する」
「ドン・ゴッドが【神のベルト】を持っている事まで知っておるとは……。貴様らの情報網は侮れぬようじゃな」
「まあ、そんなところだ。おあえつら向きに秘密のトンネルが開いているし、さっさと【王者の剣】を頂くとしよう」
「待て。貴様の目的は知らぬがワシの前にノコノコと姿を見せたが運の尽き。ここでワシが成敗してくれるわ」
 言うが早いか雷門杖を構えながら火美子はTHE・魔ッスルに先制攻撃を仕掛けた。
「喰らえ」
 雷門杖を目にも止まらぬ速さで突き出す火美子。狙いたがわず刺又状の先端がTHE・魔ッスルの喉元を強打した。
「グエッ」
 苦しげな呻き声を挙げ、一歩二歩と交代するTHE・魔ッスル。すかさず火美子は攻撃ポイントを相手の下腹部に変更し、鳩尾を狙って強烈な一撃を決めた。
「グムゥ」
 喉と鳩尾。二つの急所を連続で攻められたTHE・魔ッスルは海老のように背中を丸め、その場にうずくまった。
「とどめじゃ」
 脳天めがけて火美子が最後の一撃を振りかざした瞬間、THE・魔ッスルの右手が雷門杖をガシッと掴む。
「なにッ!」
「うむむむ。不意打ちとは言え今の攻撃は効いたぜ。並みのレスラーならば喉と鳩尾への攻撃で昇天していただろうが銀河プロレス出場者には通用しない」
「くッ」
 思いもよらぬ展開に焦る火美子。雷門杖を引き戻そうとするがビクともしない。
「今度は俺の番だ。行くぞ」
 THE・魔ッスルは握りしめた雷門杖を手前に引っ張った。杖を握っていた火美子の体もつられて引っ張られ、二人の間の距離は一気に縮まった。
「くらえ。禍眼破眼(カメハメ)52の殺人技の一つ、拷問圧殺刑
「しまった」
 目の前に迫ってきた火美子の体を軽々と持ち上げたTHE・魔ッスルは、彼女の股を開かせる形で肩の上に担いだ。
「くはぁぁぁ」
 体を『くの字』に曲げさせられ、股を裂くように両足を開かせた火美子。背骨と腰骨に激痛が走り、股の付け根には千切れそうな痛みを感じる。

剛腕軍団のリーダーであるTHE・魔ッスルの必殺技が炸裂
(C)number10

「このまま背中と腰の骨を圧力でへし折ってやる」
「うぐッ。か、体が……このままでは……背骨が折れしまう。な、何とかしなければ」
 これまで戦ってきた相手とは比べ物にならないTHE・魔ッスルの怪力に、さすがのクイーン火美子も苦戦を強いられる。
 メキ。メキ。メキ。
 火美子の背中から鈍い音が聞こえ、体が徐々に折り曲がってきた。
「くぅぅぅ」
(上から押される圧力で首が動かない……。この首が動けば技から脱出できるものを……)
「どうだ。これが銀河プロレスの恐ろしさだ。貴様らのようなプロレスごっことは違う、命を賭けた戦いの恐ろしさだ」
「き、貴様。調子に……のるでない」
「手も足も出ないくせに大口を叩く元気はあるのか。ならば」
 THE・魔ッスルは、さらに力を入れて火美子の両足を引っ張った。それに伴って火美子の体がいっそう折り曲がる。
「うぁぁぁぁ」
 遂に赤いレオタードで隠された股間が目の前まで迫ってきた。無敵の女王と言われたクイーン火美子も、こうなっては敵の軍門に下るしかない。
(うぅぅぅ。も、もう駄目だ。意識が……飛んでしまう。こ、この技から脱出する方法は……何か……ないのか)
 最後の力を振り絞り、必死に思考回路を働かせる。
(自由になるのは両腕だけだが、こんな格好では腕が使えたところで何の意味もない。首は動かせない。両足も自由が効かない。くッ。このワシが……こんな輩に負けるとは)
「どうだ。もう少しで女王様サンドウィッチの出来上がりだ。中身は真っ赤なレオタードとたわわな乳房。ハハハハ。無敵の女王がこの程度ならば地球のレスラーもレベルが知れる。【覇王の鎧】も【神のベルト】が俺たちの手に入るのも時間の問題だな」
 この言葉を耳にした火美子は敗北覚悟のネガティブ思考から脱し、【王者の剣】を守護するべき自分の立場と責任感を意識した。
(そうじゃ。ここでワシが倒されれば、次は我無羅殿神王とドン・ゴッドが襲われてしまう……。聖闘神(アバンメーラ)に選ばれた守護者として倒れるわけにはいかぬ)
 メキ。メキ。メキ。
(そろそろワシの背骨も限界が近いような。何とか、何とか、この技から脱出を……そうじゃ)
 何を思いついたか、火美子は辛うじて動く右手に全神経を集中させ、THE・魔ッスルの耳元に近付けた。
 勝利を確信しているTHE・魔ッスルは火美子の動きに気づかない。
(この一撃に全てを賭す)
 できうる限りの勢いをつけ、火美子は右手の中指をTHE・魔ッスルの耳に突き刺した。
一寸棒死」(by「高校鉄拳伝タフ」)
「ウギャァァァァ」
 右耳に指を突き刺されたTHE・魔ッスルは物凄い悲鳴を挙げながら火美子の体を砂浜へ投げ捨てた。
 ドサッ。
「あうッ」
 柔らかい砂の上に落された火美子は傍らに落ちている雷門杖を杖代わりにして立ちあがりる。
 目の前では、耳に手を当てながら悶絶するTHE・魔ッスルの姿があった。
「若い頃に格闘家から習った殺人技が役に立つとは思わなんだ。何でも体得しておくものじゃのう」
「ヒイィィィ。耳が痛えぇぇぇ。痛えよぉぉぉ」
「鼓膜と三半規管を破壊したのじゃ、さぞかし痛かろう。しかし、これも自業自得じゃ」
 そう言い捨てると火美子は隠し通路を閉じてラーメン神殿へ戻り、モニタールームで不審船の監視にあたるWho鈴子にTHE・魔ッスルの後始末を頼んだ。
「先程、下の海岸で本島への侵入者と遭遇した。やはり狙いは我無羅神三神器じゃ。警備兵に身柄を確保させ、そのまま国際プロレス協会本部へ連れて行くのじゃ。ドン・ゴッドへはワシから通信を入れる。敵は複数で上陸したようなので通信終了後、ワシは勇者の碑へ急行するから海上偵察の方は頼むぞ」
「了解致しました。火美子様」
 鈴子が警備兵派遣の手配を進める脇で火美子は国際プロレス協会のドン・ゴッドへ連絡を入れた。
「なんだと。三神器を狙う刺客だと」
「うむ。詳しい正体は分からぬが銀河プロレスの刺客らしい。『俺たち』と言っていた事から数名でラーメン島へ上陸したものと思われる。協会本部と我無羅殿へも刺客が放たれているやも知れぬから警備の方は万全に頼むぞ。ワシは引き続き島に入り込んだネズミを狩りに出掛ける」
「分かった。我無羅殿への連絡はワシからしておこう」
「頼んだぞ。それから、連中は想像以上に強いから油断をするでないぞ。ワシも危うく負けるところじゃった」
「何と。不敗の女王と言われたクイーン火美子が苦戦を強いられる程の相手だと。こりゃあ、褌をしめてかからんとなぁ」


~第2話へ続く~

【冬の連続企画】  連載SS「レスラー軍団大抗争!  王者の剣編」 ~プロローグ~

【はじめに】
 12月19日から12月25日までの足掛け7日間に亙り、シナチクQUEEN=クイーン火美子を主役にした創作SS(ショートストーリー)「レスラー軍団大抗争! 王者の剣編」を連載形式で公開します。
 挿絵は、6名の絵師に描き下ろして頂いた新作イラストです(うち1点は未発表イラスト)。
 内容はオリジナルですが、副題からも分かる通り「キン肉マン 正義の剣編」を参考にしました。
 あくまで文章は添えものであり、閲覧者の皆様にはクイーン火美子が強敵の仕掛ける技に苦悶する挿絵を楽しんで頂ければと思います。
 本作は二次創作物であり、おうたごさく「レスラー軍団大抗争!」及び【覆面レスラーシール】からキャラクターや一部の設定を借りています。



 国際プロレス協会の分裂によるレスラー軍団戦国時代が到来する10年前。
 クイーン火美子の統治するラーメン島において、歴史の闇に封印された知られざる戦いが繰り広げられた。
 強大な魔力を秘めた宝剣【王者の剣】を巡り、火美子は宇宙からの刺客と一人で戦ったが、この件については国際プロレス協会の歴史に記されていない……。


「クイーン火美子様」
 息せき切らせ、Who鈴子が浴室にやってきた。
 シャワーを浴びていたクイーン火美子はシャワーカーテンの間から顔を出し、
「何事じゃ、騒々しい」
「入浴中、申し訳ありません。たった今、この島に不審者が侵入したとの連絡を受けましたので、失礼も省みず参上した次第です」
「なんじゃと。この島に侵入者。広間で待っておれ、すぐに行く」
「ハッ」
 Who鈴子の報告を聞いた火美子は濡れた肌をタオルで拭き、風呂からあがった。
 王冠を冠り、動きやすいV字型のレオタードを着てから肩当てとマントを身に付ける。
 スラリと長く延びた足にブーツを履き、雷門杖(らいもんじょう)を手にとるや急いで広間に駆けつけた。
「待たせたのう。先程の話を詳しく聞かせてくれぬか」
「はい」
 と、Who鈴子は話を始めた。
「数分前、南端の沿岸を巡回中だった警備兵から「腹を裂かれて息絶えた悪魔鮫(デーモン・シャーク)を発見し、砂浜から大森林に向かう複数の足跡を確認した」との緊急通信が入りました。1時間程前には本島領海寸前の位置に国籍不明の不審船が停泊していた事も確認されておりますので、おそらく、その船に乗っていた人物が海域を守る悪魔鮫を殺して腹を裂き、胎内に隠れて島まで近付き上陸したものと思われます」
「島の守り神である悪魔鮫を殺すとは侮れぬ連中じゃな。それで、島へ潜り込んだ奴らの行方は分かっておるのか」
「いいえ、まだ分かっておりません。しかし、侵入者の狙いが【王者の剣】であれば最終的な行き先は決まっております」
「勇者の碑か」
「現在、各監視塔の警備兵と常駐レスラーで編成した捜索隊に島内を調べさせております」
 報告を聞き終えた火美子は、しばらく何かを考えていたが、
「ワシは勇者の碑へ行く。万が一にも侵入を許しては一大事じゃからの。そなたは四方の海を監視し、不審船が戻ってこないかを確認しておれ」
「ハッ」
「何かあればラーメン神殿の緊急警報でワシに知らせるのじゃ。よいな」
「ハッ」
(この島に外部の物が入り込むのは何年ぶりの事か。何事もなければよいが……)

クイーン火美子、颯爽登場
(C)バラピ


~第1話へ続く~

可憐な美少女たちのイケない地獄

 12月17日発売の新刊コミックスとして、ヌクヌクオレンジ氏の単行本『グッとおねだり』が茜新社より刊行されました。
 収録作品は全10編。いずれも『COMIC TENMA』へ発表された作品です。
 カバー袖には、恥じらいもなく大開脚を披露する可愛い女子高生と注射器に跨る女性看護師(収録作品「おっちょ娘ナース」の主人公・伊藤桃香)が描かれています。

ヌクヌクオレンジ『グッとおねだり』カヴァー ヌクヌクオレンジ『グッとおねだり』裏カヴァー
(C)ヌクヌクオレンジ/茜新社

 うら若き乙女たちが刺激的な姿を読者に見せつける作品ばかりで、どこから読んでも楽しめる事は請け合い。
 おしとやかな女性、高飛車な令嬢、活発な女の子、正義感の強い少女、貢献的な美女……作品によって主人公の属性が異なる為、幅広い萌え要素のニーズに応えてくれます。
 ストーリー構成も手堅く纏まっており、物語を重視した読み方でも安心して読めました。
 発売直後の単行本なので詳しく内容に触れる事はさけますが、収録作品の中から個人的に好きな2編だけをピックアップして以下に紹介します。


・「蒼碧の少女」(『COMIC TENMA』2010年6月号掲載)
 クラスから孤立していたお嬢様・椿絵李沙。「近寄りがたい雰囲気」を漂わせる彼女を不憫に思った担任の男性教師は、ひょんな事から絵李沙と親しくなり、遂に男と女の関係に発展……しかけますが、婚姻までは純潔を守りたい絵李沙の意志を汲み、アナル遊戯を始めます。この交流をキッカケに心の鎧を少しづつ脱ぎ棄て始めた絵李沙。男性教師は絵李沙の成長を嬉しく思うと同時に一抹の寂しさも覚えるのでありました。
 女生徒と男性教師が関係を持つような安直な結末を避け、心を開いた少女の明るい学校生活を暗示させた余韻のある終わらせ方に好感が持てます。
 本気で生徒を心配する人間性に満ちた男性教師のキャラクター造型も高く評価します。
「蒼碧の少女」より 「蒼碧の少女」より
(C)ヌクヌクオレンジ/茜新社

・「乳っ子姫」(『COMIC TENMA』2009年5月号)
 品があって美しい財閥令嬢・橘小夜子は男子生徒から絶大な人気がありますが、実はサディスティックで淫乱な女性でした。彼女の本性を知った同級生の高木は小夜子が木陰で自慰している姿を携帯電話のカメラで撮影し、その画像を脅迫のネタに利用します。昼休み、体育用具倉庫に連れ込まれた小夜子は高木に辱められ……。
 清楚な美少女を演じる淫乱な令嬢。このような設定は珍しくありませんが、このギャップが上手にオチと絡まっていました。アナルセックスの描写だけに頼らない、ストーリー性を重視した内容に仕上がっています。
「乳っ子姫」より 「乳っ子姫」より
(C)ヌクヌクオレンジ/茜新社


 本書を特定の書店で購入した場合、各店舗オリジナルのイラストカードがプレゼントされます。
 カードの絵柄と取扱店舗は下記の通り。
 左から、オータムリーフコミックとらのあなたちばな書店の特典カードイラストとなります(茜新社の公式ホームページより、「販促グッズ情報」コーナーからの情報)。

 オータムリーフ 特典カード コミックとらのあな 特典カード たちばな書店 特典カード
(C)ヌクヌクオレンジ


グッとおねだり (TENMAコミックス)グッとおねだり (TENMAコミックス)
(2010/12/17)
ヌクヌクオレンジ

商品詳細を見る

平和を守る少年ヒーロー

 ヒーローマニア氏の運営されるWEBサイト「正義の変身スーパー少年ヒーローの小部屋」では変身する少年ヒーローが扱われており、自作イラストを中心に美少年ヒーローが紹介されています。
 最新記事「【雑感その92】古(いにしえ)の“ ビッグX”」を読んでいたところ、永松健夫氏が『少年少女譚海』へ連載発表した絵物語「爆弾Z」について言及されていました。
 いつも女性キャラクターばかり取り上げているので、今回は少し趣向を変えて少年ヒーローを取り上げてみようと思います。

 永松健夫氏は大正元年に大分県で生まれ、昭和36年晩秋に49歳で亡くなられました。
 代表作として「黄金バット」や「アトム騎士」が挙げられるものの、詳しい創作活動については不明な点が多いようです。
 絵物語作家として少年雑誌や学習誌で活躍された他、紙芝居の作画も手掛けました。

 正義のヒーロー・爆弾Zと怪人・鉄の爪(アイアン・クロー)率いるギャング【アイアン・クロー団】との戦いを描いた本作は、『少年少女譚海』昭和27年5月号から8月号まで全4回に亙って連載されました。
 爆弾Zは「身体(からだ)の中の原子を、ちぢめたりふくらませたりできる」能力を持っており、人間離れした力で【アイアン・クロー団】に立ち向かいます。
 全4回連載のうち最終回が未見なので爆弾Zの素性は分かりませんが、爆弾Zに変身しそうな人物が作中に(確認した限りでは)登場していない為、最後まで正体不明の超人のままかも知れません。

 以前の記事(「破かれるセーラー服と傷つく美少女」参照)でも書きましたが昭和27年度の『少年少女譚海』バックナンバーは所蔵機関不明の号が多く、永松氏の「爆弾Z」は簡単に読む事ができません。
 多少なりとも作品の雰囲気を感じて頂ければと思い、いつものように画像を掲載します。

連載第1回目扉(『少年少女譚海』昭和27年5月号)
(C)永松健夫/文京出版
連載第2回目扉(『少年少女譚海』昭和27年6月号)サイズ大
連載第2回目扉(『少年少女譚海』昭和27年6月号)サイズ小
(C)永松健夫/文京出版
連載第3回目扉(『少年少女譚海』昭和27年7月号)
(C)永松健夫/文京出版

 カラー扉ではビキニパンツ+生足となっていますが、連載第1回目と連載第2回目の本編中では全身タイツに近い格好に描かれています(イメージとしては、スーパーマンの衣装を思い浮かべて下さい)。
 連載第3回目で急に生足となっていますが理由は不明です……。
 ヒーローマニア氏の指摘される通り、肉体にフィットしたビキニの股間部分がパツンパツンのボディコン状態になっており、不思議な色気が感じられました。

全身タイツ衣装の爆弾Z(『少年少女譚海』昭和27年6月号より) 全身タイツ衣装の爆弾Z(『少年少女譚海』昭和27年6月号より)
(C)永松健夫/文京出版
ビキニパンツの爆弾Z(『少年少女譚海』昭和27年7月号より)
(C)永松健夫/文京出版

日本人アーティストが描くアメコミ

 ここ数年の間に購入したアメコミの中で一押しなのが『DRAIN』という作品です。
 本作は日本人アーティストの武田サナ先生が作画を担当されており、アメコミらしからぬタッチのイラストが一部で大ヒットしたようです。
 2006年にLEEF版全6号が刊行され、その後でTPBへまとめられました。

TPB版『DRAIN』カヴァー

 英語レベルが低く内容を完全に理解できませんでしたが、女性主人公が血を吸われて苦悶する場面やパワーの差がある敵との戦いに苦戦する場面、さらにはキャットファイト的な場面まで描かれているのでイラストを見るだけも楽しめました。
 夢路キリコ先生の描くイラストを思わせる緻密な描き込みは圧巻の一言に尽きます。
 迫力ある戦闘シーン、躍動感あるキャラクターの動き、美しさと強さを併せ持つヒロイン造形。どれも日本の漫画とは一線を画す完成度でした。

 今回も画像を何点か掲載しますので、武田サナ先生の描かれるイラストを御覧下さい。
 あまり刺激的な場面を用意できず申し訳ないのですが……。
 主人公の名前が分からなかったので、キャプションでは「女性吸血鬼」と表記しています。

美しい刺客と戦う女性吸血鬼(右側)

圧倒的なパワーで投げ飛ばされる 強敵のヴァンパイアに苦戦をしいられる

ヴァンパイアとの最終決戦 全身傷だらけになりながら戦い続ける女性吸血鬼

 TPBの入手は困難かも知れませんが、紀伊国屋書店のオンライン書店「紀伊国屋書店BookWeb」で古書として購入できるかも知れません。


【付記】
 LEEFとは特定のタイトルだけを掲載した冊子形式のコミックスの事です(好きな漫画の1話分が薄い冊子に収録されて月刊ペースで販売するイメージを思い描いて下さい)。
 TPBはLEEF形式で販売されたエピソードをまとめた単行本の事。一般的にはB5サイズのソフトカバーをさします。

才能ある絵師と古き良き名画

 今でこそ多くのSM雑誌が書店に並んでいますが、その源流は今から半世紀以上前に創刊された『奇譚クラブ』と言えます。
 戦後間もない昭和22年の秋に創刊され、紆余曲折を経て昭和50年に惜しまれつつ終刊しました。
 当初は読物中心のカストリ雑誌でしたが、須磨利之氏が編集業務に関わるようになってから徐々に雑誌カラーが変わり始め、昭和27年以降は特殊な趣向を好むアニマ向け雑誌へと変貌を遂げました。
 昭和28年に須磨氏が『奇譚クラブ』の編集部を去った後は吉田稔氏が中心となり、生まれ変わった『奇譚クラブ』を育てていきます。
 後に大物作家となる団鬼六氏や千草忠夫氏、沼正三氏を輩出するものの、悪書追放運動や挿絵のマンネリ化によって経営は苦しくなっていき、遂に杉原虹児氏が編集人を務める昭和50年3月号をもって終刊となりました。

 今回は『奇譚クラブ』の歴史を語る事が目的ではありませんので大まかな紹介となりましたが、『奇譚クラブ』が数奇な運命を経て日本SM雑誌界に貢献した事は確かです。
 より詳しい雑誌事情を知りたい方は、濡木痴夢男氏の著書『「奇譚クラブ」の絵師たち』及び『「奇譚クラブ」とその周辺』を御覧下さい。

 編集業務に加わった須磨氏は日本画の心得もある画家であり、『奇譚クラブ』の誌面改革において挿絵やカットの充実に力を入れました。
 空想的な構図を写実主義の技法で描いた挿絵やカットは細部まで丁寧に書き込まれ、多くの読者を虜にしたと言われます。
 特定分野への専門家を図るにあたり、文章だけでなく挿絵の重要性にも着目するのは画家らしい発想でした。
 カストリ雑誌のカテゴリーから『奇譚クラブ』が脱却を果たした功績は、須磨氏のアイディアと活躍によるものと言っても過言ではないでしょう。

 その挿絵ですが、須磨氏の他にも有能な絵師が優れた作品を数多く提供しています。
 東京で発行されるSM雑誌の数が増えるに従ってイラスト寄稿者の数は減っていきましたが、最盛期には畔亭数久氏,都築峯子=八木静男氏,栗原伸=柴谷宰二郎氏,杉原虹児氏,室井亜砂路氏……等々、この分野に詳しい方ならば誰でも知っている絵師が誌上へ登場しました。
 実際、プロアマを問わず有能な人材が揃っていた時期の『奇譚クラブ』(個人的には昭和28年から昭和32年頃と思っています)は挿絵目当てで読んでも面白い雑誌です。

 百聞は一見にしかず。もっとも充実した誌面だった頃の『奇譚クラブ』の中から手持ちの3冊を選び、以下に挿絵やカットを掲載してみました。
 美麗なCGや着エロ要素全開のセクシーなグラビアとは一味違った官能美の一端、お楽しみ頂ければ何よりです。


畔亭数久「戯画 アイス・スケート」 畔亭数久「絵物語 スチュアデスの夢」より抜粋
(C)畔亭数久/曙書房

土屋淑人(文)/杉原虹児(画)「見世物とサディズム」のカット
(C)土屋淑人/杉原虹児/曙書房

長瀬昭子「女サディストの手記」のカット
(C)長瀬昭子/曙書房

「新人責絵集」より依田精二作品
(C)依田精二/曙書房

都筑峯子「可愛いお客様」(左)/「フェチシストの夢」(右)
(C)都筑峯子/曙書房


【初出】
『奇譚クラブ』昭和30年1月号
 ・畔亭数久「戯画 アイス・スケート」
 ・依田精二「残虐な皮革責め」及び「リンチ」
『奇譚クラブ』昭和30年3月号
 ・都筑峯子「可愛いお客様」及び「フェチシストの夢」
『奇譚クラブ』昭和30年5月号
 ・長瀬昭子(文と画)「女サディストの手記」
 ・土屋淑人(文)/杉原虹児(画)「見世物とサディズム」
 ・畔亭数久(画)「絵物語 スチュアデスの夢」


「奇譚クラブ」の絵師たち (河出文庫)「奇譚クラブ」の絵師たち (河出文庫)
(2004/07/02)
濡木 痴夢男

商品詳細を見る

「奇譚クラブ」とその周辺 (河出i文庫)「奇譚クラブ」とその周辺 (河出i文庫)
(2006/06/03)
濡木 痴夢男

商品詳細を見る

惜しまれつつ完結した「全滅! ウルトラ姉妹」&「奇跡! ウルトラマザー」

 らすP氏の「ウルトラレディ」シリーズはハイクオリティな創作ヒロイン作品として知られ、多くの固定ファンがついています。
 うら若き清楚な乙女から熟年の色気を秘めた淑女まで、戦うヒロインを個性豊かなキャラクター造形で描いている点が高い支持を得ている秘訣と言えるでしょう。
 キャラクターの骨格を円谷プロの「ウルトラマン」シリーズに借りているものの、それは発想の源流だけに留まっており、完全オリジナルのヒロインへと昇華されています。
 ハイレベルな作画がウルトラ姉妹の魅力を引き立たせ、それに魅せられたファンの描く二次創作物も続々と発表されています。

 二次創作については別の機会に少しずつ紹介していく予定ですが、今回は本家「ウルトラレディ」シリーズから名作エピソードを紹介させて頂きます。
 どうしても紹介したいエピソードは、ウルトラ戦姫とヒッポリト星人の戦いを描いた連作「全滅! ウルトラ姉妹」と「奇跡!ウルトラマザー」の2編です。
 ウルトラ姉妹たちとヒッポリト星人の死闘が全25回に亙って展開されました。
 原作は「ウルトラマンA」の第26話「全滅! ウルトラ5兄弟」と第27話「奇跡! ウルトラの父」です。
 悪逆非道な戦法と圧倒的な戦力でウルトラ戦姫を次々にブロンズ像へ変えるヒッポリト星人は、まさに地獄星人の異名に相応しい強さでした。

地獄星人・ヒッポリト星人
(C)らすP
ヒッポリト星人に立ち向かう、ウルトラレディ・シルフィー ウルトラレディ・エイミィを捕えたヒッポリト星人
(C)らすP

 善戦空しく次々と倒されていくウルトラ戦姫。夕陽を浴びながらブロンズ像となった無残な姿を晒します。

ブロンズ像にされたウルトラ姉妹の無残な姿
(C)らすP

 ウルトラ戦姫全員が敗れ、ブロンズ像にされてしまう緊急事態。
 防衛軍特殊チーム【LADY】の攻撃も通用せず、地球は侵略者の魔手に蹂躙される危機を迎えました。
 ヒッポリト星人の完全勝利と思われた時、緑色の火の玉が飛来しウルトラマザーが姿を現します。
 娘たちを救う為、果敢にもヒッポリト星人へ挑むウルトラマザー。しかし、卑劣な罠によってヒッポリトタールを全身に浴び、体の自由を奪われてしまいました。

ウルトラマザー参上 卑劣な罠にかかったウルトラマザーに降りかかるヒッポリトタール
(C)らすP

 勝利を確信したヒッポリト星人の嘲笑が響く中、金色の光の玉が飛来。ウルトラ一族の長老であるウルトラクイーンが地球に光臨しました。
 パワーを解放してバトルフォームとなったウルトラクイーンは女王らしい強さでヒッポリト星人を追い込みますが、亜空間飛行によるエネルギー消費でカラータイマーが激しく点滅し、後一歩の所で好機を逃します。
 ヒッポリト星人は疲労困憊のウルトラクイーンに反撃を開始しました。
 思わぬアクシデントによって苦戦を余儀なくされたウルトラクイーンですが……。

伝説のウルトラクィーンが地球に現れる 最後の希望ウルトラ・クイーン
(C)らすP

 この後の展開については、らすP氏の運営されるWEBサイト「らすとがーでぃあんP」にて御確認下さい。
 各エピソードのタイトルと更新日は下記の通りです。


【前編】全滅! ウルトラ姉妹(全15回)
 ・その1:2010年12月1日
 ・その2:2010年12月1日
 ・その3:2010年12月2日
 ・その4:2010年12月2日
 ・その5:2010年12月3日
 ・その6:2010年12月3日
 ・その7:2010年12月3日
 ・その8:2010年12月3日
 ・その9:2010年12月4日
 ・その10:2010年12月4日
 ・その11:2010年12月4日
 ・その12:2010年12月4日
 ・その13:2010年12月4日
 ・その14:2010年12月4日
 ・その15:2010年12月4日

【後編】奇跡!ウルトラマザー(全10回)
 ・その1:2010年12月6日
 ・その2:2010年12月7日
 ・その3:2010年12月7日
 ・その4:2010年12月8日
 ・その5:2010年12月8日
 ・その6:2010年12月9日
 ・その7:2010年12月9日
 ・その8:2010年12月10日
 ・その9:2010年12月10日
 ・その10:2010年12月10日


 際どい姿のウルトラ戦姫ブロンズ像、ヒッポリトタールにまみれて苦しむウルトラマザー、亜空間飛行の疲労からピンチに陥るウルトラクイーン。
 ここで紹介した以外にもヒロピン好きの方には是非とも見て頂きたいイラストは多々ありますが、あえて掲載を見送りました。
 個々に描かれたあられもない恰好のウルトラ姉妹、貴重なウルトラマザーやウルトラクイーンのピンチシーンは「らすとがーでぃあんP」で御覧下さい。
 また、次回からの新展開についても同サイト内で言及されているので、次のエピソードが知りたい方は要チェックです。

 最後になりましたが、画像転載を御快諾下さったらすP氏に厚く御礼申し上げます。

さらわれる二人の美少女

 かつての少年少女雑誌には連載作品を掲載した別冊の小冊子が付いていました。
 戦前から昭和30年代の少年少女雑誌には高値がつけられ、美品状態であれば1冊が数万円する事も珍しくありませんが、その中でも別冊付録は読者層が少年少女なので残りにくく、こちらも内容(作家や作品タイトル)によっては相当の金額で取引されます。

 北条美鬼氏による絵物語「はんにゃ仮面」も、連載第1回目は別冊付録へ掲載されました。
 詳しい連載状況は不明ですが、『おもしろブック』昭和29年12月号別冊付録から連載が始まっています(少年少女向け小説の検索に便利なWEBサイト「戦後日本少年少女雑誌データベース」を利用しても連載期間は調べきれませんでした)。
 本誌の『おもしろブック』は集英社が昭和24年に創刊させた少年向けの月刊誌。昭和34年に別雑誌へ改題する形で終刊しました。

北条美鬼「はんにゃ仮面」扉絵(連載第1回目)
(C)北条美鬼/集英社

 実見したのは連載第1回目だけですが、「はんにゃ仮面」は初回から二人の美少女が悪党一派にさらわれる場面が描かれています。
 折れ弓折檻や宙吊り、集団で襲いかかる悪党に拉致される美少女のシチュエーションは見応えがあり、時代を感じさせる絵柄ではあるものの、それゆえに情緒あふれる官能美が味わえました。
 第2回目以降でも美少女責めのシーンが見られるかも知れない為、機会があれば『おもしろブック』本誌を確認してみたいです(最終ページには「このつづきは「おもしろブック」新年特大号に!!」と書かれています)。

 以下、恒例の画像紹介です。
 受難に遭う少女の名前は小百合と小夜。小百合は父親を【ふくろう組】に殺された少女で、小夜は越後谷の娘という設定です。
 この他、「徳川を滅ぼし、キリシタンを布教させよ」との大命に抗えずにいる輝姫、【ふくろう組】に属するお高祖頭巾の女性も登場しますが、出番が少ないので画像の掲載は見送りました。

【ふくろう組】に襲われる小百合
(C)北条美鬼/集英社
弓の折れで折檻される小夜 井戸に吊るされる小夜
(C)北条美鬼/集英社
誘拐される二人の美少女
(C)北条美鬼/集英社

10,000HIT達成の御礼

 更新作業の為にアクセスをしたところ、当ブログへのアクセス数が10,000Hitを突破していた事が確認できました。キーワード検索を含め、当ブログへお越し下さいました方々に厚く御礼申し上げます。
 5,000Hitを記録するまでに半年近くを要した為、年内は10,000Hitに達しないと思っていたのですが、リピーターの方や新規訪問者の皆様に御支援頂いたおかげで嬉しい誤算が生じました。
 最近は一日の平均アクセスが50件を超えるようになりましたので、こんなブログでも多くの方が見に来て下さっている事を意識しながら、今後も継続を続けていこうと思います。
 次の御挨拶は、20,000Hit達成時となります。それまでネタが尽きなければ良いのですが……。

 今月中旬には「冬の特別企画」を全6回に亙って開催致します。
 pixivで活躍される絵師6名の方に御協力頂いたイラスト展示となるので、よろしければ御訪問下さい。
 詳しい日程は決まっておりませんが、20日前後からの開始を予定しております。

 年内にアクセス数10,000Hitが達成できた事を記念し、今回の記念画像はイラストにしてみました。
 初となる記念イラストは、当ブログへ数々の作品を御提供頂いているモンコレ氏がリクエストに応えて描いて下さった「ムジュラバスターを掛けられたリリ パンティ引っ張りVersion」です(執筆は2010年9月)。
 モンコレ氏の御厚意により、pixiv会員のみが閲覧できる「苦悶の表情」版をフルサイズで掲載する事が叶いました。
 エロチック要素満載のバスター技イラスト、どうぞ御覧下さい。

10,000Hit記念画像
(C)モンコレ

 最後になりましたが、イラスト転載を御快諾下さったモンコレ氏へ心から御礼申し上げます。
 また、これまでのブログ記事で自作イラストの転載を快く許可して下さった絵師の皆様、プライベートな時間を削って新作イラストを御提供下さいました絵師の皆様にも、ここに改めて感謝の意を表します。

阿鼻叫喚の地獄技! 阿修羅バスター

【はじめに】
 3作目となる創作短編では、モナコの格闘令嬢エミリ・ロシュフォール(=リリ)がバスター技で辱められる場面を中心にした内容のSS(ショート・ストーリー)にしてみました。
 本音を言えば、リクエストイラストとしてモンコレ氏に描いて頂いたリリの屈辱技イラストへ文章を付け、阿修羅バスターを喰らった時の描写に重点を置いたSSを書いてみたくなった次第です……。
 今回は「短い文章で話を構成・完結させる」事を自分への課題にしてみたので、細かい設定は決めず、状況の説明も徹底的に省きました。
 唐突にリリと阿修羅像が戦う場面が挿入される為、「どうしてこうなった?」的な疑問点を抱かれるかも知れませんが、その辺の事情は閲覧者の皆様が自己補完して下さい……。
 差分イラストを使ったオチは不発かも知れませんが、楽な気持ちで最後まで御一読頂ければ幸いです。
 イラストの転載・使用については、作者のモンコレ氏より許可を受けました。寛大な措置に対し、厚く御礼申し上げます。



 360度に音を放出する球形スピーカーから流れる軽快な音楽をBGMに沸き立つ地下カジノ『High Roller's Club』。
 ここでは定期的にルール無用の賭け試合「Acquisition or Lose(得るか失うか)」が開催されており、その試合内容は特定のメンバーだけが見られる動画として全世界に向けネット配信されている。


「おお、エクセレント」
 バーボンを片手に『High Roller's Club』から配信される「Acquisition or Lose」の試合中継を見ていた李超狼は、パソコン用モニターに映し出される映像へ賞賛の声を送った。
 画面の向こう側では、金髪の美少女が両足を大きく開かされた格好でピンクのパンティを曝け出し、羞恥と苦痛の入り混じった表情を浮かべている。

全身の関節を極められ、苦痛に喘ぐリリ
(C)モンコレ

「彼女は確か……リリとか言ったな。このポーズ、表情、何とも素晴らしい」
『あぁぁん。うぅぅ……こ、腰骨が限界だわ。ふあぁぁん』
 高性能マイクが拾うリリの呻き声がスピーカーから聞こえてくる。
「ハッハッハッ。御丁寧に声まで配信してくれるとは粋な計らいだ。今回の試合、何かと話題になりそうだ」
 超狼はサブPCを立ち上げ、『High Roller's Club』会員専用の掲示板サイトへアクセスした。彼の予想通り、この試合中継を見ている人々が神動画について書き込みを行い『祭り』が発生している。
 下着を見せた状態で晒し物にされているリリの動画を見ながら、掲示板での実況をチェックし、バーボンで喉の渇きを潤す。
 器用にサイクル行動をこなす姿はケロロ軍曹のようだ(アニメ版3rdシーズン 第132話Aパート「ドロロ キッカケが大事! であります」参照)。


 両手両足と首を六本の腕で完全に極められ、リリは全く身動きできない。
 両足を可動範囲ギリギリまで開かされ、両腕は水平に広げた状態に固定されてしまった。遠くから見るとアルファベットの『A』のような格好だ。
 股間節を襲う股が裂けそうな激痛、無理な恰好を強いられる事でピクピクと激しく痙攣する太股の筋肉。背骨と腰骨へも大きな負担がかかっている。
 両腕は物凄い力で引っ張られ、肩の脱臼も時間の問題かも知れない。
 首(こうべ)を垂れるような恰好で後頭部を前方向に押しつけられ、頸椎へは骨が砕けんばかりのダメージが蓄積されていく。
「あぐぅぅ。こ、この姿勢……全身がバラバラになってしまいそうだわ」
 リリは渾身の力を振り絞って抵抗を試みるものの指一本すら満足に動かせず、無駄に体力を消耗するだけだった。
 大股開きしたの股間部分が視線の先にあり、屈辱と羞恥心でリリの顔は薔薇のように赤く火照る。
 全身を駆け巡る激痛によって意識を失う事は許されず、額に脂汗を浮かべながら苦悶の表情で阿修羅バスターに耐えるしかない。
「あうぅぅん。このまま悶えるているだけでは駄目だわ。な、何とか脱出方法を考えないと。でも、どうすれば……」
 リリを担ぎ上げたままオブジェのように動かない阿修羅。
 試合会場に設置されたカメラは無情にもリリの恥ずかしい姿を映し続け、特定のユーザーへ向けてネット配信を行っている。


 心地よい風に夏の到来を感じさせながら、バハマの夜はゆっくりと更けていく。
 多くの会員を熱狂させた「Acquisition or Lose」は1時間程前に決着がついたが、掲示板への書き込みは未だに後を絶たない。
 話題の中心は40分程前にリンク先アドレスが張られた画像である。
 HN=ククルー・マスタサージェントがアップした画像は早くも多くの会員がDLして自分のPCに保存した。
 それは、阿修羅バスターに耐えるリリのスクリーンショット画像をハイレベルな画像修整技術で官能的な絵柄に修正したものだったが、モーション意外は原型を留めておらず、創作に近い完成度であった。
 達人の技によって神レベルの画像へ修正されたリリの恥ずかしいショットは「長く『High Roller's Club』会員の秘蔵フォトとして大切にされた」(李超狼氏・談)そうである。

官能的なショットに修正されたリリの恥ずかしい画像
(C)モンコレ



【あとがき】
 4回も書き直しを行った為、当初の構想とはかけ離れた、イミもオチもない平々凡々たる内容になってしまいました。転載許可を頂いたイラストの魅力を引き出す事ができず、モンコレ氏に申し訳なく思います。
 リリを主役にしたリョナ小説は想像以上の難産で、梗概を小説の形で作品化する事ができませんでした。
 ゲームキャラクターを小説内で自由に動かす事の難しさが改めて分かり、時間と手間をかけながら面白味のないSSになってしまった事が悔まれます。
 文章力と構成力のある方が書いたリリを主役としたリョナ格闘小説を御存知の方がいらっしゃいましたら、是非お知らせ下さい。今後の勉強の為にも読んでみたいので……。

佐渡へ旅立つ少女

 昭和22年に出版された「新宝島」は戦後日本漫画の出発点とされ、後の漫画家達に大きな影響を与えた作品と言われているようです。
 原作と構成を酒井七馬氏が担当され、作画は手塚治虫氏が担当されました(昭和59年に全面改稿され、現在では手塚氏の単独作品になっています)。
 後世への影響の大きさを考えると、この作品を「日本漫画界の黒船」と言っても過言ではありません。

 漫画自体は日本にも古くから存在していましたが今のようにストーリー性の高い内容ではなく、滑稽な読物や風刺漫画が主であり、田川水泡氏の「のらくろ」シリーズや島田啓三氏の「冒険ダン吉」は少年読者の高い支持を得ていたようです。
 新聞連載作品では、樺島勝一氏と織田信恒氏による「正チャンの冒険」シリーズや挿絵画家としても知られる横山隆一氏の「フクちゃん」が広く読まれていました。
 前者のうち「冒険ダン吉」は連載形式の続きものではありますが読み切りに近い感覚です。現在のストーリー漫画と比べた場合、その原点とは言えないでしょう。

 漫画が主流の現在では廃れてしまった存在ですが、かつては絵物語という形式がありました。
 絵物語とは、大雑把な説明になりますが「挿絵を中心にした小説」の事です。
 手塚氏の作品を原点にする現在のようなストーリー性の高い漫画が普及する以前、少年雑誌や漫画雑誌には必要不可欠な存在でした。
 かつては新聞でも小説と一緒に絵物語作品が連載されていた時期があり、昭和20年代と昭和30年代の新聞紙面からは当時における絵物語の需要の高さが窺えます。

 今回は、数多い絵物語の中から南村喬之氏の「いけ!錦之助」を紹介しようと思います(と言っても、連載の一部しか読んでいないので詳しい紹介はできませんが……)。
 本作は『幼年クラブ』昭和32年1月号から12月号まで南村喬名義で連載されました。
 挿絵画家としての人気も高い南村喬之氏の作品だけあって絵の完成度は非常に高く、作中に登場する少女は和風美少女揃いです。

「いけ!錦之助」連載第1回の扉絵
(C)南村喬/講談社

 この物語は、松前右門の乗った船が金(きん)を積んで佐渡から江戸へ向かう途中、海賊に襲撃され、その悲報が二人に子供に伝わる場面から始まります。
 右門と同行した爺やが持っていた書物を唯一の手掛かりに、錦之助となぎさの兄妹は江戸の屋敷を飛び出して佐渡へ向かいました。

松前なぎさ 父の悲報に涙する
(C)南村喬/講談社

 江戸から佐渡の道中、錦之助となぎさは数々のアクシデントに遭遇。波乱万丈の冒険活劇が展開されます。
 道中の冒険についても詳しく言及したいのですが、前述のように未見箇所が多い為、残念ながら松前兄妹の冒険を語る事はできません。御了承下さい。

 中途半端にしか読めていないにも関わらず、この「いけ!錦之助」を紹介したのは、たまたま読んだエピソードに描かれていたなぎさの監禁・脱出場面が気に入ったからです。
 5月号では犬神を崇める一団に、11月号では海賊になぎさは捕えられてしまいます。
 後者では渾身の力を振り絞って錠前を壊そうとする姿が描かれており、華奢な美少女が力の限り抵抗するシチュエーションを好む者としては満足のいく場面でした。

犬神を崇める一団に捕まってしまう なぎさは鉄棒を使って牢からの脱出を試みる
(C)南村喬/講談社

 残念ながら確認した限りでは折檻場面は描かれていませんでしたが、絶体絶命の状況下でも諦めず機転をきかせて敵の手から逃げ出すヒロインの姿に好感が持てました。

 全文読んでみたい作品なので単行本化を希望するのですが、半世紀以上も前の絵物語が復刻される可能性は皆無に近いので期待はできません。
 もっとも、この数年は古い作品のリバイバルが珍しくなくなっている為、もしかしたら奇特な出版社が復刻してくれるかも知れません。可能性は限りなくゼロに近いですが……。

『NANCY DREW GRAPHIC NOVELS』全21巻

 女子高校生探偵ナンシー・ドルー(NANCY DREW)が知恵と勇気と友情で様々な事件を解決する『NANCY DREW GRAPHIC NOVELS』は2005年夏より配本が始まり、2010年8月に刊行された第21巻をもって全巻完結したようです。
 最終巻未見なので断言はできませんが、新タイトル『NANCY DREW THE NEW CASE』の配本が始まった事から全21巻で完結とみて間違いありません。
 本書は漫画形式=GRAPHIC NOVELとなっており、ハードカバーとペーパーバックの2種類が同時に刊行されています(ペーパーバック版は箱入りのセット本もあり、4冊1セットとなっています。最終巻を含むセットは5冊1セット)。

女子高校生探偵のナンシー・ドルー

 アメリカにはGRAPHIC NOVELという書籍分類があり、wikipediaでは「通常は長く複雑なストーリーを備えた、しばしば大人の読者が対象とされる、厚い形式のアメリカン・コミックを指す用語」と解説されています。
 本書『NANCY DREW GRAPHIC NOVELS』も長編ストーリー漫画ですが、対象年齢が9歳から12歳に設定されています。
 何作か目を通してみましたが、オリジナル作品(1930年から1979年にかけて全56作が発表された「NANCY DREW」シリーズ。小説)と同じく極端に殺伐とした事件は描かれておらず、日本のライトノベルに近い内容でした。

 原作同様、犯罪捜査に関わるナンシーが危機に陥るシーンも僅かながら見る事ができます。
 ヒロピンと言うには厳しい内容ですが、犯罪者に襲われたり、大蛇に巻きつかれたり、誘拐されたり……いろいろな場面が全21巻の中に描かれました。
 内容に過度な期待をせず、独特なタッチのイラストが気にならないようでしたら、何冊か買ってみるのも良いと思います。
 amazonでは1冊900円前後(ペーパーバック版)で購入可能となっており、洋書は円高の今が買い時です。

 参考までにナンシーが危機に陥る場面を2点ですが紹介します。
 一般的なアメコミ同様、イラストは巻数によって異なるので絵柄が一定する訳ではありません。
 その点のみ、ご注意下さい。

洞窟の中で大蜥蜴に襲われる 大蛇に巻きつかれ苦しむナンシー

大財閥の美しき後継者

 劇画界の大御所である小池一夫氏は漫画原作者として数々の傑作を世に送り出し、代表作である「子連れ狼」や「修羅雪姫」、「オークション・ハウス」は高い評価を得ています。
 キャラクター造形の大切さを説いた「キャラクター原論」を提唱し、自らの信条を自作内で存分に証明しました。小池作品に固定ファンが多いのは、絵空事とリアリティの境界線ギリギリまで強調された個性的な肉体派キャラクターの魅力にあるのかも知れません。
 創作活動の傍ら、小池書院代表取締役社長として出版業務に関わり、「小池一夫劇画村塾」(2009年に株式会社MANGARAKとして独立)を開いて後進の育成にも力を入れています。

 政財界さえ動かす程の莫大な財力を誇る根津財閥の後継者・根津雪妃と凄腕のボディーガード・山本鉄樹(=根津鉄樹)の二人を主役に、テロリストや暗殺団との国際規模で展開される戦いを描いたアクション劇画「デュエット」も、小池氏の原作による作品です。
 漫画を描くのは井上紀良氏。1983年から1985年まで『週刊ヤングジャンプ』へ連載され、コミックス全9巻に纏められました(後に全4巻のワイド版を小池書院から刊行)。
 ネット書評でも指摘されるように終盤の展開が急ぎ足となっている為、あっけない結末を迎えます。物語後半を大幅加筆した完全版の執筆が望まれます。

 根津財閥は敵が多く、後継者の雪妃を殺そうとする輩も多い。そんな孫娘の身を案じた家長が暗殺教団【サッグ】で殺しの技術を身につけた鉄樹(彼の出生については複雑な問題が絡むので、ここでの説明は省きます)を日本へ呼び寄せ、戸籍上の弟として雪妃と同居させます。
 始めのうちは鉄樹を嫌っていた雪妃ですが、彼の身辺警護で何度か命を救われた後、鉄樹を愛するようになりました。
 二人の愛を確認した根津家の家長が自ら命を断った事で、雪妃と鉄樹は血の呪縛から解放されます。
 自由を得た二人は日本を飛び出し、舞台が海外になったところで物語は本編に突入。互いを愛するようになった鉄樹と雪妃は、暴力と血が渦巻く過酷な戦場で自らの人生を切り開く事になります。

根津財閥の後継者・根津雪妃 血の呪縛から逃れ、月下の水辺でキッスをする鉄樹と雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 物語序盤、根津雪妃はプライドの高い令嬢キャラクターとして描かれており、祖父曰く「冷酷にして残忍……しかして淫乱!! 横暴にして貪欲 わがままで高慢虚栄心強く 克己心なし」の女性でした。
 家柄のせいか22歳にしては古風な貞操観念を持っており、祖父からの命令でヌード姿を鉄樹に見せ、暗殺術再現のモデルになるものの、処女鑑定として淫らな行為に出た鉄樹の頬を強烈なビンタで張り、簡単に体を許そうとしません。

祖父の命令で裸体となり、鉄樹を挑発するような格好をする雪妃 暗殺団【サッグ】が用いる絞殺術のモデルとなる
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院
処女鑑定を行おうとする鉄樹を叩く雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 催眠術によって戸籍上の姉へ欲情しない体とされていた鉄樹。雪妃を全力で守る為にも「心の束縛と人間としての尊厳を解放しろ」との申し出を家長が受諾した事で催眠を解かれました。
 精神的束縛から解放された鉄樹は雪妃の体を求め、力尽くで美貌の令嬢を征服します。

乳首を責められ、苦痛の悲鳴をあげる鉄樹の体を拒み、必死に抵抗する雪妃
(C)小池一夫/井上紀良/小池書院

 この後、鉄樹と一緒に海外へ飛び出した雪妃は美しい黒髪をバッサリ切り落としてショートカットになります。
 愛を知ってからは性格も一変してしまい、物語序盤に見られた「気高く凛とした孤高の美女」というイメージは微塵も感じさせません。
 日本在住時と海外進出以降の(外見を含む)ギャップに落胆する雪妃ファンも多いようですが、私も同感です。
 小池氏自身が信条とするキャラクター論が好みと反対側に作用しており、その点では残念なキャラクターでした。

 コミックス全9巻は絶版となり、ワイド版コミックス全4巻も主な流通ルートがコンビニなので新刊として入手する事は難しいです。
 全9巻の元版は流通量が多いらしく、古書店ではセット本が1,500円程度で入手できます(ただし、古書価は取扱店によって異なるので絶対不変の価格とは言えません)。
 なお、購入を検討する前に以下のWEBサイトを参照される事をお薦めします。

 ・「ふぬけ共和国」内「つれづれなるマンガ感想文1月前半
 ・「ひとりよがり出張版」内「『デュエット』
 ・「髪切虫電脳西中島南方支店」内「情景1999年度版:No.1999-194

«  | ホーム |  »

FC2カウンター

プロフィール

新 京史朗

Author:新 京史朗
好きな技(1):バスター技
好きな技(2):股裂き関節技
好きなシチュエーション:リョナ

最新記事

カテゴリ

小説 (84)
アニメ (33)
ゲーム (31)
アメコミ (23)
フィギュア (5)
映像・写真 (15)
DOA・無双 (114)
イラスト企画 (40)
鉄拳・スト鉄 (87)
漫画・絵物語 (106)
イラスト・挿絵 (51)
映画・イベント (34)
ウルトラヒロイン (12)
MUGEN・ドット絵 (2)
オリジナルヒロイン (8)
御挨拶・お知らせ・交流 (129)
魔法少女まどか☆マギカ (59)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR